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1664/2015

師匠の心配

「あぁ……多分神様のイタズラとかじゃないですかね?」

「まぁまぁ、君がそう言うのならそれも普通に考えられるけど……」

 普通に考えられるんだ。ちょっと冗談チックに言ったけど、まぁ僕自身も神様(ニャラ様)の仕業だと思ってるし、そこは否定しない


「それで、拷問器具が魔力を伸ばすってどんな経緯で?」

「えっとえっと、別に良い話ではないんだけど……昔、魔法を使った犯罪者が居て、ソイツから魔力を奪う刑としてこの器具が使われていたんだ。それでそれで、毎日魔力を奪われる刑をしていたんだけど、逆に自身の魔力を強制的に吸い尽くされた事で、より多くの魔力を体に貯める事が出来る様になっちゃって、これの使用はすぐに廃止されちゃったんだよね」

 あぁ、犯罪者に対しての刑として使ってたのに、これ逆に良い影響が出てるんじゃないか?って事で即廃止と……先に実験してたとしても、やっぱりイレギュラーは起こる物だからそのイレギュラーが発生したという事でこの刑は無くなったのかな。なんか死刑執行されても、生きてたら釈放みたいな話もあった様な気がするし、犯罪者が強化される様な事になってはいけないって事で無くなったのか


「でもでも、そういう事は強くなりたい貴族とかの中でも話題になったりして……裏で取引とかはされてたんだけど、基本的に耐えられなくてすぐに止めたり、そのまま死んじゃう人達も居たんだよ……」

「なるほど……これってそんな過去がある代物なんですね」

 まぁ、元々刑として使ってた物を強くなる為にって適当に使っちゃえば、そりゃあ良くない結果になっても不思議じゃないよね


「そうそう。だからこそハチ君用にしっかり安全と危険のギリギリな所を狙って設定してたんだけど……思いっきり危険ゾーンど真ん中で訓練してるから焦ってるんだよ……」

 なるほどねぇ……まぁでもその危険ゾーンでも訓練出来てるならこの位が丁度良いんじゃないかな?


「意外と何とかなった所とか考えるとこの位でも何とかなるみたいですね。個人的にはもう少し負荷を高めようかなって思ってた所なんですけど……」

「ねぇねぇ、ハチ君っていったいどんな戦場を想定してるの?」

「え?まぁ、魔力が吸われてしまう様な土地とかでも戦える様にしたいのと、魔力吸収とかしてくる相手にも対応出来る様に……ですかね?単純に過酷な環境で生存出来る様にしたいんです」

「そんなにそんなに追い込んでも相手が居るかも分からないのに……」

 ほう、そんな事を言うか


「まだ見ぬ土地」

「ん?」

「まだ見ぬ生き物。まだ見ぬ食材」

「むむ!?」

「知ってますか?過酷な環境って少ない栄養を逃さない様に植物は実に糖分を蓄えたりするんですよ?つまり、過酷な環境を生き抜く生物こそ美味しい食材である可能性が高いんです。魔法で完璧に育てた~とかじゃなくて、自然の中で過酷な環境を生き延びている奴だからこその味がそこにある……でも、それを取りに行けるかどうかは話が別です。師匠だって、魔法で色々出来るかもしれませんが、魔法が使えない土地の物とか自分で取りに行けますか?」

「うーん、うーんそう言われると……」

「どんな所でも行ける様になるってつまり、どんな所にもある食べ物を取ってくる事が出来るって事の言い換えにもなる訳です。勿論、実際に食べてみたりしないと分かりませんが、いっつも僕が料理をしたら食べに来るのは誰ですかね?新しい食材を使った料理を食べたくないって言うのなら別にそれで構いませんが……」

「ちょっとちょっと!その言い方はズルだよ~!」

 様々な環境に居る様々な生物。それを料理してみたい気持ちもある。一応、ワリアさんに美味しい料理を作るって約束もあるからワリアさんも知らない様な食材とかを使って美味しい料理を作る為にも、行ける環境は多ければ多い方が良い


「この先どういった地形だったり環境が出て来るか分からないからその対策も込みで修行が出来る。絶対的な安全をこの先ずっと保障出来る冒険なんてないですから、だからこれの強度を下げるのは止めてください。まだ先に進む為にもこの程度耐えられないと僕が求める物には到底手が届かないと思うので」

 美味しい料理を作りたいの他にもニャラ様をぶん殴るって目標だってあるんだ。ならこの程度で止まれる訳がない


「分かった分かった。もう止めないよ」

「じゃあ、モルガ師匠が居るならもう一段階強度を上げても良いですよね!」

「いやいや、君ねぇ……」

「これ、僕の新しい訓練の為にも丁度良い負荷なんですよ。頭が割れそうになるくらいまで追い込める環境なんてそうそう作れないんですから、どうか!」

「分かった分かった。でも、まずは一回きちんと休憩を入れる事!それが出来ないならもうこの箱は貸さないよ!」

「分かりました!じゃあ休憩の為にお菓子でも作りましょう!」

「良いね良いねぇ!それは乗るよ!それじゃあパンケーキをよろしくぅ!」

 調子良いなぁ……まぁ今後もこの箱を使うなら連続使用は避けて休憩は挟む様にしようか。モルガ師匠がかなり心配してるみたいだし……多分「このままじゃ心配でパンケーキ3枚しか食べられない」とか言われかねないし……


「全く全く。困った弟子だ。こんなんじゃ心配でパンケーキ5枚しか食べられないよ」

 もっと上だったかぁ……



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― 新着の感想 ―
今までの中で1番師匠らしいと思ったけどまだ見ぬ食材!辺りから「あっれぇ?」となっちゃったよ…
「刑罰修行、そういうのもあるのか!」 いやまあ、パンケーキ5枚で危険な刑罰の監視をしてくれるなら安いものですねえw
心配じゃなければ何枚食べられるんだ……?
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