山?
「山だ」
「……っと、おぉ!山ですね?」
ボスを越えて光の穴を潜った先にあったのは山とそこに続く道。第三の街は山の街なのかな?
「ハチさん!こんな貴重な物簡単に人にあげちゃダメですよ!?」
「トーマ君だからあげるんだよ。盾役さえいれば君はもっと強くなれる。だから使うかどうかも分からない僕が持っているより、君が持っていた方が圧倒的に有用だよ。必要無かったら売っちゃっても良いよ?僕、お金も入手出来ないからね」
「……あぁ、ハチさんの事をおかしいって言っていたハスバさんの言葉は本当だったんですね……」
「いつか本気でぶん殴ろうかな……」
あの人僕が居ない所で何を言ってたんだ?事と次第によってはハスバさんを市中引き回しする事も辞さないぞ?
「ああ!違うんです!悪い意味で言ってたんじゃなくてハチさんみたいな特殊なプレイヤーを見たことが無くて、悪い人に良いように使われるんじゃないかって心配してたんです」
「……まぁそれはもうトーマ君の物だから好きに使ってよ?」
そんな事考えてたんだ。市中引き回しは考え直すとしよう
「は、はい」
トーマ君と一緒に道なりに進んで行く。道の外にはモンスターが居るけど道の中には入ってこない。やっぱりダイコーンさんのあの言葉って本当なんだな……
「トーマ君も結構消費しちゃったし、道からは出ないようにしよう。ここで下手に経験値稼ごうとか考えたら手痛い反撃を貰うかもしれないし」
「はい、今の僕が知ってるレシピじゃ攻撃用アイテムを作る材料が無いので無理はしません」
トーマ君も安全に第三の街を目指す事に賛成してくれた。でもあの山なんか変な感じがするんだよなぁ
「ちっちゃいゴーレムとかが居ますね?」
「結構出てくる敵も変わったなぁ?」
ミニサイズのゴーレムの他にエレメント系って言ったら良いのかな?バチバチしているプリズムみたいな物とか、竜巻を纏ったプリズムみたいな物。炎を纏った、水を纏ったと色んな属性を纏ったプリズム達が道の外側に漂っていた。どう見ても魔法攻撃してくる感じだよねぇ?
「でも基本はノンアクティブっぽいし、こっちから仕掛けなかったら綺麗なオブジェくらいに思っておけば良いか」
まだ夜なのもあってキラキラ光っているプリズム達が居る平原は中々に綺麗だ
「確かに綺麗ですね。マイホームとか持てたら1体くらい部屋に居てくれるとオシャレな感じがします」
「おぉ、マイホームに1体かぁ……確かにオシャレかも」
流石に攻撃されない様に囲ったりする必要とかはあるかもしれないけど明かりを消してこのプリズムの光だけで照らされる空間とか癒されるかも?
トーマ君と喋りながら道を進んで行くと夜が明けてきた。そしてメッセージも届いた
『ハチ君?頼んでいた救援はどうなったかな?メッセージが無いから心配なんだが……』
「あっ、そうだった。ハスバさんから頼まれてたから返事しておかないと」
「あっ!自分もハスバさんにメッセージ送るの忘れてました!」
2人とも救援が終わった事をハスバさんに伝え忘れていた事を思い出した
「じゃあ僕がメッセージ送っておくよ」
「お願いします」
2人ともメッセージを送る必要は無いと思ったので僕がメッセージをハスバさんに送る
『無事に救出出来ました。今第三の街に向かってる最中です』
『は?ちょっと待ってくれ?第三の街に向かってる最中?』
『はい、向かってる最中です』
『救出に行って何で第三の街に向かってる最中なんだい?』
『トーマ君と2人でボス倒したんで』
『私がおかしいのか?君がおかしいのか?ゲームがおかしいのか?』
『全員正気ですよ。救出した後トーマ君が探していた素材を一緒に探して、爆弾作って、自信が無さそうだったんで自信を付けさせるために2人でボス攻略をしました』
『やっぱりハチ君してるー!?』
やっぱり市中引き回しかぁ?
『因みに討伐したボスってジャイアントルードオアゴーレムかい?』
『はい、あっ後今回は攻撃に関して僕は手を出していません。ボスを倒したのは100%トーマ君です』
『何?トーマ君が……?遂にハチ君は他の人に影響を与える様になってしまったのか……』
『ハスバさん?市中引き回しか縛られた状態で街中に吊るされるかどっちが良いです?』
『おっと、これ以上は危険だったか……済まない、悪気がある訳じゃ無いんだ。君が関わると良い意味で思いもよらない方向に進んで行くから見ていて、関わっていてとても面白いんだ。もう一度言うが君の事を悪く言っている訳じゃ無い』
めちゃめちゃフォローを入れてくる。これは本気で言ってるんだろうな……
『本気で言ってるのは何となく分かりました。引き回しは勘弁しておきます』
『あ、ちょっと引き回しは興味あるかも……』
『心臓引き摺りまわしましょうか?』
『あ、遠慮しておきまーす』
ドMでも流石に命は失いたくないらしい
『まぁ、なんだ。突破おめでとう。多分山が見えると思うが、それはただの虚像だ。街を隠す様になっていて中はいつも夜の様な感じになっているぞ』
『あぁ、やっぱり何かおかしいと思ったら虚像だったんですね。情報ありがとうございます。とりあえずトーマ君と街に入ります』
メッセージを書きながらだが、もうそろそろ山が近付いてきたのでハスバさんへのメッセージもこの辺で良いだろう。さて、どんな街かなぁ?