地獄の追跡者
「こっちの方から……あっ、アイツか?」
地獄から逃げ出した相手を探していたけど、なんか腕だけ幽体みたいな雰囲気のキリエさん達を更に過激にした様な服と言っても良いのかレベルの服装?の奴を見つけた。オーラ的にプレイヤーという訳でも無さそうだし、この近辺でそんな強そうなオーラを出してるのはその1体のみ。フィールドのレベル的にもあれは異質だ
「ちょっと、そこの方」
「ん?あぁら!これはまた美味しそう!」
うーわ、距離感おかしいタイプか。この露出の多さ……まさか遂に来たか?
「うっふ~ん、あんな所つまらなかったし丁度良いわ~!貴方を頂いちゃうわ!」
「うわっ……」
もう目に見えるレベルのピンクの波動。確実にチャームを発動してるなぁ?
「そうねぇ~?まずはどうしようかしらぁ?」
多分僕がチャームに掛かったと思って居るんだろうけど、今のところ体にも精神にも何の問題も起きていない。これなら一旦このまま様子見しても良いかな?
「それじゃあまずは3回回ってワンって鳴きなさい」
「ノー」
「えっ」
一応、少し離れた所でレイさんも見てるからね。ここで下手に変な動きをすれば、それこそレイさんの霊の矢に撃ち抜かれるかもしれない。だから断る
「そ、それじゃあ……そうだ!跪いて足を舐めなさい。そうしたらご褒美をあげるわ。返事は?」
「ノー」
「えっ」
勿論ノーですねぇ?
「じゃ、じゃあ!マッサージしなさい!ね?もうご褒美みたいな物でしょ!?」
「ノー」
必死になってる所悪いけど、別にそれはご褒美でも何でもない。確かに見た目はかなり際どい所を攻めてるから人によっては言う事を聞くのかもしれないが、これは確実に地獄から逃げ出した存在だろうから僕が連れ帰る為に相手の見極めが大事だろう。誘惑しようとしても、オーラが何か、乾いている感じ……見た目は綺麗でも、中身まで綺麗とは行かないんだろうな
「な、なら先にご褒美をあげるわ!それで私の言う事を聞きなさい!」
「じゃ、地獄に帰りましょうか」
「えっ……」
「僕、死神さんの仕事のお手伝いなんで【バインドハンド】」
一旦、油断している相手に触れて、動けなくする
「レイさん。拘束矢とかあったら今の内によろしく」
「分かった」
レイさんの弓から放たれた矢は空中でロープの様にぐにょぐにょになり、相手の体に巻き付いて拘束した。なんかついでと言わんばかりに目も見えない様に拘束されてる
「一応、サキュバスだと、誘惑の魔眼で、相手を支配してくるから」
「なるほど、サキュバス相手みたいな状態なら先に眼を潰せば良いんだ」
「ちょ!何怖い事言ってんのよ!?ど、何処?大人しくするからぁ、この拘束を解いてぇ……」
なるほどなぁ……魔眼かぁ。確かにそれなら魔法を使って来るかもしれないと、口を塞いでも、眼を合わせてしまって魅了されるなんて事になるかもしれないのか。相手によっては拘束方法を考えたりする必要もあるかも……まぁ、こういう場合は別に対策とかしなくても良いんだけどさ?
「何が目的で地獄から抜け出した?」
「え?」
「質問に答えてください。何が目的で地獄から抜け出した?」
一応、今回はチュートリアル的な感じかもしれない。このサキュバス相手に質問してどの死神さんが相性が良いのか探ってみるか
「それは勿論、現世に繋がる所が丁度開いてたから久しぶりの男漁りがしたかったから……」
多分嘘は言ってないんじゃないかな?欲望に忠実っと
「男漁りをしてその後どうするつもりだったんだ?」
「力を蓄えて……自分の天下に……あぁん!」
またなんか変な事を考えていたみたいだったので、拘束した状態で背中を踏み、地面に押さえつける
「そんな天下が来ると思って居るのか?」
「あっ、この感じ……初体験っ!」
あ、ちょっと待って?これは……なんだろう。凄く既視感がある。久々にあのスク水が見たくなって来たかもしれない……
「はぁ……というか、この状態ならもう誰が来ても同じなのでは?」
単純にレイさんの拘束矢が滅茶苦茶強いだろうし、僕も一応は拘束可能だし、多分手が幽霊みたいな半透明だったから、本来は攻撃がガードを透過してくるとかなのかもしれないけど、残念ながら僕らにはそれは何の意味もない。いやぁ、幽霊相手との戦闘はもうやってるんですねぇ
「一旦、骨死神さん来てもらえますかね?」
『ほっほ、分かったぞ~』
骨死神さんを呼んでみたら、2等身の骨死神さんが来た。門を作るだけならこれで大丈夫だと思う
「いやはや、これだと抵抗云々が関係無くなってしまうのう?ほれ」
「とりあえずこれで一件落着ですかね?」
一応、捕まえたサキュバスを肩に背負って死神さんが用意してくれた冥界の門を通る。これで一旦現世から地獄に行く事は出来たハズだ
「そうじゃな。これで解決と言って良いが……」
「んー!これも良いかもっ!」
絶対変な扉開いてしまった気がするなぁ……
「とりあえず、後はお任せするって事で問題無いですかね?」
「これもしっかり活動してくれたからのう。想定とは違うがこれでも構わんよ」
よしよし。何とか仕事は出来たか




