タンケハウス
「これ、どうしましょう?」
「いやぁ綺麗なお宝です!本当に有ったんですね!」
タンケ隊長は喜んでるけど……これは絶対持って行った方が良いよな?
「あの、タンケ隊長。さっき聞かせてもらった伝承があったじゃないですか」
「はい。追放された天使の話ですか?」
貰った情報がすぐに使えるとはなぁ……
「この宝玉。その天使の魂みたいで、天界に持って行くと復活させる事が出来るかもしれないみたいです。なので……」
「えっ!?そうなんですか!ハチさんはどうにか出来るって事ですか?」
「まぁ、どうにか出来るかもしれない……かな?」
あの宝玉を天界まで持ち込める可能性はある。僕じゃなくても天界まで行ける存在は居る。だから任せればその辺は何とかなるだろう
「ほほぉ!それはまた凄い!ではこれはハチさんにお任せしましょう」
結構簡単に渡してもらえたなぁ?
「分かりました。それではこれは任されました。そうだタンケ隊長?ちょっと聞きたい事が有るんですけど良いですかね」
「ほうほう?ハチさんが聞きたい事があるとは珍しいですね」
まぁ、タンケ隊長に聞く事がないというか、そもそもタンケ隊長と会わないというか……
「えっと、タンケ隊長。何か岩場に隠れる様な生物とか知りませんかね?ちょっと隠れる為の装備の素材として探してまして……」
「ほほう?なるほど……因みにその装備と言うのは、硬い鎧の様な装備ですか?それとも柔らかい布の様な装備ですか?」
おっ、これは結構良い反応では?
「マント的な物を作ろうと思っているので、柔らかい布の様な装備の方ですね」
「柔らかくて岩の様な物ですね。それでしたら、火山にお宝を探しに行った時に見かけた風船みたいな生物の物が良いかもしれません」
風船みたいな生物?なんだそれ……そんなの居たっけ?
「火山にそんなのが居たんですか?」
「えぇ、火山の頂上で熱気を浴びて飛ぶと言うか、浮いてましたね」
おぉ、なんか気球っぽい敵なのか。それは確かに見つけられなかったとしても不思議じゃないな。そういう敵も居るんだなぁ
「もし良かったらその皮あげましょうか?」
「えっ!?持ってるんですか!」
まさかの提案。よくピンチに陥るけど実は強かったりするのか?
「火山のお宝の噂を聞いて行ってみたのですが、既に見つけられた後の様でして……帰ろうと思った時に偶然その風船の様な生物の死体に躓いて転んでしまったのですが、岩の上にコケたのに痛くないので不思議だと思って持ち帰ったんですよ。なので、今はウチに有りますよ!」
「おぉ!それは是非見たいです!」
これついでにタンケ隊長のお宅訪問も出来ちゃうんじゃないか?
「分かりました。それでは帰りましょう。ここは寒いですからね!【リターンホーム】」
「おぉ?」
タンケ隊長が何か魔法を使うと、目の前に扉が出てきた。これもしかして帰還魔法かな
「では我らタンケ探検隊の無事の帰還を祝してプチパーティでも開きましょう!」
『特殊クエスト タンケの探検 氷獄の羅雪編 をクリアしました』
うーん……絶対何か間違ってる気がするけど……まぁ良いか。そそくさと扉に入っていくタンケ隊長を追いかけて、とりあえずあとに続いてクオンと共に扉に入って行く
「ここが我が家兼、探検の準備をする拠点となっています!」
「「おぉ……」」
タンケ隊長の家が何処にあるのか分からないけど、家の中には机の上に地図が広げられていたり、棚に古そうな本や巻物だったり、謎のオブジェが飾られている。ランタンの灯りの雰囲気とか、部屋の角にある使い込まれた革のバッグだったり、こういう雰囲気凄い好きだなぁ……
「冒険と空間魔法が好きで、好きな事を活かしていたらこんな感じになりました」
「タンケ隊長素晴らしいですね!うわぁ、この三角形のオブジェとか何が隠されていたんです?」
「それは、トライアングローブの森の中で見つけたデルタシルエットの思い出を形にしたオブジェですね。発見さえ出来れば後は形を覚えてオブジェとして見つけた物を飾るというのも趣味の一つです!」
棚に置いてあったオブジェの一つに質問してみたら返答を貰えた。なるほどなぁ……オブジェにするのも趣味の1つなのか。だから本物が欲しいんじゃなくて、欲しいのは本物を見たという記憶であって、宝物に固執しないのか
「あ、今お茶を出すのでお待ちください」
「「どーも」」
隊長とは思えない態度だなぁ?
「はい、どーぞ。他にも色々ありますよ!」
実際そうなんだろう。空中に何かの鳥の骨の骨格標本までは行かないけど、何個か欠けた物が吊るされていたり、ちょっと綺麗な石とかも置かれているアレはオブジェには見えないから普通に持ち帰った物なんだろう。何らかの魔物から取ったであろう素材とかも部屋の中に置いてあるし、今回みたいに成果が無かった時に変わりに何かを持って帰ってした結果、例の岩柄の風船みたいな魔物の素材も入手していたのだろう
「タンケさんの家って秘密基地みたいで楽しいですね」
「分かってくれますか!っと、忘れる所でした。今例の物を持ってきますね」
何だろう……こうして見てると骨董品とか好きな人の気持ちが少し分かる気もするなぁ……




