儀式の間へ
「なるほどね。それって、その儀式会場に置かれている感じ?」
「はい。儀式の参加者以外触れない様に。近付かない様にして儀式の間に設置しました」
「よし、じゃあその儀式の間。入るのは僕だけにしましょう」
「「へ?」」
「「「は?」」」
そこまで情報が有るのなら相手の思惑に乗る必要も無い
「武装を回収してしまえば僕らの戦力は一気に上昇しますし、案内してくれる人が居るなら、そのボスの元に3人を送り込んだ方が良いでしょう。何より不測の事態ならまず僕の所に注目が集まりますから。多分この組織。ボスを捕えてしまえばほぼ終了と言っても良い。側近とか居るかもしれませんが、先程謀反を企てているのに注意すべき存在とかは特に喋ってないですし、居ないと見て3人で何とかなるでしょう。僕は皆さんの戦闘能力を信じてますから注目を集めている間によろしくお願いしますよ?」
この儀式の間の情報を持って来た人も謀反する気が有るのなら、絶対要注意人物とかの情報は真っ先に言って来てもおかしくないと思う。それが無いって事は、僕らをハメる為か、そもそもそこまで注意する存在が居ないか。そのどちらかだろう
「勿論、そこの貴方の言葉を完全に鵜呑みにする事はまだ出来ませんが、嘘を付けば多かれ少なかれ表情に出ちゃうんですよ」
「……」
正直そんなに表情で嘘をついてるかどうかは分からない。でも、こうして、嘘をついても分かるというハッタリで少しでも表情を変えれば、一気に怪しくなる
「まぁ、その心配はしなくても良いでしょうけどね」
今は完全にこの儀式の情報を出した側の方に注目が集まってるけど、僕が本当に注目していたのは、最初に裏切らせた方だ。こういう緊張させる場面で、片方にその緊張を集めれば、もう片方がボロを出すかと見ていたけど、その様子も無い。あれだけ、脅した奴がここでそんなポーカーフェイスが出来るなら、そもそもこんな小規模でショボい組織には居ないだろう
「という訳で、そうだな……皆さんのローブだけ貸してもらえれば何とか出来ると思います」
「……なるほどな。合点がいった」
「そう言うことか!」
「良いぜ。それならさっさと装備を回収しようぜ!」
もう、ここまで言えば僕が一人で儀式の間に入ると言った意味が3人には伝わった様だ
「分かりました。それでは急いで行きましょう。儀式まで時間もあまりありません」
「とりあえず、バレない様にまた手錠だけは付けさせてもらうぞ?勿論、鍵は掛けない」
上から手錠を置くだけ。パッと見では手錠を掛けている様に見えるから、騙すだけならそれで充分だろう
「じゃあ、ついて来てくれ。こっちに装備品が保管してある」
よし、これで装備品を回収していよいよ始めますか
「それで、合図は決めましたか?」
「あぁ、とりあえず、この組織に不満がある奴には心当たりがあって、ソイツ等は右手の手首に布を巻く事にした。だからソイツ等は仲間だ」
手首に布ね。確認作業は面倒だし、自分から見せてくれないと困りますぜぇ?
「おい、通してくれコイツは仲間だ」
「なるほどな……コイツらが協力してくれるのか。入ってくれ」
装備品が保管されている部屋の門番みたいな奴も協力者になってくれたのか、すんなり通れた。この組織裏切り者多いなぁ?ボスは人望が無いのかね
「よし、装備品を確認してくれ」
「ちゃんと全部ある」
「こっちもだ」
「よし、コイツさえ戻ってくれば問題無い」
「こっちもちゃんと全部の装備が有りますね。よし、それじゃあ皆さんの白ローブだけ貸してください」
「「「あぁ」」」
3人分の白ローブを借りて、準備を進める。これで儀式に関しては何とかなりそうだな
「じゃあ、僕はこのローブを使って4人分やりますから3人はボスの拘束をお願いします」
3人分の白ローブを使って儀式に参加してる人数を誤魔化して、ネタバラシをした時の驚きを使って3人に拘束してもらおう。まぁ、やろうと思えばもっと色々出来るんだろうけど、3人も居れば何とかなるだろう
「「「任せろ!」」」
流石に一撃でやられる様な事は無いだろう。例え失敗しても、一応、プランはまだある
「じゃあ行きましょうか。サクッと儀式を終わらせましょう」
僕を儀式に連れて行くのと、ボスが居る観客席への道に行く為に二手に分かれる
「本当に大丈夫?あの宝石は近付くだけで精神に異常をきたす本当に危険な物なの」
「だとしたら、尚更あの3人には行かせられませんよ。そんな混乱する様な状況に仲間を入れない。その為にも僕はこうして準備してるんですから」
そもそも、そこに僕以外を入れる事がまず間違っている。正直に言えば、この儀式の間。僕に入ってくださいと言わんばかりの舞台だ。仮にあの3人が敵対するにしても、操られて敵対なら困るけど、自分の意思で敵対なら対処する時遠慮しなくて良い。観客席から高みの見物でもしよう物なら……僕が倒すべき敵が3体増えるだけだ。実にシンプル
「さぁ、それじゃあやっちゃいましょうかねぇ。オンステージだ」
注目を集めるぞー!




