ニューオイル
「他の所も見てみよう。むむっ?」
あそこは……どんな技術を取り扱ってるんだろう?
「ここは……」
「これはこれは!いらっしゃいませ!」
「これはどういう技術なんでしょうか?」
見たところ金属とか布が色々置いてあるみたいだけど……
「おぉ!もしかしてご興味が?」
「いったい何だろうと思って聞いてみたんですが……」
あそこにあるのは鉄っぽいが、何か今まで見た鉄とは違う気がする
「これは研磨の技術です!鉄をピッカピカにする事も出来るし、武器にする時は鋭くして攻撃力をあげる事も出来ます!」
ほほぉ~、研磨された鉄だからこんなにピカピカしていたのか。確かに武器を使うなら手入れとして研磨は大事な事だよね。そこに注力した技術を発表してるのか
「しかも、修理や補修をしていた時に補修オイルを使っていたのですが、このオイル。特別な配合をした独自オイルを作った結果、鎧にほんの少しですが、魔法耐性を与える事に成功しました!」
「ほほぉ~!それは凄い!それじゃあちょっとでも能力をあげたい上位陣にはかなり引っ張りだこなのでは?」
普通に考えて、補修する時に能力値が上昇するならトップ層にはかなり人気の技術になりそうだけど……
「実は……この技術はまだ未発表でして……」
「あらまぁ……それじゃあもしかしてここで発表してから大々的に?」
「はい!そのつもりです!ですが、その前にここでまた新しい知見が得られるかと……」
やっぱり皆そうだよねぇ。自分以外から新しい知見を得られるかどうかを期待してここに参加している部分もあるだろう
「そうですね……新しい知見ですか……」
補修って面だと、僕が扱えるなかだと例の特殊修理が該当しそうだけど……アレに関しては多分言わない方が良い気がしてならない。いつか他の誰かが技術を一般化した時に僕も黙って使っておけばいいかな?
「一応、参考までにお聞かせいただきたいんですが、その研磨材とか、補修オイルって錬金術の技術とか使ってます?」
「錬金術ですか。それは使用してませんね……私は錬金術師では無いですし、錬金術師の知り合いも……」
こういう技術に錬金術が関与してないとはまた凄いな?
「それは是非錬金術の使用を視野に入れると良いと思います。錬金術だと乳化みたいな事が結構簡単に出来るみたいなので、そのオイルとかの効果がより高くなるかもしれません」
「なるほど!それは一考の余地が有りますね!ですが、そう簡単には……」
「忘れましたか?ここには沢山の技術者が居るんです。錬金術師の方もいらっしゃいますよ」
確認はしてないけど、居るはずだ。その人とコンタクトを取って協力出来ればより良い物が出来るだろう
「確かに!製法はまだ明かす訳には行きませんが、その素材の一部にはまだ改善の余地があると思って居たんです!そこを錬金術師の方に協力してもらえれば!」
「良い発見があると良いですね。それでは」
「はい!ありがとうございました!あっ良ければこのオイルをどうぞ!」
『マナディフェンスオイル を入手しました』
『マナディフェンスオイル レアリティ PM 鎧に塗る事で耐久値を50%回復し、MINDに+10を追加する』
おっ、サンプルでオイルを貰えたぞ?これはちょっと僕も後で解析させてもらおう
「ありがとうございます。これって、こっちで解析とかしても大丈夫ですかね?」
「勿論です!こんなに良い場所を提供して頂いたんです。そのくらいは問題ありません。勿論、商売敵になる可能性も考慮しましたが、確か……」
「あ、もしかして、僕がお金を入手出来ないって噂が広がってます?」
「はい……なので、貴方にでしたら情報が入ったとしても問題は無いかと。むしろ、更なる発展をしてくれればこちらとしても嬉しいです」
まぁ、お金が入手出来ない云々は割と公表されてた様な物だから別に良いけど、そういった信用のされ方もあるのか。これはある意味ラッキーだな
「分かりました。ではこちらのオイルは大事に預からせてもらいます」
「はい。よろしくお願いします」
「あの、因みに研ぎの技術って見せて貰う事って出来ます?」
折角なら研ぎの方も見たい
「なるほど!でしたらお見せしましょう!」
スッと懐から砥石を取り出し、小ぶりな果物ナイフを目の前で研いでくれる
「これをこうして……更にこうして……仕上げに更に……」
何種類も出て来る砥石で果物ナイフを研いで行き、最後に布で果物ナイフを拭くと、キラッキラに輝く刀身の果物ナイフが現れた
「ほぉ……これは凄い……」
「市販の果物ナイフでも、木のまな板位ならスパッと行けますよ!」
それはスパッといっちゃいけない物なんだよなぁ……
「いやぁ、これは凄い研ぎ技術ですね。そっか、武器を使うならこういうのも大事になるか……」
武器を研ぐって事はまるで考えてなかったな。確かに、伝説の戦士が使ってた武器を伝説の研ぎ師が復活させるとかゲームやら本やらで見かける事はあるわ。ふぅむ……そういった壊れた遺物とかを探して、修復したら皆に使ってもらうとかもアリかな?




