キュービア
「はぁい。どうもどうも。君達を追ってきていたアレなら一応倒しちゃったけど……まぁ色々と聞きたい事もあるから……ってそもそも言葉は通じてるかな?」
出来るだけフランクに話掛けてみる。一応オートマトン島に対してあのヘドロ群を差し向けて来た様にも取れるから正直かなり危ない存在の可能性もあるけど、敵対するなら敵対するで今ある島の戦力を持って応戦するだけだ
「「「「……」」」」
「ほうほう。その反応から見るに言葉は通じてるけど、発声器官が無い感じかな?」
立方体群は集結して少し小さくなったようにも見えるけど、全体が頷いた様な動作にも見えた。一応こっちの意図は通じてるって事で話を進めるか
「一応その反応は通じてるって事で行くけど、君達は何の目的でここに来たんだい?意図が通じてるなら僕が止めた時に何故進んだのかも聞きたいんだけど……」
「「「「……」」」」
「ほほう?」
僕の意図が通じたのか立方体群がもぞもぞと動き出す。そうして地面に文章が書かれた
「なになに……『我らが創りあげた存在が暴走して逃げて来た。明らかに我らよりも高度な能力を持った者に協力を仰ぐしかないと、制止を振り切った』と。となるとあのヘドロ群……コンタミネーターを作ったのは君達か」
汚染生物と言えば良いのか微妙な所だけど、アレを作ったとするなら、この立方体群も中々に高度な技術を持ち合わせているよな?普通に生命体を作れるって事は方向性が違うだけで技術力は同等かそれ以上じゃないか?
「コンタミネーターというのが、あのヘドロ群の名前か」
「ヘックスさん。一応、あいつのコアを入手したんだけど……汚染能力自体はまだある可能性が高いからここでは出せないんだ」
一応、コアはある。あのヘドロ群ももしかすると、海の中だったから海水を汚染してヘドロにしていた可能性もある。このコアが陸上で使われていたら……それこそもっと手に負えない可能性もあった訳だ
『倒してくれた事に感謝する。生み出した我々でも止められず、ただただ逃げる事しか出来なかった』
「まぁそういう事もあるよね。とりあえず僕らに危害を加えるつもりは無いんでしょ?」
一番大事なのは敵対するのか同かだからね
『それに関しては勿論無い。むしろ巻き込んでしまった事に責任を感じている。償いをさせて欲しい』
わぁ、この立方体達結構律儀だなぁ?
「償いかぁ……えっと、君達は何が出来るのか教えてもらえるかな?」
とりあえず情報を集めよう。何が得意で何が不得意か。その情報が無ければ適切な判断も難しい
『物を作る事は得意だ。だが、戦闘はほぼ出来ない』
なるほど。だからそういう系で償いをさせて欲しいと
「なるほどね。じゃあこの中で一番偉いとかそういう序列的なのはあるのかな?」
『我々は個であり集。この集団が1個体と見てもらって良い』
となると、意思統一はされてるのか。じゃあいちいち1体1体に確認を取らなくて良い……あ、全体と繋がってるオートマトンさん達と似てるのかな?
「そっか。じゃあ君達の名前は?」
『我々はキュビトレアと呼ばれている』
「キュビトレア……じゃあ、僕らに償いをするならその間だけで良いから君達はキュービアって呼ぶ事にするよ」
『キュービア。分かった。では今から我々はキュービアと名乗ろう』
キュビトレア……何となくだけど、キューブとビトレイヤー(裏切り者)を混ぜた様なネーミングだし、それはちょっと名前からして信用を積むのも難しいだろう。まぁ、今回やった事もある意味、モンスターを連れて、プレイヤーをキルするMPKに近い行為だと思うからそういう事をしちゃう存在だって事でそういう名称になっているのかもしれないけど、名は体を表すとまでは行かなくても、これで裏切り者ではなくなったから少しは良いだろう
「じゃあ、キュービアさん達にやってもらう償いだけど、まずは精密チェックだね。追われていた訳だし、汚染されてるキュービアさんが居るかもしれない。そうなると一時的にだけど、隔離させてもらうよ。勿論皆の安全の為の隔離だけど」
『それは……仕方ない事ではあるか』
あ、この反応。多分汚染されてる奴が居るな?となると……
「はぁ……本当はちゃんと解析してからやりたかったけど、仕方ない。これは今その場面だろうな」
何となくだが、病気的汚染じゃなくて実質感染みたいな物だと思うから【レスト】とかだとダメなのかもしれない。となると、ワクチンとなるだろうアレを使うしかない
『それはコンタミネーターコア!?』
「【反転陣】」
コンタミネーターコアに対して【反転陣】を使い、物質の性質を逆にする
『ピュニフィケーターコア を入手しました』
『ピュニフィケーターコア 触れた物全てを浄化するピュニフィケーターのコア。汚染や感染と言った状態異常を即座に回復する効果も持つ』
「ほい、一応キュービアさんはそのコアに触れてね。そうすれば個別隔離する必要は無くなるから」
『こんな事が本当に出来るのか!』
とりあえずこれで話は進みそうだな
 




