次の街に向かう為に
「一旦僕は落ちます。ここで落ちても良いですか?」
「あぁ、構わないぞ?」
ホフマンさんの許しを得て、このお店でログアウトする許可を貰えた
「それじゃあ私達は行くわ。今度は完勝するから覚悟してなさい?」
「次もまた楽しいバトルしよー!」
「ハハハ、まぁ僕も強くなってたら良いよ?」
今回は何とか聖域とかのお陰で勝てた感じなのであの2人が聖属性に耐性を持ったりしたら聖域も効かなくなるかもしれないし、聖域以外の手段でも勝てるくらい強くなりたい。【バインドハンド】もキリアさんには簡単に効いたけど銃を使うキリエさんに接近するのも案外難しいし、遠距離相手の人には【バインドハンド】はやっぱり若干腐ってしまうな……
今のままだと絶対に2人の成長に置いて行かれるだろう。強くなる為にはやっぱり先に進むのが一番かな?
「それじゃあお疲れ様でした」
皆に挨拶してログアウトする。第三の街、目指してみるかぁ
「僕、結構影響されやすいのかもなぁ……」
命を削るような戦いだったけど、充足感があったのも確か。【レスト】をする時間もくれたから何度も戦う事が出来た。何だか今までよりも長時間戦える様になったかも?
「まぁ影響されて脳が強くなったなら良いか!」
スローモーションの影響で脳を酷使するので強くなる分には悪い事は無い。上手くいけば眼鏡を外しても人混みを歩く事も問題無くなるかも?
「ご飯作るかぁ」
今回はかなり頑張ったと思う。正直最初のボスとか比べ物にならない程あの2人は強かった。次のボスはどのくらい強いのか分からないけど、あの2人はセカンドラの街より本来は先に居るハズの人達だ。僕を探してファステリアスからセカンドラにやって来た様な感じだったし、あの2人に勝てるなら次のボスも何とかなるとは思う。でも油断は禁物だ。僕があの2人に勝てたのは聖属性のお陰の部分が非常に大きい。一応単純な殴り合いでも勝てた事は勝てたけどタイマンじゃなきゃ勝てなかったし、属性というのもそろそろ考えたいけど……素手で属性とかあるのかな?レベルアップで何か覚えるのに期待しようか
「天衣無縫の器……かぁ、SP全部つぎ込んでみたけど……どうなんだろう?」
僕の持っていた300SPは全て天衣無縫の器のレベルアップにつぎ込んだ。1レベル上げるのに100SP……つまり10レベル分のSPを使って1しか上げられないので【天衣無縫の器】をLv3に上げた所で僕のSPは無くなっていた。本来はステータスに割り振る事が出来るポイントをレベルアップに使うという勿体無い様な気もするけど何が出来るのか気になったので全部使ったけど……Lv1で経験値取得可能に、Lv2でアクセサリー枠+1が、Lv3で自身への状態異常発生率減少……イマイチピンと来ないと言うか、ちょっと払った代償に対して効果がどうなんだ?って言いたくなった。アクセサリー枠+1はかなり良いと思ったけど
「まぁ今後に期待するか!」
どう成長するのか楽しみだし、今後もSPは天衣無縫の器につぎ込んで行こう
「さて、何作ろうかなぁ?」
ご飯に何を作ろうか考えながら適当に冷蔵庫から食材を取り出す。ご飯食べたらちょっと体操してからログインしよう
「ふわぁ……誰も居ないや?あ、手紙が置いてある」
『ハチ君へ』と書かれた手紙があったので開いてみてみる
『裏口はハチ君でも自由に出入り出来る様になっているから起きたら裏口から出てくれ。ハチ君のジャーキーはとても美味かった。俺が作ったジャーキーも良かったら受け取ってくれ』
手紙と一緒に置かれていたジャーキーは僕の作ったジャーキーと若干色合いとか見た目が違う。素材に使った肉が違うんだろう。味が違うジャーキーがあると食べ比べとか出来て良いかも。僕の為に置いてくれたみたいだし、貰っておこう
「あっ、しまった。ダイコーンさんが居ないからシロクマじゃ逆に浮いちゃうか……」
ダイコーンさんが居る時限定でシロクマコスチュームはカモフラージュ率がかなり高くなるけど居ない状態だと逆にマイナスだ
「うーむ……屋根伝いでセカンドラを脱出するか。今度目立たない服を入手しないとなぁ……」
ホフマンさんの店を出たら壁を登って屋根伝いで移動しよう。多分また北に向かって行けばボスの方に行けるんじゃないかな?
ジャーキーをインベントリに仕舞い、店を出る。裏口は道路に面していないので壁を登る所を見られる心配も無い。ホフマンさんの店の屋上に上がり、辺りを見渡す。今は丁度夜なので暗いけど【ゲッコー】の効果で僕には手に取るように景色が分かる。これなら屋根伝いで移動も楽だろう
「北は……どっちだろうなぁ、適当に門の一か所まで辿り着けば分かるか。早い所コンパスも作らないとなぁ……」
やらなきゃいけない事、作らなきゃいけない物。それらは無数にあるけど優先順位を付けるとするならまずはコンパスを作るのが僕の中では一番優先するべき事だろう。僕だって目印が無いと迷うし、どこどこに向かえと言われても方角が分からないのが辛い。朝ならまだ太陽が何処から上がるかとかである程度の方角は分かるけど、夜は本気で分からない。北極星を見つけるとか手段があってもこっちの世界で使えるとは限らないし
「正面に見えるあの門まで行ってみようか」
まずは夜の闇に紛れて正面に見える門に向かう事にした