アイテムシューター
「見た感じ武器っぽいから2人のどっちかどうぞ」
僕にとっては必要ない物だろうから2人に譲る
「「どうぞ」」
「はい、じゃあジャンケンで決めてね」
お互いに譲りだしたので、ここは平等にジャンケンで決めさせる。こういう時は運で決めさせた方が良いだろう。お互い譲る気ならこれで文句は無いだろう
「「じゃ、ジャンケンポン!」」
トーマ君がグー。アカネさんがパーでアカネさんの勝ちだな
「じゃあ、頂きます。えっ?」
「「お?」」
アカネさんがランチャーを手に取ると、一瞬光った。なんだ?
「あ、アイテムシューター?えっと、これを手に持っている間は『アイテムシューター』っていう特殊な職業になるみたいです!」
はぇ~、持っている間だけ職業が変わると。そんな不思議なアイテムもあるのか。教会で転職しなくてもそのアイテムを持っている間だけ職業が変わるとなると、あのアイテムを僕が持つ事で職業が変わって武器が持てる様になるとかになるのかな?
「えぇっと……アイテムシューターは錬金術師が戦闘時に変化する物らしいです。このマテリアルランチャーを装備中はアイテムの錬金は出来なくなりますが、このマテリアルランチャーに撃ち出したいアイテムを装填するとリロード時間が発生する代わりにそのアイテムを発射出来る……えっ、これってつまり1つ物があれば何回でも攻撃出来るって事?」
「ほほぅ!?それはまた面白い能力ですね?」
「えっと、爆弾を1つ作って、それをランチャーに装填して、リロード時間を待てば何発でもその爆弾を発射する事が出来るって事なのか?」
1つのアイテムをある意味無限に発射出来る夢の装備品じゃないか?これ……
「そんな事が……」
「まぁ、ゲーセンのシューティングゲームとか、画面外を撃つだけで何回でもリロードとか出来るんだし、こういう、正にゲームらしい事が出来る物が有っても不思議……ではないのかな?」
1つのアイテムの品質を徹底的に上げれば強力な攻撃を連打するみたいな事が出来るかもしれない。しかも、このアイテムシューターという特殊な職は間違いなくトーマ君と相性が悪い。トーマ君のバトルアルケミスタは戦闘中に錬金して解決策を作るって事が出来るけど、このアイテムシューターはその戦闘中に錬金する事が出来ないから事前準備をしっかりするか、もしくは一度そのマテリアルランチャーを仕舞って、錬金をする必要があるだろう。そうなると、トーマ君は戦闘スタイルを崩す必要が出てしまう
「詳しい説明は他にも色々ありますが、これのお陰で戦闘能力が凄く高まりそうです!」
アイテムシューターの戦いって言うのも一度見てみたいな
「そうですね……今のアイテムでしたら……多分これがリロード時間も短そうで良いですね」
何やら先端がギザギザしたナイフを10本位入れた。あ、そう言う事も出来るんだ
「あ、もしかしてアレが……試しに撃ってみましょう!」
どうやらアイテムシューター用の的が奥の方に有るので、それに対して撃ってみるみたいだ
「【シュート】!」
ほほう。これは完全に手で投げるよりも射程が長いし、速度も速いね。しかも10本のナイフがショットガンの様に飛んでいく
「【シュート】!」
「え?」
わぁお。リロードが必要とは言ってたけど、1秒ちょっとでまたさっきの10本ナイフが発射された。あ、でもさっき撃ってたナイフが消えてるから流石に物資の無限調達とかは出来ないのかもしれない
「【シュート】!」
「なるほど……これは強力ですね。攻撃手段が1つに限られる代わりに連続で攻撃する事が出来る……」
トーマ君が錬金術師として様々な可能性を使って強さを得ているのとは別に、アカネさんは1つの事に特化して強さを得た。これは面白いな。同じ錬金術師でも方向性が違うからこそ火力の出し方も違う
「おぉ、また何か開いたね?」
さっきの的を当てたからか、新しい扉が開いた
「それじゃあ先に行きましょう!敵が出てくるなら試してみたいです!」
新しい能力を得たら試してみたいというのも真理。これは、この先に何か敵が出て来るのかな?
「おぉ、来たね。新しい敵だ」
これは完全にお試し場面だろうな。スライムっぽいのが何体か出て来た。ここはアカネさんの戦闘を見させてもらおう
「それじゃあやります!【マルチシュート】!」
ナイフがスライム達をロックしたのか、発射された物がスライム達に誘導されて射出。どうやら装填したアイテムが複数入っていると、それを分散させてスライム達にナイフが飛んで行った。マルチロック対応って感じかな。これは液体とかを入れていたらマルチロック攻撃もより大量の相手にも対応出来そうだな
「凄いですね……あれなら詰め込むアイテムの品質が良ければとてつもない一撃が出せますよ……」
「確かに、しかもあれ……多分入ってる物が能力とか付与されてたら、普通に発揮しそうだよね?」
装填した物に何か能力付与されてたら……あ、アカネさん。消耗品と装備品を組み合わせみたいな物を作ってたし、爆弾ミトンとか装填したら……




