守る為に
「それで、いったい何をしようとしているのか話は聞かせてもらえるかね?」
「はい。一応周りに人が居ない所でお話しましょう」
秘密の話をするのに周りに人が居たら秘密じゃなくなるからね
「それもそうじゃな」
そういう訳で2人で人の居ない路地に行き話をする
「一応、先に結論から言いますと、僕が学びたいのはアイテムバッグの機構がどんな物なのかが知りたくて、布じゃなくても可能なのか、また大量に作る事が可能なのか、その辺りが知りたいです。理由としては、僕の仲間にオートマトン達が居て、そのオートマトン達がミスリルを生産可能。だから僕が居なくても自衛が出来る様に、様々な相手を想定した武装は準備出来てもそれを持ち運ぶ事が大変なので、その問題を解決出来そうなアイテムバッグの知識が欲しいんです」
「という事は、戦争の道具としてのアイテムバッグの運用を考えていると?」
まぁ、そうなっちゃうよねぇ……
「そう捉えられても仕方ないと思います。自衛の為とは言いますが、見る人によってはそうは思えないと」
何かあってからでは遅い。何かが起こる前に行動するから準備であって、起きた事に対処出来るんだ
「確かにこれは協力すると言ったからには抜けられんな。軍事機密と言っても良い。それにミスリルか……なるほど、だからこの布を見せたんじゃな?」
「ええ、僕の仲間なので、その地で生まれたミスリルは僕が管理している状況です。そして、その布にはミスリルが織り込まれています」
「ミスリルを糸にするほどの加工技術……これは確かに情報が漏れてしまえば色んな国が争う事になっても不思議ではない……この技術を発表する事は出来るのか?」
技術を公開すれば、確かに狙われる事は少なくなるだろう。でも……
「現状でミスリルの糸を他に見た事が無いので、今はオートマトン達じゃないと作れない可能性が有ります」
「そうか……状況は何となく分かった。確かにこの加工技術が有るのなら、他に武装を作っていても不思議ではない。それに、アイテムバッグの使い方もそういう風に使いたいという事も充分分かる……」
何か他にも言いたそうだな。とりあえずその言葉を待つか
「じゃが……」
「あの、良かったら一度その島に行ってみませんか?」
「なぬ?」
困ってるなら選択肢を増やしてあげよう
「一応、僕は死神さんのお手伝いもしてて、霊だとしても僕と契約して呼び出せる状態に出来れば、現世に霊の方でも呼べるんですよ。なので、一度現地を見て貰って、可能かどうか判断してもらうとかどうでしょう?」
「ほう、そんな事が可能なのか?ふぅむ……ある意味死神との契約か」
「あ、勿論、契約って言ってもこちらから強要する事は何も無いですよ。元々戦う時に手伝って貰う為の物なので、ヨーランさんをそんな場面で呼ぶ事はしないですから」
「なんだかそう言われると騙されている様に感じるのう……」
「ははは、そうですね。僕はヨーランさんの事を騙してますよ~。僕としてはヨーランさんと契約したらヨーランさんに色んな種類の布とか作ってもらおうなんて考えてます」
「ほう……それは騙されてしまうな?」
さっきのハイブリットクロスへの反応を見るに、普通に新素材とかにはまだ興味があるんだろう。だからこそ、僕はヨーランさんに新素材を生み出す研究とかをしてもらいたい。冥界で案を練って、現世で作る。これが出来るのが今の僕達だ
「さぁ、どうしますか?死神のお手伝いをしているこんな胡散臭い奴の手を取りますか?」
「君は自分の魅力をよく理解しているのう。一度人生を終えてここでゆったりしようと思って居たが……これだけ色々と見せられたらまだ気になる事が沢山あるのう……」
正直どっちが相手に興味を惹かせるかの勝負みたいな状態だったかもしれないけど、これは僕が勝ったと言っても良いのかな?
「よし、それでは1つ。お願いがあるんじゃが、良いかのう?」
「はい、何でしょう」
「名前じゃよ。名前。そう言えば聞いていなかったからのう」
「あぁ、そうでしたね。僕はハチという名前です。そうだ。契約して現世に行ける状態になったらメロにゃんさんに会いますか?」
「……いや、止めておこう。偶然出会ったらそれは運命かもしれんが、流石に死んでしもうたのにまたすぐ会ってしまってはつまらんじゃろう?どうせ会うならもっと後じゃな」
良い性格してるなぁ?まぁ確かにすぐに出会うのはあんまり良くないかも
「分かりました。メロにゃんさんとはすぐには会わない様にしましょう。それじゃあヨーランさん。僕と契約してくれますか?」
「うむ、これからよろしく頼むぞい」
『ヨーラン と契約しました』
これでヨーランを現世にも呼び出せる様になった
「それで、いったいどうやって現世に行くのだ?」
「僕の召喚は魔法体を作ってそっちに意識を飛ばす形なので、向こうに着いたらお呼びします」
「なるほど」
「あ、ついでに他の仲間を連れて行っても良いですかね?同じ島に用事があるので」
「構わんよ」
よし、許可を貰ったし、ライマーさんも連れて行こっと!




