素材を得る為に
「ふぅ……よし!」
DEXを強化して砂平目の皮を剥ぐ為にそっとナイフを入れる
「おっ、行ける行ける。意外と何とかなるな?」
ちょっとずつ。一気には行かずに皮を剥いでいく。これは下手に急いだら破けてしまうだろうし、慎重に身と皮を分けていく。砂色の皮とその下から出て来るプリップリで薄桃色の身が分かれていく。普通に身もめっちゃ美味そう……
「あら、凄く美味そうね?」
「おいおい……なんだこの美味そうな魚は……」
「ちょいちょい、これヤバそうだよ!もう目だけで美味い!」
「はい、もう少し待ってくださいね。お刺身とムニエルは用意しますから」
あれ?ムニエルって皮付きじゃなきゃダメだっけ?まぁ皮が無くても大丈夫か
「鶏のから揚げいっちょー」
「「「「「わーい」」」」」
あ、戻っていった。やっぱり皆素直だねぇ?
「とりあえず大事な表面の皮を剥げたら何かの布で補強しないとまずいな。これは簡単に穴が開いちゃうからこの皮を回収したらあそこの設備を使う必要があるか」
何とか剥いだ皮はこのままだと間違いなく破れるのが目に見える。必ず補強しないとマントとして使用は出来ないだろう
「とりあえずこれでもう食べられる状態ではあると思うから、調理も開始しますか」
さぁ、お刺身だ。ムニエルだ。から揚げだ!
「フライドポテト。あと、モロきゅういっちょー」
「「「「「わーい」」」」」
なんだろう。僕が調理している間に出ていた料理が大体居酒屋っぽいんですが……マイ君ならもしかしてそういうお店でも開けるんじゃないかな?マイ君の居酒屋かぁ……結構良いかも
「へい、出来ましたよ~。まずはお刺身」
「「「「「おぉ~!」」」」」
砂平目のお刺身をまずはご提供。普通に美味しそう
「甘っ!これは美味い!」
「プリップリ……」
「うまうま……これが陸魚の味かぁ」
「お刺身ってこんなに美味しいのね?」
「うっっっま!」
良い反応だ。砂平目はやっぱり美味いのか。それじゃあお次の料理でーす
「へい、砂平目のムニエル!」
「「「「「美味ぁ……」」」」」
焼き加減の確認の為に食べてみたけど、口の中でホロホロに解けるムニエルはソースとか無くても美味い
「へい、砂平目のから揚げ!」
砂平目の波状攻撃だ。これも美味かったなぁ
「これは鶏のから揚げとも違う。ジューシーさが凄いです!」
「から揚げになるとこんなにジューシーになるのか……」
「うまうま……言葉は不要か」
「これも美味過ぎぃ!」
「凄いわ……調理法が変わるだけでこんなに味に違いが生まれるなんて」
いやぁ、凄い好評だねぇ?
「ハチ君ハチ君!お代わり!」
「最初に言いましたが、お代わりは無いです。どうしても欲しいんでしたらそれこそ砂漠で取ってくるしか無いですね」
流石にこの人数だと砂平目が大きいと言っても食べられる所もそんなにないから、これ以上の提供自体が難しいんだよねぇ
「そ、そんな……」
絶望の表情で膝を突くモルガ師匠。と言うか、そもそも僕はこれからマントを作る為の素材を入手する為に砂平目の皮が必要だったから調理しただけであって、これ以上作る必要も無いんだよなぁ……
「そもそもですが、僕はこれから道具を作る為にコイツの皮が必要だっただけで、身を無駄にするのは勿体無いから料理したまでなんで、これ以上求められても困るんですよね……モルガ師匠ならイクサバンの人に協力を求めれば入手出来るんじゃないかな?」
確かイクサバンの女王と知り合いだったハズだよな?それなら砂平目を集める事が出来たりするんじゃないかな?
「なるほどなるほど……それは確かに考える必要があるね……ちょっと用事が出来ちゃったから失礼するね~」
おいおい、マジで行く気か?これ下手したら僕に砂平目を料理しろって来る奴では?
「という訳で、他の皆にも悪いですが、これ以上の提供は出来ないんで後は各自解散って事で。クオンはこれからマントを作る為に着いて来てくれるかな」
「分かりました」
「そうだ。マイ君も来る?」
「何をするのか分からないけど、お手伝いなら、やる」
マント製作の為に3人も居れば大分良い物を作れるんじゃないかな?
「オッケー。それじゃあ皆で作りに行こうか」
食べに来た皆には悪いが、こういう物理的なシャットアウトをして僕がやりたい事を進めるしかない。時に強引さは物事を進める為に必要な事だしね
「それじゃあ皆。次回の不定期クッキングをお楽しみに!」
まぁ、こう言っておけば皆納得はしてくれるだろう
「よし、それじゃあ早速作業開始しますか!クオン、マイ君。準備は良いかな?」
「はい。準備は出来てます」
「準備おっけー」
何となく全員の衣装をテアトルクラウンの服を使って白衣にしたけど、別にそんなケミカルな事しないな……普通に地味な単純作業とかする事になるし、恰好ミスったかな?
「ではでは、早速各地形対応のギリーマントを製作をしようか」
「「はい」」
2人の助手を得て、マント作りを開始しよう。さて、頑張って良い物作るぞぉ!




