暗躍準備
「協力する!協力するから俺は助けてくれ!」
まぁ、協力するなら良いんじゃないかな。一応見てる限りだと纏うオーラに何か混ざってるとか、洗脳的な事は無いと思うし、単純にこの組織への忠誠が低いのだろう。これもしかしたら他にも離反する奴居るんじゃないか?
「よし、じゃあ2人でその人を後ろに向かせて、首を見せてください。この組織もまだまだですねぇ?裏切り防止って言うのはこうやるんですよ」
「ちょ!?な、何を……」
適当な事を言いながら牢屋の外に落ちていた炭を拾ってうなじにスマイルマークを書いておく。どうせこの人からは見えないし
「「ブッ……」」
笑わない笑わない。バレちゃうから
「これで良しと。さぁ、これで僕らを裏切ったらどうなるか……呪印が発動してお腹が割けて、体の内側と外側がひっくり返るかもしれないし、首が捩じ切れるかもしれないし、血が沸騰するかもしれない……どうなっちゃうか自身の身で試してみるのも良いでしょうねぇ?まぁ、事が終われば消してあげますよ」
折角なので残ったもう一人に手に隠したメモで「火魔法が使えたら首筋を熱してください」と指示すると動き出したので、もう少し演出を加えようか
「それじゃあちょっとしたデモンストレーションとして……」
「ひぃぃぃ!分かった!絶対に裏切らない!だから終わったらちゃんと呪印は消してくれ!」
良かった。生活魔法って奴なのかもしれないけど、火種程度の物でも正体が見えなきゃ恐怖で従うしかないよねぇ?
「じゃ、この組織を潰すご協力。お願いしまーす」
「な、なんて奴を捕まえたんだ……」
「協力してくれるなら一旦ローブだけは返してあげましょう。誤魔化す為でしたが、協力してくれると言うのならそっちが着ていた方が怪しまれないですからね」
裏切ったにせよどれだけ発覚を遅らせる事が出来るかでやれる事は変わって来る。何ならここに居る奴らを可能な限り裏切らせて組織を崩壊させるとか出来ないかな?この組織のボス的な人間が復讐の為に人を集めて新しい秘密結社を……とかだったら周りの奴らは裏切らせる事は出来ると思う
「なら装備の所に案内してもらおうか」
「わ、分かった。案内しよう……あ、あの、1つだけ……儀式に出ていただければ武装していても怪しまれる可能性が減ると思います」
「確か、俺達に殺し合いをさせるんだったか?」
「はい……なので、儀式の為に武装させたと言えば、誤魔化せるかもしれません」
なるほどね。確かにその理論であれば、武装していてもおかしくない。アニメとかゲームでしか見た事ない剣闘士も装備なしの状況で戦うとかほぼ無いし、最低限の武器は用意されるけど、そこを何とか言い包める事が出来れば僕らの通常武装で戦う事が出来るかもしれないって事ね。確かに良い案だ
「よし、じゃあ5人で少し作戦会議しませんか?」
「「「「え?」」」」
まぁ、驚くのも無理はない。今しがた裏切ったと言った奴も僕は作戦会議の勘定に含めている。普通なら牢屋組の4人での作戦会議だろう
「なに、貴方にも協力して欲しいから話を持ち掛けてるに過ぎません。この組織。出来てどの位ですか?」
「まだ、1か月も経っていないかな……」
「なら尚更好都合。多分この組織は今回の白ローブの殺し合いが終われば皆口封じの為に殺されるか、洗脳されて無給で死ぬまでこき使われる……いや、死霊術とかもあるし、死んでもこき使われる可能性が高いです。聞いてる限り復讐が目的ですからね」
「えっ……」
どう考えても寄せ集めな感じしかしない。ならこっちの付け入る隙がある
「多分、その秘密結社潰したとかは僕がやった所だと思うので、僕が死ねば復讐が終わって、目的が無くなるんですよこの組織」
「「「「なっ!?」」」」
皆驚く。まぁ、そりゃそうだ
「この情報を得た上で、貴方には他の人から聞いた風でこの組織の中に抜けたいなら協力すると宣伝して欲しいんですよ。そうですね……右腕に腕輪を付けるとか、戦いになって武器は構えるけど、武器を3回転させるとか、何か合図を用意してくれればいざという時は協力してこの組織から抜け出す為に証人になる僕達がこの人達は仲間ですと言えますから。まぁ誰か1人でもこっちを裏切ったら……その時は連帯責任として……」
「必ず!必ず任務は成功させます!」
まぁ、こうなれば本来は誰にも声を掛けなくて良いんだけど、誰か友達でも居るのかな?
「期待してますよ。で、僕ら4人ですが、儀式の会場に行くかどうするかですが、どうします?」
「可能なら行かない方が良いと思うが……」
「武装さえ取り戻せば、そのボスとやらを俺達でも狙えるんじゃないか?」
「でも、戦う所が脱出出来ない所とかだったらどうするんだ?」
それは確かにその通りだ。内部と外部を完全に遮断して攻撃が外に届かないなんて事は普通に起きる事だろう。だからこそ、その儀式の詳細を知りたい
「儀式について詳しい人は居る?」
「それなら、1人思い当たる奴が居る。声を掛けて来るから少し待っていてくれ」
「良いでしょう。あ、先に言っておきますけど、32人だったら、僕が居なくてもこの3人だけで壊滅させられますから。僕は既に秘密結社1個ぶっ潰し済みなんで、追加で100人位連れて来てくれたら、苦戦するかもしれませんね?」
「わ、分かった。安心してくれ。必ず連れて来る」
ハッタリは言ったもん勝ちだからね




