まったり寄り道
「コッソリ失礼しますよ~」
僕一人なら現状、マントが無くても自前で【擬態】が出来るから必要か?という話になるが、今後はクオンに同行してもらったり、クエストで護衛と言うか護送みたいな事になった時に隠れられるのは凄く良い。今だって、クオンは隠密性能が僕より低いから一旦待機してもらってるし、強制戦闘っぽい物も上手く使えば回避出来るだろう。同行者がバレなければこっちが隠密して背後から一撃を決める事だって出来る
「さてさて、それではこの角頂きます」
『アイシクルエルクの剛角 を入手しました』
『アイシクルエルクの剛角 長年伸びて来たアイシクルエルクの角が自然に落ちたレア物。普通はオス同士の戦いや狩猟されてしまい、ここまで育った角を見つけるのは非常に大変である』
「ほうほう、ここは温厚なアイシクルエルクが居たのかな?」
説明を見る限り、あまり争わないタイプのアイシクルエルクから落ちたのかもしれない。大事に使わせてもらおう
「確かに、この柄なら雪が少ない所でも活かせそうだな……」
真っ白では無く、少し柄が入っているからこそ、自然に見える。これは良い寒冷地向けマントの素材になりそうだな
「そうだな……これは短冊状に切って貼り付けた方が良さそうかも」
今までのマントはその素材そのものでマントにしていたけど、これに関しては下に布を用意してからその上に切った物を貼り付けた方がらしさが出るかも
「よーし、取って来たよー」
「お見事です。次は何を探すのでしょうか?」
「次は岩場用の物を取りに行きたいから、いっそのこと火山でも攻めてみるかな?」
岩場用ってある意味火山地帯でも流用可能だろうし、火山で素材を探すのが良いかも
「まぁ、ゆっくり帰ろうか。そこまで焦る必要もないし」
「分かりました」
焦る必要はない。確かに、素材探しはかなり弾丸ツアー並みに駆け足で巡っているけど、それは欲しい物を集めて行く最中で必要だから集めていたけど、今にしてみれば素材を集めても製作するのは後でだから、今日はそこまで急がなくても良い。空島に戻る前にシクサームまで歩いて帰る事も考えたら少し位ゆっくりしても良いだろう
「一旦これでマントを作ってみるとして、クオンの強化関係の話も考えると、まず、オーバーヒートしにくい様に冷却性能を高めるのが良いよね」
オーバーヒートまでの時間が延びれば、その分クオンの全力を出せる戦闘時間も伸びる。深淵の事は置いておくとしても、100%での戦闘時間を伸ばすには冷却性能の向上は必須条件だ
「単純に超冷たい冷却機能を搭載するか、放熱の機構が強化されればクオンの全力戦闘が可能な時間も伸びると思うんだよね」
パソコンとかで考えれば、風の力だけで冷やす空冷式と水の力も使う水冷式なら水冷式の方が冷える分、より高性能なパーツを乗せやすい。放熱の為のヒートシンクだって、素材を変えたり、大型化したりする事でより熱を逃がす事が出来るからチップの性能も大事だけど、クオンの場合は脳と言っても良いCPU部分は変えられないから、更に性能を上げると考えたらクオンの冷却性能を上げる為のファンと同等の役割をしている部分をどうにかするべきだろう
「冷却、放熱……」
「この雪の世界であれば、クオンを冷やす為の物があるかもしれないし、火山であれば、もの凄い温度伝わりやすくて、超高温まで耐える素材があって、それをクオンに搭載する事で、放熱もしやすくなるかもしれない。だからそういう素材が見つかる可能性も考慮してゆっくり帰ろう。見つかればラッキー。見つからなかったらまた頑張ろう位の気持ちでね?」
「分かりました。それなら少し遠回りのルートで帰還しましょう」
「そうだね。ちょっと遠回りして帰ろうか」
それこそあの極寒の川とかに突っ込まない限りは寒くなったらシロクマコスチュームである程度誤魔化せるし、全然ゆっくり帰還する事に否定する事は無い。何ならかまくらとか雪だるまでも作って遊ぶ位の気持ちで行こう
「おっ、雪の森だ」
「微弱な反応がありますね?」
「そうだね。森だし何かしら居るかもしれない」
この環境での森は生物が色々居てもおかしくない。森の中を探索してみよう
「そういえばこの辺でも木の採取をしてるのかな?」
シクサームの街から機械連れの人が木材とかを確保する為に外に出てるとか聞いたし、この辺にもそういう人が居るかもしれないな
「人……確かに人の反応はありますが……」
「え、もしかしてちょっとヤバい感じ?」
「そうですね。これは少し危険な状態かもしれません。囲まれています」
「オッケー助けに行こう。クオン乗って!」
「はい!」
紫電ボードを取り出し、クオンに手を伸ばす。多分2人でも何とか操縦出来るはずだ
「方向は?」
「そのまままっすぐ進んでください」
僕の通常時のオーラ感知範囲より、探索強化状態のクオンの方が感知範囲は広いし、クオンの指示に従ってその方向に進んで行く
「こっちでもオーラを掴んだ!行くぞ!」
近くの岩を使って大ジャンプ。囲まれている人の所に駆け付けた




