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1717/2014

技術者の為に

「やぁ、ハチ君。今回は招待ありがとう」

「ハチさん。ご招待ありがとうございます」

 普通は1人だけだけど、僕は主催者だからその権限を使ってアイリスさんとロザリーさんの2人を呼んでみた。この位の特権は許してね


「思ってた以上に色んな技術が有るんですね……」

「確かに。これは凄いぞ?ところでハチ君……これが噂に聞いたハチ君の地形対応型マントかな?」

「はい。これで色んな地形に合わせて隠れる事が出来ますね」

「なるほど……パッと見ただけでは単なる布にしか見えないとなると、魔力探知にも引っ掛かり難そうだな」

 確かに、そういう発見をされる可能性もあるだろう。でもこれは周囲に溶け込むって感じだからあの辺に居るかもしれないって所までは分かっても、明確な位置までは特定されないかも


「まぁ、ここに居る人達の中にも完全に自分の最高傑作までは見せてない人も居るでしょうね。あくまで技術として確立した物までを見せてるに過ぎません」

「という事は、これを凌ぐ物をハチ君は既に作っている……と?」

「さぁ、それはどうでしょうねぇ?」

 言わなくてもこの2人なら分かるだろう。でも明言は避ける


「まぁ、あくまで僕はこういう物も作れるってそういう提案をしているに過ぎません。道具の使い方は使用者次第で良くも悪くも変わります。包丁だって、料理に使うか、人を脅す為に使うかその人次第でしょう?でも、その包丁の制作者はもっと料理の時に使いやすくする為に1つの料理専用の特殊な形の包丁を作ったりも、凶器としての性能を高めて刀を作ったりする事だって出来るかもしれない。でもそれを作れるかどうかはその物を作った人しか分からない。僕はこれ以上手の内を簡単には明かしませんよ」

 まぁ、明かしちゃってる様な物だけど、この2人ならこれ以上しつこくは聞いてこないだろう


「ハチ君の事だから他にもとんでもない物を置いているかと思ったが……マントだけなんだな?」

「ええ、何と言っても僕がこの世界に来てから初めて作ったと言っても過言ではない物の延長線の物ですからね。思い入れのある物を展示しようと決めてたんでコレだけです。そうしないと僕のブースのコンセプトもちょっとズレちゃいますからね」

 マント1つに絞って置く事で、説明は簡略化出来るし、準備時間も何とか短く出来た……と言ってもギリギリではあったけど。他の物も置くとなると、時間も足りないし、僕の手持ちのアイテムを飾る事になるから手の内を晒す事になってしまう。1日目と2日目ならそれも良かったかもしれないが、3日目。今回の場合は僕を今後倒したいなんて人が来てる可能性もあるから、そういった人に手の内を晒すのは……面白くないじゃん?


「隠密だったり、やり過ごしが可能になるこの装備を皆に見せる事で、何もフィールドは絶対に敵と戦う必要がある場所では無いという可能性を示して、もっと色んな人が素材を集めて外に行ければ良いなって。そしたら、人に頼むじゃなくて自分で取ってくる事も出来るじゃないですか」

 勿論、入手が難しいアイテムを戦闘が上手い人に任せて取ってきてもらうって事も出来るだろう。でも僕としては、実際に自分の足でアイテムを取りに行けば、机上の空論ではなく、戦場で本当に必要な要素はどれかを肌で感じる事も出来るだろう。


「住み分け的にそれってどうなんでしょう?」

 アイリスさんが聞いてくる。まぁそれは確かに大事だ。でも……


「まぁ、確かに戦闘する事が得意な人と物を作るのが得意な人。能力を活かすのにはその住み分けは大事でしょう。じゃあ1つ聞きますが、銃を作ってくれと頼んで、頼まれた側でロマンだけを考えて、威力のみ強力な銃を作る人が居たとします。威力はとんでもなく高くて、体に当たればどこでも一撃で敵を倒せる。でも発射まで時間が掛かる。リロードも弾速も遅く、銃自体も重たくて運ぶのも大変。まるで大砲みたいな武器を作ろうとしていて、その素材を取ってきてくれと頼まれたら、行きますか?」

「私なら行かないわね」

「おっ、キリエさん。いらっしゃい」

 話している最中にキリエさんが来た。まぁ呼ばれてるだろうね


「間違いなくその銃は使い物にならない。なるとするなら、誘い込みが必要だから自分1人で戦う事前提なら絶対にそんな銃は要らないわ」

 そう。ロマンを求めるのは大事だが、この条件では上手く運用するのに他に人が必要になったりする。自分の命を預けるにはあまり向かない


「でも、さっき言った住み分けで戦闘と製作を分けてしまうと、そのロマン武器が作られちゃうんですよねぇ……」

 何といっても作ってる側は戦闘しないんだったらこういう武器はどう?って思い付きで作るしか無いんだ。まぁだから現実でもヘンテコ兵器とか沢山生まれたんだろうけど……


「良い武器を作るには現場の声を聴くよりも実際に現場に行った方が良い。その第一歩を踏み出しやすくしてるのがこれですよ」

 そこでマントを指差す。戦闘する人について行く時でも良い。これを装備して、使う人がどういう戦闘をしているのか、その目で見て感じて、分析すれば本当に必要な要素が自ずと見えて来るだろう


「そうすれば、威力は多少犠牲にしつつも、取り回しが良くて、扱いやすい武器が作る事も可能になるって訳です。まぁここで、犠牲にすべき物を射程にして、その分同時に発射する弾数を増やして命中力や威力を上げるショットガンを生み出したり、動きにくいけど弾速や射程をあげてスナイパーライフルを作るなんて色が出て来るのが技術者の面白い所だと思いますけどね」

 やっぱりロマンと実用性の両立をする為にも実際の戦場は知らないとダメだと思うね



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― 新着の感想 ―
「やはり変態技術者共はダメだな」? 顧客が本当に必要だったもの大喜利になりそう、そういうイベントもあったら面白いかもw
現場の声だけじゃわからないこともあるから、直接現場に出ることも大事なのだ
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