トールビヨン
「やっぱり皆色々知ってるなぁ?」
「はい!私としても色々他の人が持っている技術を知る事が出来て更なる改良が出来そうです!」
自分の技術を全部出さなくてもある程度の技術を提供する事で他の人が改良する余地が出来るから今回のイベントはかなり良い刺激になってると思う
「いやぁ、オートミールの情報ありがとうございます」
「こちらこそ本当にありがとうございます!こちらも良い知見が得られました」
お互いに得る物があるのが一番良い。さて、他の所も見に行こうじゃないか!
「それじゃあそろそろ次の所に行きますね」
「はい、私も他の所を見に行こうと思ってたので!」
さぁ、まだまだ見てない所もあるから見に行こう!
「まだまだ沢山見れる所はあるからゆっくり見て回ろう」
さぁて、今度は何処を見ようか……
「むむっ?あれはなんだ?」
なんだか面白そうな物が展示されてる……
「あの!これってなんですか?」
「これはトールビヨン……失礼。時計ですよ。って!ハチさん!?」
「ほほぉ、時計ですか。やっぱり歯車の組み合わせで時間が分かるってやっぱり凄いなぁ……」
メニューを見れば分かると言われてもやっぱりこうしてカチャカチャと小さなパーツが組み合わさり、動きの連鎖で時間が分かるこのロマン。しかもこれ、普通の時計じゃなくて、何か球体で凄いオブジェだ。家に飾る物としてもこれは立派だな
「これ、全部手作りですか?」
「はい。これは全部手作りです。金属を変形させて成形して作りました!」
おっ?金属を変形?これはもしかして……
「あの、失礼ですが、もしかして錬金術師ですか?」
「え、えぇ。そうですが……」
「おぉ、それならあっちに錬金術師と繋がりを持ちたい人が居たハズですよ」
「おぉ!錬金術師との繋がりを持ちたい方ですか。それは興味深いですね……」
人と人との繋がりがこうして出来ていくのは嬉しい事だねぇ
「まぁ、それはそれとして、このトールビヨンって全部手作りって事はこのギア歯とかも?」
「はい!これはかなり頑張りましたよ!」
それはそうだ。ギア歯の調整を手で作るなんて相当凄いぞ?設計図とかをしっかり作ってやらないとギア歯なんてきちんと作るなんて難しいだろう
「ハチさんになら見せても良いでしょう。これ本来なら非公開ですよ?」
「うおっ、これは……なるほど!この線がギア歯の部分で……これでサイズが」
「はい。これのお陰でギアを作る事が出来ました。だからこれは公表は出来ないんで……」
「勿論黙ってますよ。いつかそれが公表出来る位立派になると良いですね」
その技術が公表出来る位立派になれば、この人だって色々新しい仕事が入って来るかもしれない
「それよりも!なんですかあの巨大なオブジェクトは!」
「あっ」
そういえばここの中央に歯車時計のオブジェを用意してたな……
「あの超巨大トールビヨン!あんな物を用意するなんて素晴らしいじゃないですか!」
まぁ、正直あれはロマンだと思って用意したからなぁ……でも実は詳しい構造まで考えてないから張りぼても良い所なんだけど……まぁ気に入ってくれたなら良かった
「まぁ、時間が分かった方が良いかなって……」
「だとしてもあれは凄いっすよ!あの時計を見たからハチさんにはこれを見せても良いと思ったんですから!」
「そ、それは光栄ですね……」
やっべぇ……張りぼてでも認められたのは嬉しいけど、申し訳ない気持ちにもなってくるゥ……
「そうだ!こちら、1つよろしければどうぞ!」
「え、良いんですか?」
「はい。貴方の元に置いて頂けるなら喜ばしい限りです!」
申し訳なさが凄いけど、このトールビヨンを1つ貰えるなら貰っておこうか
「分かりました。それではこちら。頂きますね」
手作りトールビヨンを1つ貰ってしまった。うーん……どうしよう。これを元に僕もトールビヨンを作ってみるのもアリかな?
「はい、是非お納めください」
そこまでへりくだらなくても良いのにな……
「こういう事が出来るなら他にも何か製作とかってした事は?」
「あはは……お恥ずかしながら例のクリエイターズバトルフェスタに参加しておりまして……」
「おっ!」
まさかのクリエイターズバトルフェスタに参加してた人だったか。どれだろう?
「えっと、どのチームで参加してたんですか?」
「マッドスタッフの一部を作ってたと言えば、伝わるでしょうか?」
「マッドスタッフ!?あぁ!あれは素晴らしいコンセプトでした!そっか、あのマッドスタッフを作ってたのか。それならこの技術力も納得だ……そう言われると、これもマッドスタッフを作ってた技術の一部を使っている様な物なのか。いやぁ、凄い。実際に戦った相手とこうして技術交流みたいな事が出来て嬉しいです」
まぁ技術交流って言うなら、こっちからも何か技術を提供するべきだけど、何が良いかな?
「それは光栄ですね。クオン君でしたか、あの子に使われた超技術力の一端でも掴めればと思って参加してみましたが、ここは技術力だけでなく、ホスピタリティも素晴らしいです。ただ技術を磨くだけではダメだと思い知らされましたよ」
何か勝手に感銘を受けたみたいに言ってるけど、僕がこれが良いと思った事をしただけで、他には特に何もしてないんだよな……




