ボス突破!
「危なっ!」
爆弾の爆発でゴーレムの破片が飛び散ってきた。防壁を展開して僕も体で念の為トーマ君を庇う。防壁のサイズを大きくし過ぎると防壁が割れるかもしれないと思ったので普段通りのサイズで、僕も覆い被さればトーマ君をガードしきれるハズだ。絶対にトーマ君を守ると約束したからゴーレムの破片すらトーマ君に当てさせない
「ぐっ……!ったぁ……」
防壁で防ぎそびれた破片が後頭部に、肘に、腰に当たる。破片なのに結構痛い……
「ハチさん!?」
「守るって言ったでしょ?痛たたっ……」
大分飛んで来る破片が減ってきた。やばいな……HPギリギリだ
「ちょっとごめんね?」
トーマ君を庇っていた手をそのまま背中まで回し、手を合わせて祈る。【聖女の祈り】が発動して僕のHPとMPが回復する
「えっ!?えぇ!?何がどうなってるんですか!?」
そりゃあトーマ君がパニックになるのも分かる。だって爆発が起こった後、僕がトーマ君の盾になって抱き着かれたような状態だ。混乱しない方がおかしい
破片が降ってくるのも落ち着いたので祈りをやめて、辺りを見渡す
「凄いなぁ?これ全部トーマ君の爆弾の力だよ?」
バラバラになったゴーレムの体と光の穴がある。あの穴はボスを倒した時に出る奴だ
「これ、自分がやったんですか……ん?何か称号が……?何これ凄い!?」
どうやらトーマ君には何か称号が出たみたいだ。僕は……経験値がちょっと入ったくらいかな?まぁダメージはトーマ君が全部稼いだ物だから結果には納得している。これでトーマ君に経験値がガッツリ入って30レベルまで届いてくれれば第一限界到達で第二の職にも就ける様になるかな?
「戦闘中の錬金術スピードが300%アップ……通常の4倍の速さで錬金術が出来る……こんな効果付き称号が……」
何やらブツブツ言いながら獲得した称号の効果を見ている様子のトーマ君
「おーい?ゴーレムの素材を取りなよー?」
「あっ、はい……あっ!ごめんなさい!」
「ん?何か謝る事あった?」
急に謝るトーマ君。何かあったっけ?
「アイテム全部自分が取っちゃいました」
「あぁ、良いよ良いよ。多分鉱石とかその辺でしょ?」
自分で加工出来ない素材を貰っても使えないし、街に持ち込んで加工してもらおうにもお金も無いから頼む訳にもいかない。ならトーマ君が有効活用してくれた方がずっと良い。錬金術師なんだしそういう素材は変換とか出来るんじゃないかな?僕の勝手な偏見だけど、鉄から金に変えたり、不老不死の薬を作ったり……ゲームで不老不死はヤバいか
「確かに鉱石系のアイテムですけど……せめて欲しいアイテムがあれば選んでください!」
多分取得アイテムのログみたいな物を見せてくれた。鉄鉱石とか銅鉱石、数が少ないけど金鉱石もあるな?後は魔石とかストーンガントレットとか言う装備品的な物。うーん、ガントレットはもうあるしなぁ……ん?これは……
「じゃあこれだけ頂戴?見た中だとこれが一番欲しい」
「これだけで良いんですか?欲しい物は遠慮なく言ってください!」
「いや、僕が使えそうな物がこれだけだからこれだけ貰うよ。あとはトーマ君が錬金術の練習とかで使っちゃってよ?」
僕の目を引いたアイテム。まさかの原石とかじゃなくてその物がドロップしたみたいだ
「僕はこの『磁石』だけ貰えたら嬉しいよ」
「では受け取って下さい。ハチさんには感謝です!」
トーマ君から磁石を受け取る。これはコンパスを作る時に利用出来るぞ?
「ありがとう。僕もこれが貰えると助かるよ」
道に迷う事もこれで少なくなるだろう
「自分もレベルが30になりました!サーディライの街で限界突破して……第二の職にもこれで就けます!」
「何の職に就くかもう選んでるの?」
何を選ぶのか既に決めているのかな?
「自分は……テイマーかサモナーを第二の職にしようと今回の戦いで思いました」
「おぉ、良いじゃん?僕もサモナー辺りを推そうかと思ってたんだ」
前線を仲間モンスターに抑えてもらって、後方から攻撃アイテムで攻撃する。前衛は僕だったけど、一応ボス相手でも通用した戦法だし、アリだと思う。しかもさっき戦闘中の錬金術の速度が3倍になる称号をゲットしたみたいだし、僕よりも守りが強いモンスターを仲間にした場合。トーマ君の強さは一気に跳ね上がる
「サモナーだと召魔の石が必要になりますね……サーディライで入手出来るかなぁ?」
「ん?召魔の石?」
聞き覚えのあるアイテムの名前だったので聞き返した
「サモナーの人は召魔の石を使って召喚するモンスターと契約するんです。何が出てくるかは分かりませんけど……」
「それってこれだよね?」
長らくインベントリの肥やしになっていた召魔の石を取り出す
「えっ!?なんでハチさんが召魔の石を持ってるんです!?それかなりレアなアイテムなんですよ?」
「あー、イベントの報酬?まぁ良かったら使ってよ」
ポイっとトーマ君に召魔の石を投げ渡す
「うわちょちょちょ!?」
何とか受け取るトーマ君。レアアイテムだろうが何だろうが僕が使えない、使う気の無いアイテムは薬草以下の価値しかない。換金しようにもお金は魔硬貨で入手出来なくなったお陰で尚更踏ん切りがつけやすくなった
「レベル30おめでとうのお祝いの品って事で!それじゃあ僕は先に出てるから」
光の穴に先に飛び込む。今回はトーマ君の超火力で押しとおった様な物だけど、ここのボスもいつかちゃんと一人で攻略してみようかな?