信じて進む
「「階段が出てきた!」」
「出てきたねぇ。どうする?2人が先に進むか、僕が先に進むか」
場合によってはこれがどっちに転ぶか分からないから一応聞いておく
「どっちが良いでしょう……安全確認という意味でしたら、ハチさんに先行してもらえばトラップは全部解除してくれるかもしれません。でも、ここは錬金術師向けのダンジョンって事ですから、錬金術師が先行した方が良いかもしれません」
「なるほど。こういう所ってあんまり行った事無くて、セオリーがそんなに分からないのでお任せします!」
「おぉ、良いね。トーマ君も必要なら僕を利用してやるって気概……強くなったねぇ」
実年齢は知らないけど、何となくトーマ君は後輩感があって成長する所を見れるとなんか嬉しい。そしてアカネさんの清々しいまでのトーマ君への全力トス。となると……
「それじゃあ、まずは先行します」
「オッケーついて行くよ」
2人が先行して、僕がついて行く。これで一応後ろからの攻撃には防げるかな?
「次はいったいどんな所でしょう……」
「また錬金するのかな」
「楽しそうだn……」
わぁ、凄い単純な分断来たなぁ?
「「ハチさん!?」」
階段に穴が空き、僕だけ落とされた。勿論穴が空いた瞬間【ダブルジャンプ】で抜け出す事も出来たけど、どうせなら何が起きるか見てみたい。なんだかんだあの2人なら普通に僕抜きでも行けそうだし、普通だったら間違いなく分断されるのが正当な気がするから、一旦このまま別れた方が良いだろう。まぁここは錬金術師向けのダンジョンみたいだし、一旦、このダンジョンの方針に従ってみようじゃないか
「とりあえず2人で頑張ってー!」
最後に2人に声を掛けてそのまま落下する。おっと、意外と底が近い……
「うおっ!?滑り台!?」
落下地点がそのまま滑り台状になって何処かに滑っていく。おぉ、結構楽しいかも!
「おぉ!楽しー!ほ?」
何だ?なんか今書かれていたような……
「うわっ!?なんか2択クイズみたいなのが来た!?」
多分さっき一瞬見たのはクイズの問題文だと思うが、何か「薬草」みたいな単語が入ってたと思う……なんだ?素材らしい物が2つ出てる……
「右は薬草で左は毒草だけど……とりあえずさっきのもあるし、親しみある薬草の方かな。右だ右!」
体を傾けて、滑り台で右側に行ける様に頑張ってみる
「よし!曲がれた!次もあるのか?」
もし次があったら見逃さない様にしないと……
「ふむふむ、マジか。こっちのルートにも錬金術の要素があるのか。となると、こっちはこっちで錬金術の知識が必要なのか……」
これは意外と大変だぞ……錬金術自体は確かに見た事は有るけども、僕にまともな錬金術の知識は無いから正解を選べるかどうかはもう運かもしれない
「えっと、次は性質を反転させる錬金術の方法は何か?確か反転錬金だよな?」
これに関しては聞いた事がある
「ほう、変質錬金と反転錬金。これは反転錬金っと!」
流石に体を捻るだけだと危険だからちょっと真淵で移動の補助をしておこう
「よっと、どうなんだろう。これで合ってるのかな?」
多分間違ったルートだと行き止まりかトラップに引っかかる事になってしまうんだろうけど、一応は進めてはいるから何とかはなっているのかな
「えぇっと……これは、どっちだ?」
問題文が【錬金術】において、錬金する際に適切な釜の温度は?なんて問題……適切な温度って何だよ……そんなの物によって変わるんじゃないのか?
「はぁ?どうすんのこれ……こんなの選べなくない?」
こんなの高温も低温も選べなくないか?
「どうなんだこれ……」
選んで良いのか悪いのか……とにかくこのまま進んでみよう。ヤバそうだったら直前で道を選べば良いか
「これ……行けるな!ふぅ!」
左右を選ばずにそのままど真ん中を進むとジャンプ台の様になっていて飛び立つ事に……
「おっ、やべっ……」
そのまま飛び立ったら道が無かった
「ハチさん……大丈夫でしょうか……」
「それなら大丈夫です。ハチさんはこの程度のダンジョンじゃまず死なないですよ。わざわざ演出として死んだふりをする事はありますが、ダンジョンのトラップ程度で死ぬ人じゃないです。ハチさんを殺したいのならそれこそ、今の自分達が殺す気で全力で挑んで倒せる確率が10……いや5%も有るかどうかじゃないですかね……」
「5%……」
「知らないのならメモリーシアターで一度ハチさんの動画を見た方が良いですよ。一回じゃ分からないかもしれませんが、何回か見ればハチさんの凄さを理解出来ると思います」
「凄い信頼感ですね……分かりました!私も信じて待ちます!」
トーマを信じて一緒にハチを待つ事にするアカネ
「じゃあ先に進みましょう。絶対ハチさんならトラップを楽しみながら進んでいると思います。遅れたらハチさんを待たせちゃいますから!」
「分かりました!ハチさんを待たせない様に先に進みましょう!」
ハチならば先に進んでいると信じて、2人共先に進む事を決め、歩き始めた




