ポイズンマンイーター
「さて、どうするかな?」
毒沼に潜むポイズンマンイーターの姿は見えない。試しにその辺に落ちてた石でも投げ入れてみよう
「「「「ギシャアアア!」」」」
うわぁ……なにこれ?ハエトリグサ?毒沼から急に顔を出したそれは凶悪な牙が生えている様な植物と言うべきなのか動物と言うべきなのか……とにかく石が落ちた所に向かってその頭の様な部分が噛みついていた。こっちに攻撃はしてこない所を見ると目で見て確認しているという訳では無さそう?
陸の小島と化した場所から3方向に石を毒沼に投げてみると3つの頭が石の落ちた所に噛みついていた。要するに毒沼に触れたら攻撃される感じかな?んーでもそれだと飛び越えれば余裕なんじゃ無いか?
「気を付けてください!毒沼に近付き過ぎると噛みついてきます!」
「うおっと!?」
毒沼から急に飛び出してきたポイズンマンイーターの牙を寸での所で後ろに転がり、回避する。危なかった……
「目が見えないって訳じゃ無いのか……」
「遠くが見えないだけで近くの物は見えてます。だから自分はここの真ん中に居るしか出来なくて……」
「なるほど……あれ?何か陸地狭くなってない?」
後ろに転がって初撃は避けたけど何か囲まれた陸地が一回り狭くなった気がする
「はい、時間が経てばどんどん毒が増えて最後は毒に飲まれてしまいます。だから何とかならないかと救援を頼んだんです」
「時間制限有りって訳ね……やってやろうじゃないか」
黙っていたらトーマ君だけじゃ無く、僕だってこのポイズンマンイーターにやられる可能性が高い
「え!?ちょっと!?」
後ろからトーマ君に呼び掛けられるが、構わず僕は毒沼に1歩踏み込む。アストレイ・オブ・アミュレットの身体系状態異常超耐性と【天衣無縫の器】の自身への状態異常発生率減少。この2つがあれば毒沼に入ったとしても何とかなる……いや、何とかしてコイツ等を倒す!
「「「「「「ギシャアアア!!」」」」」」
僕を囲うように毒沼から出てくるポイズンマンイーター。6体か……これは流石に毒沼から上がっておかないと足を持っていかれるかもしれない。一旦陸地に引くけどポイズンマンイーターのヘイトを僕が集めて、完全に僕をロックオンしている。陸地に上がっても僕に噛みつこうとする頭が1つ。単純な突進噛みつき……だな?一応注意して回避しよう
「よっと!……はあっ!」
上半身に噛みつこうとする攻撃をスライディングで回避すると自分の上には細い蔦。ポイズンマンイーターの頭の後ろから出ている蔦だ。これを見ちゃったら手刀で斬るしかないよね!
「ギャッ……」
細い蔦だからなのか、僕のステータスが色々と上がっているお陰なのか、ポイズンマンイーターの蔦を手刀で断ち切る事が出来た。断ち切った後は急速に枯れる様に頭がカラッカラになって、その頭が地面に落ちた。口を開かれると牙が中々危ないけど、それを回避してしまえば後ろは無防備な細い蔦。このくらいなら2体、3体同時に来られたとしてもキリアさんのフランキスカ以下の速度だから避けるのも簡単だ。ちょっと大きく避けないと牙に当たってしまうけど【パルクール】のお陰で相手の噛みつき攻撃の上を取って転がって蔦を手刀で斬る……躱して斬る。追撃が来なくなったら毒沼に入ってポイズンマンイーターのヘイトを稼ぐ。そして出てきた頭をまた……と繰り返してポイズンマンイーターの頭を落としていく。頭を落としていくと毒沼が減ってる?
「す、凄い……あっ!ポイズンマンイーターのコアを破壊してください!」
トーマ君が後ろから声を上げる。毒沼は既に水を張った田んぼくらいの深さでトーマ君でも渡れそうだけど、残っている沼の中にポイズンマンイーターの蔦が絡まっている様な物があった。よく見てみると蔦の中に紫色に光っている球状の物がある。アレを破壊すれば倒せるのか
「よーいしょっと!」
ピクピクしている蔦の中から心臓部と思われる紫色の物を引き抜く
「キュイイイイ!!アァァァ……」
ポイズンマンイーターは全て枯れてしまい、カラッカラの死体だけが残り、毒沼は綺麗に無くなった
「助かりました……ありがとうございます!」
「とりあえず怪我は無さそうだね?」
毒沼が無くなった事でトーマ君も歩いて出られる様になった。見た所ダメージを受けた様子は無い
「貴方は……本当にあのイベントの時の人ですか!」
「イベントは出たけど……」
イベントには出たけどイベントに出た人は僕だけでは無いから「あのイベントの時の人ですか!」って言われても困る
「エントリーナンバー815さんですよね!」
「あぁ、それは僕だね?」
「うわぁ、本物だぁ!」
有名人ってこんな感じなんだろうか?ちょっと嬉しいな
「ハスバさんが815さんとフレンドだって嘘じゃ無かったんだ!」
僕としてはトーマ君がハスバさんとフレンドだっていうのも不思議な気がする。まぁ人の交友関係にどうこう言うつもりは無い
「そういえばこれの素材は要るの?要るならあげるよ?」
「い、良いんですか!?ありがとうございます!」
何となく有名人として扱ってもらえて嬉しかったからトーマ君にサービスだ