介入
「よう。久しぶり……と言っても君は初めましてかな」
「ウゴアァァァ!」
バニシングクロークを脱ぎ捨て、挨拶がてらその辺の石を投げつけて、こっちに気付かせる
「あの時は皆と一緒に戦ったけど、今回はほぼ僕一人で戦う訳だ。どの位成長したか試してみるって事で!」
「ゴアッ!」
巨大なこん棒による叩きつけ。パワー任せの一撃だし、この場で躱すだけなら横に飛ぶだけで良い。でもせっかくならね?
「うおっと、危なかった……」
「ゴアッ!?」
真淵をとある形にして地面から出す。すると、見事に相手のこん棒による攻撃を受け止めた
「さっすがハニカム構造!やっぱり強いなぁ!」
蜂の巣の形状であるハニカム構造。これで相手の振り下ろし攻撃を受け止める
「2足の巨体相手なら狙うのは膝だよなねぇ!」
回転で勢いを付けてオーガの膝に掌底を打ち込み破壊する
「一撃でダメなら何度でも!」
一発の攻撃で足りなければ何度も攻撃すれば良い。立ち位置を何度も入れ替え、相手が足を庇うまで何度でも何度でも相手の両膝を破壊する為に攻撃する
「足を庇ったなぁ?じゃあ次はその腕だ!」
膝を庇ったのなら次はその両手の肘を破壊する。人型相手となると、片っ端から関節を破壊していく
「「ウグッ!?」」
「基本的に体を動かすには神経による伝達が必要。だが、その神経を破壊しつつ、動かす為の関節も破壊する事で抵抗すら許さない事だって出来るんだ。まぁ、言った所で分からないだろうけど……」
骨身に染みてると言って良いのは多分プレイヤーの中でも僕位だろうな……
「僕自身が一度ぶっ壊れたからこそ、相手をぶっ壊す事も出来るってね」
パワーによる破壊では無く、技術による破壊。体の作りが似ているからこその戦闘スタイル……あれ?これってもしかして、動けるガチの医者の人とかが居たら、対人戦最強格とかになるんじゃないか?逆に獣医の人なら対魔物最強格にだってなれる可能性はあるよな……
「グ、ウグゥ……」
「もっと人体について知れば人型に対しての戦闘能力を上げられるかも?」
どうだろう?今後も人型が相手になるかは分からないけど、対人戦闘能力は上げて損は無い。うーん……他の生物の弱点とかも今度調べてみるかなぁ……図鑑とかあれば良いんだけど……
「あ、こういう時の学校じゃないか!」
「ウガァッ!?」
相手の肩を外しながらこういう時に役に立ちそうな情報がある場所を思い出す。やっぱりあの学校は情報収集には約に立ちそうだな
「ウガッ?」
「え?」
何かオーガの上から黒い液体がボタボタと垂れて来た
「ウッ、ウガアァァァ……」
「ははーん?最近行ってないからって暇になってちょっかい出しに来ましたねニャラ様!」
「ヒマァァァァ!」
黒い液体がオーガを包むと、オーガでは無い何かに変わったのかもしれない。こんな事が出来る相手には1柱位しか心当たりが無い
「待ってろって言ったじゃないですか!」
「ヒマァァァ!」
「しょうがないなぁ!一旦今出せる成果を見せてあげますから!」
変異した深淵オーガをパラドキネシスで相手する事にする。全く我慢が出来ないなぁ?
「でもそろそろ一回位は試しておきたかったんですよねぇ!今の到達点を見ててくださいね!ニャラ様!」
まぁ、僕も一度は試したくてうずうずしていた。ニャラ様にどの位近迫る事が出来たのか
「やってやるよ!全力だ!」
「ヒマァァァ!」
正面からのパワー勝負……って言うのが、一番理想的なんだろうけど、僕には残念ながらそれをするだけの腕力は無い。そもそも関節を破壊したオーガも深淵オーガになったせいか、普通に立ち上がってるし、腕とかも関節とか関係ない所で曲がってる様に見えるから関節に対しての攻撃とかも無駄だろう。となると目の前の敵を倒す為には、攻め方を変えるしかない
「ニャラ様。僕の戦い方は分かってるんでしょう?だったらちゃんと守らなきゃ!」
「マァァァ!」
超至近距離。というかゼロ距離が近接格闘を得意とする僕の距離。オーガに比べて小柄な僕を懐に入れる事がどれだけ危険な事か
「へぇ!今の僕でもニャラ様に防御させる位は出来るんだ?」
どうやら僕のハッタリが効いたのか、深淵オーガが防御姿勢を取った。ニャラ様に警戒されてる!凄いぞ。ぶちのめしたい相手に防御を取らせる所まで来てる。この一歩一歩近寄ってる感!例え偽物だとしてもこの一歩一歩近寄ってるのを感じれるのは嬉しい!
「はぁっ!」
「ヒマッ!?」
普段なら僕の間合いでは無いまだ拳が届かない距離。でも、今の僕なら届く!
「ヒッ……」
「まずはご挨拶ですよニャラ様!」
両拳を突き出し、オーラの一部を深淵オーガの顔付近でぶつける。良かった。ちゃんとぶつかった部分は消滅している
「さて、となると次はどうなるか……くっ!やっぱり完全には防げないか……まだまだ遠いなぁ!ニャラ様の背中は!」
白のオーラで深淵オーガの攻撃を防ごうとしたが、白のオーラのガードが割られた。そうだよな……僕は別に完璧な存在では無い。だからこそやられただけで終わってはダメなんだ
「よっしゃ!次だぁ!」
 




