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アトラさんのお手伝い

「さて、何を依頼されるかな?」

 一旦ログアウトしてご飯等を済ませてきた。もう一度ログインすると僕が使わせてもらってる家の中だ


「おーい、ハチ?起きてるかー?」

「あ、アトラさん。おはようございます」

 アトラさんがドアを開けて外から声を掛けられたので返事をする


「そういえば僕に何か頼みたい事があるって聞いたんですけど……」

「おぉ、そうだそうだ。ハチよ?ちょっと手伝って欲しい事があってな?一緒について来てもらっても良いか?」

「手伝って欲しい事ですか。良いですよ?行きましょう」

 僕に出来る事があると言うなら手伝わない訳にはいかない


「よし、なら乗れ!」

「じゃあ失礼して……」

 屈んでくれたアトラさんの背に飛び乗る。着地の衝撃はかなり弱くしたつもりだけど……アトラさんレベルだと僕が飛び膝蹴りしながら乗ってもビクともしなさそうだ


「何処に行くんですか?」

「まぁ、ちょっとした事だ」

「ちょっとした事?」

 アトラさんのやるちょっとした事とか規模が凄そうなんだけど?




 アトラさんに乗せてもらって数十分。ここが何処だか分からないけどとりあえず崖の上だ。ここで何をするのかな?

「ハチにはここで橋を作って欲しいんだ」

「橋!?」

 僕にちょっとした事で橋を作れって言うんですか!?


「あぁ、あの場所までの橋を架けてくれ」

 アトラさんが示したのは100mくらい先に地面からそびえ立つ塔みたいになった場所。あそこまで橋を架けるってどうする?


「んー……流石にあそこまではジャンプじゃ届かないな……」

「儂も手伝うがどうする?」

 アトラさんも手伝ってくれるとは言うけどどうすればあそこまで届くかな?


「やっぱりあそこまで飛んでいけたらなぁ……」

 僕には飛行魔法とか無いし100mを飛ぶ跳躍力も無い。あそこまで飛んでいけるなら魔糸を使ってまずは足掛かりの1本が作れる……と思う


「儂がついてるから試したい事は何でも試してみろ。危なくなったら儂が救ってやる」

「アトラさんが言うと頼もしいな。それじゃあ僕をぶん投げて……流石にそれは危ないか。む?ちょっと待てよ?」

 アレを使えば行けるかもしれない


「アトラさん。やっぱりぶん投げてもらっても良いですか?」

「おいおい?本当に良いのか?」

「パーライさんから貰ったこれを使えば落下がゆっくりになるはずだからアトラさんにぶん投げてもらえば飛べるはず!魔糸でこっちの崖と向こう側を繋げれば糸を伝って移動も出来るようになるから、橋を作るのも出来るかな?」

 紫電ボードに乗ってアトラさんにぶん投げてもらえばあの場所にも行けるだろう




「準備は良いか?」

「いつでも!」

 アトラさんが前足2本を使って僕を持つ。紫電ボードは僕の足にしっかり付いているし、魔糸は地面に既に付けている。後はぶん投げてもらうだけ……


「行ってこい!」

「うおっ!?」

 アトラさんにぶん投げられる。勢いで腰が折れそう……


「あ、ちょちょちょ!?」

 アトラさんのぶん投げる力が思いの外強かった。目的の場所を通過してしまうレベルの勢いだ


「ふんっ!」

 ボードをインベントリに仕舞い、伸ばしていた糸を掴んで空中で急ブレーキを賭ける。アトラさんに投げられて、急ブレーキを掛けてで体にめっちゃ負担が掛かる


「ん?あれは……?」

 塔状の地形の頂上には小さな祠があった。ちょっと待って?このままだと直撃コースだ!?糸を手繰り寄せなきゃ!


「あっぶなぁ……」

「おーい!大丈夫かー?」

 崖の方から声を掛けてくるアトラさん


「何とかー!とりあえず戻りまーす!」

 今回の糸に粘着は入れていない。だから糸を伝って歩いて帰る事も出来る。もう1本糸を敷いて糸2本を横並び状態にしておけば後から木材を置いて吊り橋が作れるだろう


「おぉ……結構怖いぞ?」

 1本の糸の上を歩いて崖の方に戻る


「うおぉっと!?」

「ハチ!?」

 バランス感覚に自信はあるけど横風に負けた


「【ゲッコー】取ってて良かったぁ……」

 上下逆さまになっちゃったけど糸に足がくっ付いている。【ゲッコー】が無かったら地面に真っ逆さまだっただろう……あっ、逆さまには変わりないか


「おっ、おいっ!?……なんか大丈夫そうだな?」

 心配していたアトラさん。だけど僕が逆さまになっても糸にくっ付いている事を確認するとすぐにホッとしていた。なんか前足で口元を押さえたりする姿は可愛らしかった




「ふぅ、とりあえずこれで板をつければ橋を作る事が出来そうですね?」

「頼めるか?素材集めが必要なら集めてくるぞ?」

「じゃあ板を頼んでも良いですか?」

 トレント材は全部教会に置いてきちゃったしなぁ……


「よし、それじゃあ集めてくるから少し待っていろ」

「はい、僕もこれだけだと危ないと思うんでもう少し魔糸を足しておきます」

 現状これは吊り橋にすらなってないんじゃないかな?糸を足してもう少し安全性を足しておこう


「では板を集めてくるぞ?」

「はい、お願いします」

 アトラさんが凄い速さで走って行った。あれなら帰って来るのも早いだろうな……こっちも急ごう


 ここが何処だか分からないけどとりあえずこの橋は作っておこう。あの祠も気になるし

「まぁ祠を調べてみるのは橋を作った後だけどね」


 行ったり来たりを繰り返し、橋を作っていく。僕は板が無くても歩けるけど普通の人は無理だろうな……

「後は板をつければ完成だね」


 後は板をつければ吊り橋として機能するハズだけどそれまでは風に揺られるただの糸の橋だ。アトラさんが帰ってきたら吊り橋完成だ!


「おーいハチ!悪い、人間に見つかりそうだから帰るぞ」

「あ、はい」

 確かにアトラさんが見つかったら大変な事になっちゃうな……橋を作れなかったのは残念だけど今回は仕方が無い。撤退しよう



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