戦って分かりあう
「何よアレ!?ズル過ぎよ!もう一戦!」
「もう一回!もう一回!次は負けないよ!」
【聖域展開】で封殺された事で初戦の余裕はどこへやら。さっきの僕の様にもう一回勝負しよう!と言ってくる
「フィールドサイズもう少し大きくしてよ?」
「え?僕、受けるって言ってないけど……」
普通にもう一度戦おうとしてくるので揶揄う感じで言ってみた
「本気出してない相手に勝って、勝った気になってる自分が嫌なの!本気出した相手を打ち負かして笑ってやりたいの!さっき私達だってリベンジマッチを受けたんだからもう1戦やりなさいよ!」
「全力で戦って全力で勝ちたい!」
2人共言いたい事は大体一緒。本気の相手と戦いたいという事だ
「じゃあもう一回やりましょうか」
「「絶対勝つ!」」
そこから数戦。勝った負けたを繰り返し、僕の脳に限界が近付いた所で【レスト】を自分に掛けて疲労を回復してまた戦って……僕だけだと不公平だと思ったから2人にも【レスト】を掛けて3人共戦いの疲労を癒した後また戦って……最終的にホフマンさんとダイコーンさんに止められるまでずっと2人と戦っていた
「おいおい!流石にもう良いだろ!?何時間戦ってんだお前ら!?」
「ジャーキーの味付けもとっくに終わっちまってるぞ?」
「あっ!そうだった!」
すっかりジャーキーの事も頭から抜け落ちる程戦いまくっていたらしい。【聖域展開】無しとか、場外アリとか、フィールドサイズを大きくしたりとか、戦闘用修道服からオーブ・ローブに着替えて殴り合いをしたり、色々ルールを変えたりして戦ったけど多分僕の方が若干勝ち越しているハズだ
「かなり戦ったし、この辺で終わりましょう。キリアさん?満足した?」
リベンジマッチとしては回数が多すぎるけどこれだけ戦えば満足してくれただろう
「うん!面白かった!満足!」
「久々に全力で戦えた気がするわ。ロザリーと戦う時はあっちの方が強いって先に考えちゃうから本気が上手く出せないけど、ハチとなら勝てるか勝てないかのギリギリで楽しいわ!」
ちょっと複雑な気分だけど対人戦で勝てないと思える相手と戦うのは確かにしんどい。勝てるか勝てないか、同じくらいの実力かちょっと強いくらいの相手と戦うのが一番燃える
「そうだ。ジャーキーはもうほとんど完成してるんですよね?」
「ん?あぁ、あとは乾燥だけだぞ」
「じゃあキリエさんとキリアさん?良かったらちょっと待っててください。ジャーキーを仕上げて来るんで良かったら貰ってください」
ジャーキーをお土産として貰ってくれるかな?
「へぇ?料理もするんだ?」
「美味しーの?」
「味は間違いなく美味いハズだ。味付けの段階も俺が見ていたが、あれで不味くなる方が難しい」
「じゃあ貰おうかしら?」
ホフマンさんのお墨付きを貰えたし急いでスライムゼリーでジャーキーを乾燥しに行く。どうやらさっきホフマンさんに見せてもらった乾燥台の所で一緒に乾燥中だったけどスライムゼリーで急速乾燥させる。本当にワリアさんにこの技術を教えてもらえて良かった
「とりあえず、これが僕の分で、ホフマンさんの分、と2人の分。味は……うん、美味しい!」
ジャーキーの端っこを千切って食べてみると味が口の中に広がる。噛めば噛むほどじわぁっとジャーキーの味が広がるのでしっかりとしたジャーキーになっているな
「お待たせしましたー、はい、これ僕が作ったジャーキーです。ホフマンさんの分も」
「おっ、悪いな?」
「へぇ?中々美味しそうね?」
「じゃあ一個食べちゃお!……うまー!!」
キリアさんが早速一口食べてモグモグ味わっている。美味しいと言ってくれて何よりだ
「ねぇハチ?」
「はい、何ですか?」
「これ、受け取りなさい」
キリエさんが何か指で弾く様な仕草をしたと思ったら僕のメニューに!マークが……メニューを開いてみるとキリエさんからフレンド依頼が届いていた
「えっと……これはどういう意味で?」
「私もハチの事を気に入ったって事」
「あぁ!お姉ちゃんズルい!私も!」
また!マーク……今度はキリアさんからのフレンド依頼が来ていた。正直イベントで初めて会った時はヤベー奴って印象だったけど戦って分かったのは単純に負けず嫌いで、僕に負けっぱなしのまま勝ち逃げされた状態だったからリベンジしたくてずっと探していたというだけで、言動が誤解されやすいだけだった。僕に勝つ為に第二の職に態々【グラップラー】という素手の投げや、締め技に特化した職を選ぶくらいのリベンジに熱意がある人で戦う事で理解出来るって言えば良いのかな?とにかく、悪い人じゃないのは既に分かっている
「それじゃあ2人共よろしくお願いします」
「よろしく」「よろしく!」
2人のフレンド依頼を許可し、キリエさんとキリアさんの2人とフレンドになった。今後ももしかしたらバトルしようって言われるかもしれないけど、僕も2人と戦った時に、ギリギリの戦いが結構面白かったので絶対に嫌という気はしない。というか性格さえ分かってしまえば普通に可愛い2人とフレンドになれた。凄くない?僕のフレンドの半分以上は綺麗な女性だよ?まぁフレンド全部で見たらイロモノな人が多いけどさ……