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1680/2016

解析

「これに関しては見て覚えてくれとしか言えんからのう……長年の経験で得たもので、これはただ縫い方を教えるとは訳が違う……今回のを見て覚えられなければ諦めるんじゃな」

 これは完全に僕が何かしでかさない様にって事なのか?まぁどっちにしても、ここを作る事が出来たなら多分これ以上作る事もないかもしれないが、この技術は覚えておいて損は無い


「それじゃあ見させてもらいますね」

「では始めるとするかのう」

 ガラスの針で空間とゲートバッグにする物の入口付近に穴を空け、魔力を籠めた糸を空間の穴に入れると、ゲートバッグ側の穴から糸が出て来た。これを繋ぎ合わせて空間の固定化をするんだな


「この空間に穴を空ける事は出来ても、その空間の穴同士を繋げるのが難しいんじゃよ」

 確かに、今のヨーランさんが空間に空けた穴に糸を通したけど、どうしてその糸がその穴と繋がるのかというのが説明出来ない。アイテムゲート側に先に穴を空けてからゲートバッグ側に穴を空ける。その順番だと穴を空けた順番が関係してるとも言い難い。最初に空けた穴と次に空けた穴が連動しているとかならまだ分かりやすかったんだが……そういう訳でも無いみたいだから、自分の意思で糸を通す所を選んでいるのか……


「あの探る様な目の動き……空間に空けた穴から繋ぐべき所を探しているのか?」

 一瞬だが、ヨーランさんの鬼気迫る表情が見えた。穏やかなヨーランさんがあんな表情になるとは余程難しいのかもしれないな


「ふむ、これでまずは1つだ」

 アイテムゲートとゲートバッグの接続が完成したので、これで1つ完成した訳だ


「残り9回以内に全容の把握が急務か……」

 ヨーランさんが代わりにアイテムゲートを設置してくれるらしいから様子を見れるのが残りが9回。それまでに僕が覚えられれば良いんだけど……


「完全な把握までは不可能かもしれませんが、解析に全力を尽くします」

「ありがとう。一緒にあれを解明しよう」

「とりあえず俺も考えてはみるけどよ……」

 僕、オートマトンさん、ライマーさんの3人でどうすれば再現出来るか考えよう。この技術をしっかりと覚える事が出来れば他の所でも利用出来る可能性もあるし、何よりも空間の隙間の化け物に会う方法とかも確立するかもしれない




「ふぅ……とりあえずこれで終わりじゃな。どうかのう?何か掴めたかのう?」

「とりあえず大きな枠組みとして、開通と維持で良いのかな?」

「そうですね。空間へ空けた穴を維持する事でここに開いたトンネルを通る物は自由に行き来が可能になる。そのトンネルが崩壊しない様に維持するのがあの糸の重要な役割。空間に穴を空ける技術よりも、維持する糸の生成の方が重要かもしれません」

「空間の接続って事を考えると、逆に他と干渉しない絶縁処理的な事も必要なのかもしれないな……」

「そうなると、やっぱりあの糸の情報の解析をより注力した方が良いですね」

「ある程度の解析結果を見せて貰えたから俺も少しは協力出来るが、にしてもコイツはすげぇな……」

 ヨーランさんそっちのけである程度解析出来たアイテムゲートの情報に夢中な僕達。やっぱり新しい情報とか入手するとワクワクするよねぇ


「のう……流石に放置は悲しいぞ?」

「あ、すみません。ちょっと盛り上がっちゃって……割と皆研究者気質な所もありまして、たまにこんな感じになっちゃいますね」

 ライマーさんは初めての加入だけど、こういう何かの手がかりを見つけてそれを探すのに皆で話合うって楽しいよなぁ……


「とりあえず、僕らの推論は合ってますかね?実は空間に穴を空ける技術よりも、その空けた穴を維持する糸の方が重要だって事は……」

「そうじゃな。穴を空けるのは実際道具があれば出来る。穴を空け過ぎない様に気を付けてやれば良いだけじゃ。じゃが、この糸は中々に厄介でのう……ゲートに合わせた糸を用意してやらんといかんのじゃよ」

 おっ、ちょっとヒントが出て来たぞ。やっぱり糸がめっちゃ重要みたいだ。どう考えても穴を維持する糸の技術の重要性が低い訳が無い


「となると、ヨーランさんが真に凄いのは瞬時にそのアイテムゲートにどういう糸が必要か判断して使用しているって事ですね」

「本当に凄いのう?10回見ただけでかなり分かっておる……じゃが、これ以上は流石に出来んのう……儂も疲れた」

 流石に10回もやれば疲れても仕方ない。これ以上はやらないというのも約束してた事だから要求もしない


「ありがとうございました。お陰様でここは何とか形になりました。そうだ、オートマトンさん。紡績機とかヨーランさんに見せたいんだけど、良いかな?」

「ほう!?」

 めっちゃ喰い付きが良い


「それでしたら、こちらへどうぞ。武器庫の改良はこちらで行っておきます」

「お願いします」

 オートマトンさんが何体も居るからこそ出来る引継ぎ。この引継ぎのお陰で同時に色々任せられるから凄く助かるんだよな




「ほっほー!これはまた立派な設備じゃのう!」

「必要な物が有るのでしたら、追加で生産致します」

「このような至れり尽くせりな環境で布を作れるとは……なるほどこの島の重要性は聞いていた以上やもしれんのう!」

 ヨーランさんにとっての宝の山というか、シャングリラなのか、ここの施設は大分気に入ってくれたみたいだ



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― 新着の感想 ―
うーむ、糸に維持に必要な属性を付加して高度な柔軟性を与えているとかいうのかな~? と言うか、研究者気質はそこに居る全員なんだよなあ、師匠も楽しそうにまあw
研究者気質の3人にガン見されながらゲートバッグの作製するのは、なかなかに居心地悪そう
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