真淵
「まじ?これ丁度良い負荷だと思ってたんだけど……まぁ休憩がてら看板でも建てに行くか」
連続で精神的特訓をするより、一旦気持ちのリフレッシュをしてからもう一度やった方が効きそうだし、今の内に看板を建てに行こう
「おぉ……なんて完璧な石畳……流石ゲヘちゃん。やるなぁ?」
ゴーレムっぽいゲヘちゃんに石畳を任せてみたら、素晴らしい石畳の道が出来ていた。まずはこの石畳の始まりの部分に看板を建てて、そこからは後は何mとかの看板を建てれば良いかな?まぁ個人のイベントだし、この位用意しておけば充分だよね?
「よいしょー!よいしょー!」
看板を地面に打ち付けて、後は当日になるまで布でも掛けておけば良いだろう。よし、これで看板はオッケーっと。息抜きとしてもこれで充分かな。さ、もう一回やりに行こう!
「ただいまー。そして訓練行くぞー!」
「あの、モルガ様が……」
「え、ごめんあとd……」
そのタイミングで話しかけられるって思ってなかったから答えようと思ったらそのまま箱に吸われてしまった。モルガ師匠がどうしたんだろう?またおやつが足りないとかかな?まぁもう入っちゃったし、訓練訓練っと
「くぅ……やっぱり頭痛い……けど」
流石に3回目ともなればある意味その痛みに対しても耐性が出来たかもしれない
「まだまだ全然、戦えるねぇ!」
思考を乱される訳でもなければ、体の自由を拘束される訳でもない。頭が割れる様な頭痛が有る位だ。全く戦えない訳じゃ無い
「もう一回、あの部分展開で……ぶっ壊す!」
手足にのみ真淵を纏い、襲い掛かる触手をぶっ潰す。待てよ?この真淵ってアーマーみたいな状態に出来るんじゃないか?
「全身真淵……展開してみるか?」
消耗は可能な限り避けたいから部分展開で何とかなる所は何とかしたいけど、やっぱりこういう環境でも問題無く使えるかどうかを見極めておいた方が自分の為にもなる気がする。ここは一回やっておこう
「しゃ!やってやる!」
全身に真淵を纏い、あえて一撃を貰ってから返す。これで耐久値とかその辺を調べてみよう
「ん?今の……ぐぅ!?なんっ……ダメだ……まだだ。まだ手放すな……」
真淵装甲で触手の横薙ぎの一撃を受けてみた。真淵装甲によって弾かれた触手自体からダメージは受けていないが……その後に頭から張り裂けそうな痛みが全身を駆け巡る。確実に今ので意識を手放してもおかしくは無かったが、今のが何なのか知りたい。だからこそ、絶対に今倒れる訳にはいかない。この正体はいったい何なのか……探る為にはもう一度やってみるしかない
「限界なんてのは、勝手に決めてるだけだ……まだ僕は……ぶっ倒れてない!」
倒れそうになる自分の足を抑え、何とか踏みとどまってもう一度前を向く。確実に今のは何かが起きていたはずだ
「さぁ、もう一度打ってこい……」
全身に真淵をもう一度纏い、攻撃の瞬間を見届ける。あの衝撃が来るまでラグがあったから今度は反撃もセットだ
「はぁっ!……っ!」
攻撃を喰らい、装甲で受ける。装甲でしっかり防げているから攻撃が突破された訳ではない。反撃の一撃も僕の攻撃がヒットするのは僕の腕よりも一回り外側。だから真淵が敵と触れて攻撃とかを行っている訳だ。そしてその後にとてつもない痛み。間違いない。この真淵……まだ使いこなせてない……んだ……
「はっ!あちゃ~……今回のもう終わっちゃったか」
あの感じ。確かに防御性能とか攻撃性能は良かったけど、絶対使いこなせてないから反動みたいなのが僕に返ってきてあのとんでもない激痛になっていたのかもしれない。うむむ……これはまた修行のし直しかなぁ
「ハチ君!ハチ君!大丈夫!?」
「あ、モルガ師匠。何ですか?もうおやつが無くなったから新しく作れとかの催促ですかねぇ……全くしょうがないんだから……」
「いやいや!そうじゃなくて!なんであのツマミを弄っちゃうんだい!?あれは、ハチ君が前回やった段階から私的にハチ君の耐えられそうな限界値で設定してたのに!」
あれま、まさかのアレ既に設定済みだったのか。まぁだとしたらモルガ師匠の目測は間違ってたって事だな
「まぁ、それは置いておくとして、モルガ師匠?クオンから聞きましたが、あれって拷問器具みたいな話を聞きましたよ?」
「そうだよそうだよ!本来の使い方はアレを使って相手を苦しめて情報を吐かせるって代物だったけど……ハチ君なら私の設定で訓練に使えると思って……アレは下手すると本当に死んじゃう物なんだよ!?」
いや、ならそんな物を持ってこないでと言いたい所だけど……この位じゃないと役に立たないと思ったからコレを選んだモルガ師匠を責めるつもりはもう無かった。こんなにちょっと泣いてるとなると割とガチっぽい
「じゃあ、あんな手紙だけ残しておかないでくださいよ……普通に色々弄っちゃって2、3メモリ位上げちゃってますね?」
「だからだから、心配してるんだよ……今ハチ君がやってる強度って過去死んだ人が出てこのアイテムに使用制限が出たんだから……というか、なんでしっかりとセーフティの設定であれ以上メモリが上がらない様にしてたはずなのに上げられてるんだい?」
本来は上げられない設定だったから置手紙だけで自由に使って良いって事だったのか。それなら納得……となると、これは……ニャラ様辺りがやったな?




