技術の入手手段
「可能です」
「おぉ!流石クオン!」
酸の沼をモーゼみたいに開いて、花までの道を作ってくれた。これなら行けるぞ!
「なるほど、この根はかなりしっかり張ってるな……これを引き抜くとなるとかなり力が要るかも?」
いや、でも力任せに引き抜いちゃうと花に良くないか。となると、泥を何とかして根ごと引き抜くのが一番良いかな?
「よし、これって泥部分に触れても良いのかな?」
まぁ耐久値が破壊不可の今の装備であれば溶ける事は無いだろうし、真淵とかも使えば問題無いだろうから、少し掻き分けてみるか
「これで、どうかな」
『アシッドロータス(優) を入手しました』
おぉ!取れた取れた。これが酸の沼地の花かぁ
『アシッドロータス(優) 酸の沼の中でも咲き誇る大輪の花。根から取った事で、状態が素晴らしく素材に使用した時に効果が上昇する』
ほうほう、やっぱり根から取る事で効果が上昇するのか。となると、この取り方で沢山集めますか
「よし、クオン。あの花の周りだけで良いから酸の沼を何とかしてもらえるかな?」
「分かりました。それでは花の周りの液体を移動させます」
クオンの手によって液体が移動し、花を集められる様になった
「良いねぇ良いねぇ。集めるぞぉ!」
沼の上にどう立つのか、とか気になったけど、僕の場合はこれで良い。良質なアシッドロータスを集める事だけに集中すれば良いんだ
「そうだクオン?ここの沼地の酸ってどう?結構強い?」
「そうですね。かなり強い酸性です」
「オッケー。それならこの酸性の沼からサンプルとか持って行けるかな?」
「可能です」
よしよし、これなら強酸性の液体を入手する事が出来るな。これを持っていければまた何か新しい技術も入手出来るかもしれないからね。花はトーマ君が必要で、僕にはこの沼が必要で、欲しい物が微妙に違うだけで、この沼地に来た意味はあった
「いやぁ、頑張ったねぇ。一応これだけ集まれば問題無いかな?」
300個必要って言ってて一応250個集まったから結構頑張った方だろう。さて、トーマ君の方はどうなったかなぁ?
「トーマ君、どう?そっちの方は」
「あっ、ハチさん!一応こっちは60個集まりました!」
「おぉ、こっちは250個集まったから300個は集まったね」
「これで間に合ったかな?」
「……はっ!?も、もう250個も!?いったいどうやって!?」
「クオン、見せてあげて」
「はい」
トーマ君が驚いていたので、実際に酸の沼を2つに割り、歩いて花の所まで行く
「まぁ、こうやって根ごと採ると良質なアシッドロータスが取れるって感じだよ」
「いや、今の早過ぎて見えなかったんですけど……」
そっか、真淵でサクッと取ったから見えなかったか
「まぁ、単純に泥を掻き分けて根が切れない様に抜いただけで、今の感じで集めたから割とハイペースに集められたんだよ。トーマ君はどうやって集めてたの?」
一応、どうやって集めたのか聞きたい
「いちおう、金属で作った舟を使って花の近くまで進んで、引っこ抜いてました。でも、金属も耐久値がドンドン減っていくので、数個集めたら別の金属に取り換える必要がありまして……」
あぁ、金属で舟を作ってこの沼に生えてる花を集めてたのか。そりゃあ引っこ抜くのも難しいな
「そうだなぁ……精度とか強度とか難易度は上がるだろうけど、鉄板で沼を割れば行けるんじゃないかな?」
神秘的な魔法っぽいモーゼではなく、物理的に鉄板で沼を割るモーゼで僕達の再現自体は出来ると思う
「わ、わぁ……凄い脳筋な解決法……いや、そうじゃなくてもう300個集まっちゃったんですね」
クエスト自体はこれで納品すれば終わりだろうから、これ以上必要では無いんだろうけど、トーマ君が別に必要ならこの方法で良質なアシッドロータスを集める事が出来るだろうな
「皆装備が壊れちゃうのが嫌で酸性の沼には寄り付かないんですよね。このアシッドロータスは色々使える物ですから、素材としては結構高いんですよね。自分に教えてくれる人も集めるのが面倒だからって……」
それ、良い様に使われてないかな?
「でも、これでクエストが進みます!」
「これでトーマ君が何か新しい技術とか得たら僕にも教えてね?」
「はい!」
トーマ君なんて色々面白そうな技術を得る可能性は高いだろう。そんな技術を僕にも教えてもらえる可能性を今の労働で得たのだからこれはかなりの儲け物と見て良いと思う。勿論、技術力で負けたくないけど、僕以外の視点で集めた情報や技術を得る機会を増やす方が良いだろう
「それじゃあ戻りますかね」
「分かりました!戻りましょう!」
一応会場に戻るけど、今日はもう休んでも良いかな。明日も色々見て回ろうかな?
「うーん、何か追加しようかな?」
折角なら何か新しい物を追加で作っても良いだろうし、何か新しい余興になる物を追加しても良いかもしれない。うーん、悩んでいる時間が勿体ないとはいえ、こういう時にすぐに用意出来るとしたら……なんだ?
「そうだな……オートマトン達に協力してもらえれば、航空ショー的な物が出来るかな?」




