3人の囚われ人
「い、いったい何なんですかこれ……何処に連れて行って……連れて行かれるんですか……」
弱弱しそうに言うけど、内心ちょっとウキウキだ。こういうのって普通じゃ入れない様な所に連れて行ってもらえるだろうし、特別な所に入れる権利を急に貰えるのは嬉しいねぇ
「黙って来い」
「はい」
これは間違いなく一般人は入れなさそうな場所に連れて行かれそうだ。うっひょー!楽しそう!
「さぁ、ここに入れ」
「ここは……なんだろう?」
何となく前にアサシン姉貴を救助する時に潜入した牢獄にも似ている様な雰囲気。ここはなんだろうな
「さっさと進め」
「何なんですかいったい。理由とか説明してくださいよ……」
「脱げ」
「はぁ!?だからいったいどういう理由があってそんな事を言うのか理由を説明してくださいって言ってるんですよ!」
突然の脱げ宣言。うーん……やっぱりタトゥー化して隠しておいて正解だったかも
「死にたくなければそこに装備を入れろ」
おぉ~。剣を首筋に向けて脅して来た。じゃあ一旦装備品はここに預けよう。まぁ、預ける装備は目に見える範囲だけどね
「わ、分かりました……」
ローブとイドとエゴ。あとは仮面を外して、かごに置く
「……よし、進め」
一応、装備しているアクセサリーは全部タトゥー化して隠しているから見つからないし、メインの装備は外しているから何も外さないみたいな不審な動きでもない。インベントリも見られないのか。ザルだなぁ?
「お前にはここに入ってもらう。せいぜい他の奴らと仲良くすると良い」
「え、他の奴ら?」
なんだ?監獄っぽいけど、他にも人が居るのか。
「ひっひっひ。おうおう、今度はとんだチビッ子が来ちまったようだなぁ?ようこそ地獄へ!」
「おうおう、何も知らなそうなガキじゃねぇか?あいつらも節操ねぇなぁ?」
「白ローブを着てる事しか分からねぇっていう馬鹿みてぇな理由でよぉ?災難だったなぁ?」
中々愉快な人達だ。ちょっぴりダイコーンさん風味も感じる
「お前はここに入ってろ」
「うわっ!」
あえてバランスを崩してコケながら牢屋の中に入る。僕以外に3人か……一旦弱々しい姿なんて幾らでもしようじゃないか
「これで良い……これで揃った」
なんか不穏な事をつぶやいて何処かに行く謎の人物。あれま……これは何かの生贄とかにされるパターンか?
「あの、誰か何が起きてるのか分かる人は居ませんか?状況が知りたいんですが……」
まずはこの場に居る人間が何か知っているのか聞いておこう。知っていれば事をスムーズに進められるし、知らないのであればまぁ何か起きるまでの話相手にはなるだろう
「ここはこの前崩壊した秘密結社の話を聞いた他の秘密結社が、情報を元にその秘密結社の奴らを降霊術を使って呼び寄せる為にその恨みを齎した白ローブを着ていた奴を生贄に捧げるんだとよ」
何それ?滅茶苦茶な降霊術だなぁ?
「俺達は運悪くたまたま白ローブを着ていたから捕まったって訳よ」
「まぁ、運が良かったな?俺は奴らの目を盗んで脱獄の準備を進めてたんだ。この鍵を開けちまえば、俺達は出られる」
おぉ、脱獄計画が進んでるのね。なるほど……まぁ一旦様子見しようか
「にしても、随分といかついじゃねぇか?」
「確かに、若ぇのに気合入ってんなぁ?」
「お前らあのなぁ……こういうのも隠す為に着てたモンを取られてんだから、あんまジロジロ見んなよ。それよりさっさと準備しろ。飯の時間までにある程度進めねぇと……」
うーん、なんかこの3人は元から知り合いなのか、ここで知り合った仲なのか判断が付かない。これはどうするべきか……普通にこの脱獄に協力しても良いけど、もし、この3人の中に敵が混じっていたら報告されて割と急にピンチになるかもしれない。一旦この3人がどういう仲なのか探っておくか
「あの、3人はどういう集まりで……白ローブを着ていたから捕まってしまったんですか?」
「おう、白ローブを着ていたから捕まった」
「白ローブを着ていて捕まったな。コイツらとはここで初めて会った」
「そうだな。白いローブを着て1人の奴って事で捕まったみたいだ。因みに一番最初に捕まったのは俺みたいだ」
なるほどね。3人共ここで出会ったと。だから裏切者みたいなのが居てもおかしくは無い……1人他の人より事情に詳しいけど、それは単純に1番最初に捕まったから見ている時間が長いからと……いやぁ、これ困るねぇ?普通にこの組織の人間が潜んでいてもおかしくない状況って訳だ。まぁ、例え裏切者が居ても大丈夫な様にアクセサリーの類は持ち込んでるんだけどね
「あの、脱獄って具体的にどうするんです?壁に穴でもあけるのか、それとも牢屋の鍵を何とかするのか……」
「一応牢屋の鍵を何とか開けて、装備品を回収してここの奴らをぶっ飛ばす。そういう計画だ」
「あぁ、あの時は訳も分からず抵抗しようとしたら薬で眠らされたからな……奴らは絶対ぶっ飛ばす」
「回収しなきゃいけない大事な物を奴らに取られている。回収する為にもこの鍵を何とかしないといけない」
脳筋復讐が2人に大事な物回収したいが1人か。とりあえず装備品回収は僕もしたいからこの話に乗っかろう




