ヒートクオン
「となると、クオンがオーバーヒートしそうになるっていう状況が熱耐性のお陰で何とかなる?」
「あぁ、命ある者なら加護を与える事が出来るから何とかクオン殿にも与える事が出来る」
クオンならではの問題?がクオンの特性によって解決するか。これまた興味深い……
「ただ、忘れないで欲しいのが、今の私の力では熱無効では無い。だからあくまで活動出来る時間が延びるだけだろう。寒さも熱さもかなり余裕は出るが、完全に対処しきれている物ではないという事を覚えていて欲しい」
「質問が有ります」
お、ここでクオンが質問か。何を質問するんだろう?
「答えられる範囲で答えよう」
「その熱に耐えられると言うのは、クオンの体が単純に耐熱と耐寒性能が上昇したという事でしょうか?」
「あぁ、一番分かりやすく言うならそうだ」
「なるほど。少し試してみたい事が出来ました。マスター。リミッターを解放して頂けますか?」
「オッケー。でも、一応危なくない様に決闘システムを使おうか」
プラクティスゾーンでマネキンさん相手でも良いが、僕が体感するのが一番分かりやすい気がする
「分かりました。それではお願いします」
「よーし、それじゃあ検証だ!」
早速クオンと決闘システムで戦闘を開始する
「それで?何を試したいんだい?」
「はい。まずは今までならオーバーヒートになるだろう程度まで動きます」
そういって弾丸の様なスピードで動き回るクオン。音的にもブースターか何かで飛んでるのかな?
「このスピードで動き回り、熱を溜めます」
「おぉ、もはやそれが目的になったか」
まさかの熱が貯まる事を求めるとは……
「……中々熱が溜まりませんね?」
「おぉ、凄いじゃん。かなり改善されてるね」
熱が溜まらないのは良いじゃないか。まぁ、今回の目的は熱を溜めるだから良くないけど……
「すみません。攻撃で熱を無理やり溜めます」
一応、僕に対して向けてはいないけど、全身を変形させてとんでもないサイズの砲身を作り出し、発射する
「うひゃぁ、あんなの喰らったら終わりだよ……」
普通に発射準備中に回避行動してないと確実に攻撃範囲に入る様な奴では?
「なるほど、少し溜まって……いえ、これは想定していた物がもう使える熱量の様です」
「おわっ!?何それ!」
クオンが砲身を消し、自身の腕から白く光るブレードの様な物を出す
「この熱量があれば、ただ斬るだけでも更なるダメージを与える事も可能でしょう」
うわ、あれまさか放熱板代わりの剣か?ヒートソード的な武装かアレ!
「マスター。威力の検証にも手伝って頂きます」
「良いぞ!打ってこい打ってこい!」
オーバーヒートの危険性が高まると放熱しながら武器の威力が上昇する。いやぁ、これまたピーキーで面白い性能になった物だ。クオンにはE.I.D.O.S.が有るから、単純にトンデモ切断力のある飛来する攻撃と加害範囲が超デカい攻撃を撃った後で、自衛用の武器の威力が上昇するし、ある程度その形態で暴れ終わったら、次は神話的恐怖な攻撃が飛んで来る……いやはや成長が早いねぇ?
「これは流石にキチンと腕を保護しておかないと、受け流す事すら出来ないか……」
あのヒートソードは下手に受けたら腕が焼かれる。現に、あの白く光ってるヒートソードを振るったら、その後を追いかける様に炎が出ているし、単純に並みの武器だと、あのヒートソードに溶断されるぞ?
「防具や武器は溶断。体に近付けるだけでもダメージが発生する……オーバーヒート問題が解決したかと思えばこんな発展しちゃってまぁ?」
「この武装が使用出来るのはかなり条件が限られますが、以前よりも全力での戦闘はしやすくなったと思います。熱への耐性が上昇した事により、普段の戦闘においても、動作が若干良くなりました」
「なるほど?」
まぁ、マラソンとかでも暑い所で走るより、涼しい室内で走った方が苦しくないとかそういう感じかな?普段の状態をより快適な状態に近付けて性能をアップしたとかそう言う事か?
「この熱をチャンバーに凝縮して撃てば敵に対しての攻撃に転用出来るのでは?もう一度試させてください」
もう、クオンちょっとオーバーヒートしそうになる熱を求めちゃってないか?それを利用したくて堪らない感じに見えるぞ
「分かった分かった。待っててあげるから、試してみな。ここなら暴発とかそう言うの気にせず確かめられるんだから」
プラクティスゾーンと良い、決闘場と良い、事故を気にせず確かめられる場所は有るんだから使わないのは勿体無い。気になっちゃったんなら見てみよう
「凝縮率40%……今の自分ではこれ以上は危険と判断。放出します」
なるほど。熱耐性を得たとしても、40%凝縮した所で限界なのか。これ、クオンが熱無効とかを取得してしまったら100%の凝縮された物を見られるのかな?
「わぁお、火炎のビーム?」
熱耐性のお陰でクオンに随分と熱々な技が増えたなぁ……でも、この分だとクオンは冷気の方にも強くなってるだろうから、冷気系統の武装も作れたら使えるんじゃないか?
「あの液……武器に出来ないかな」
成長する所を見せられたら、僕だって立ち止まってる訳には行かないよなぁ?




