ボス討伐準備
「あ、ありがとうございます!これはとても使いやすいアイテムです!本当にありがとうございます!」
ペコペコお辞儀を繰り返すマシーンとなってしまったトーマ君
「夜だから街には入れないけど街の近くまで送ろうか?」
これで街まで送る事になれば草と花、どっちが優れてるかの議論を終わらせて草の方が良さそうという印象を与えて草信者を増やす事が出来る……自分で言っておいてあれだけど草信者ってなんだ?
「いえ、夜の間にしか咲かない花があってそれを探すまでは帰れません。自分だって役に立つんだって他の人にも分かってもらう為にも!」
「んー、要は攻撃用アイテムを作る為の素材が夜の間にしか出てこないからそれを取るまでは帰れないと」
草信者を増やす事は無理だったかぁ……
「それを探したらどうするの?」
「ボスに挑もうかと……次のボスはゴーレムらしいのでハンマーの打撃や爆発魔法が凄く効くらしいんです!1人で攻略した人も居るらしいので自分も誰かと協力すれば突破する事が出来るんじゃないかと」
ハンマーと爆発魔法……思い当たる人が2名居ますねぇ……グランダさんとガチ宮さんは元気にしているだろうか?
「そこでアイテムを使って活躍して他の人にも認めてもらう……と?」
「はい!」
「そんな事しなくても充分だと思うけど……自分だけの隠し技とか良くない?」
錬金術は充分強いと思う。何事も使い方次第だ
「そ、そうですかね?」
「ねぇ、トーマ君?フレンドになってくれないかな?」
「えぇ!?」
急過ぎたかな?とりあえずまずはフレンドになって彼との距離を少し詰める所から始めよう
「自分なんかがフレンドになっても良いんですか!?」
「ハスバさんがフレンドだからそんな事気にしないよ」
「ハスバさん……確かにあの人とフレンドなら気にしないというのも納得出来ます!」
ハスバさんの扱いはやっぱりこんな感じなのか。でも良い仕事したぞハスバさん?直接お礼は言わないけど
ハスバさんがフレンドだから気にしないと言ったお陰ですんなりトーマ君とフレンドになれた
「ハチさんって言うんですね?よろしくお願いします!」
「うん、よろしく。じゃあ友達として言うけど、もっと自信を持って良いと思うよ?」
フレンドになった事でただの他人よりは響いてくれるかな?と思って言ってみた。どうかな?
「そう言われても……」
「……よし!トーマ君。僕とボス討伐しよう!僕がトーマ君を守るからダメージを与えるアタッカーはトーマ君に任せる!爆弾が作れればボスを倒すのだって出来るんでしょ?」
「えぇ!?」
たまには僕だって役割を分けたパーティ戦というのもしてみたい。僕がタンク(壁役)でヒーラー(回復役)で……あれ?まぁ良いか
「夜の間に探すんでしょ?ほら、一緒に探すから」
「ちょちょちょ!?たった2人でボス攻略する気ですか!?」
「さっき自分でソロで倒した人も居るって言ってたじゃん?トーマ君だってほとんどそれと同じくらいの事が出来る力があると思うよ?ほら、朝が来る前にさっさと探そう」
「え、えぇ……」
強引過ぎたかな?でもトーマ君には自信を持って欲しいからこれくらいの荒療治?をしよう。まず錬金術師とか名前からしてカッコ良いんだからトーマ君が強くなればもっといろんな人が錬金術に目を向けてくれると思う
「わ、分かりました!とにかく探しましょう!」
「とりあえず形を教えて?僕も探すから」
「はい、火の玉のような花です。見つけたら回収お願いします」
「了解」
トーマ君の爆弾を作る為の素材を集める事を手伝う。火の玉かぁ……
「うわぁ、本当に火の玉だ……」
夜の花畑の中に火の玉が浮いている。あれが爆弾の素材になるのか……
「わぁ!6つもある!ラッキーですよ!」
トーマ君が花に駆け寄る。あぁ……周りを見てないからポイズンマンイーターに気が付かなくて絡まれたんだろうなぁ……
「おっと!足元危ないよ?」
トーマ君の足元に蔓の様な物があったので踏まない様に何とか止める。なんかモニクと言い、トーマ君と言い、保護者みたいなポジションになってきてないか僕?
「これは……マンイーターの蔦!ごめんなさい、もう少しで戦闘になっちゃうところでした」
「僕が取ってくるから待ってて?」
僕なら【擬態】や【欺瞞】等があるからトーマ君よりもバレない可能性は僕の方が高い気がする。あの火の玉の花を回収するなら根から回収した方が良いのかな?炎熱花の前例を踏まえて火が出そうな花は地面から掘り出して取ろう
「まぁそんな見え見えのトラップには引っかからないよ?」
暗いから蔦を踏んだ場合にその場所を目掛けて飛び掛かってくるんだろう。だけど【ゲッコー】の効果で普通の【暗視】よりも長い距離が見えるから蔦を避けるのも簡単だ。蔦のトラップを避け、火の玉の花の目の前まで来る
「回収回収!」
手早くナイフで花の周りの地面を掘り、根っこごと火の玉の花を回収する
『火玉花 ×6 を入手』
後はこれを持って戻るだけ……微妙に蔦の場所を変えてるな?花が抜かれたとかその辺の微妙な地面の変化と感じ取っているのか?だけど残念。行きと帰りの蔦の場所が違ったとしても僕が引っかかる事は無い
「よし、必要なアイテムはこれだけ?」
「はい!それがあれば作れます!こんな事までありがとうございます!」
トーマ君一人だとやっぱりちょっと頼りないと言うか注意の目が足りていない。仲間が居ればというのも分かるなぁ……あっ!ダイコーンさんのはんぺんみたいな子が居れば少しは周囲警戒を負担してくれるんじゃないかな?