パンじゃん
「え、これ野菜判定なんだ……いやまぁ肉、魚、野菜で分けるならここに入るのか……」
まさかの麺、パン、米が野菜判定。まぁ、稲と麦だし……大分大雑把だけど、これなら全然野菜の消費も出来そうな気がしてきた
「となると、サンドイッチ系列なら行けるか?」
お祭りで売るとなれば、タコ焼きだったりお好み焼き、串焼き、焼きそば、りんご飴なんて所なんだろうけど、基本的に火を使って目の前で焼く物が一般的だろう。食中毒云々とかの対策でもあるんだろうけど、ここならそういった事を気にしなくても良い。だったら新鮮なシャキシャキ野菜推しとかも出来るし、普通に野菜や魚と合せても良い
「野菜単体で勝負しようとしても他の人はあまり食べたくないだろうし、魚とか肉とかとの合わせて提供するのが良いよな」
やっぱり大事なのは食べてもらう事。野菜モリモリでどうぞと言った所で食べてもらえなければ意味が無い。ゲーム内とはいえ、野菜が苦手という人も居るだろう。そういう人でも食べやすい料理を作るべき……いやいや、騙して食わせる位しても良いんじゃないかな?
「だとしたら惣菜パン屋みたいなのが一番良いかな?」
これなら何を提供するにしても、一応何でも出せるかな
「よーし、これで色々やろう!ライスバーガーなんて物もあるんだし、米も実質パン!焼きそばパンとかもあるから、麺も実質パン!」
「えぇ……」
何でもカロリーがゼロになる理論もあるんだし、全部パンにする理論があっても良いだろう
「そうだなぁ……店名はどうしようかな?」
「店名……どうしましょうか?」
「正直ここで時間を掛けても仕方ないし、全部パン……よし!店名は『パンじゃん』だ」
「それはどういう意味でしょうか?」
どういう意味?そんなのは決まってる
「店名をこうしておけば、これはパンですか?と聞かれたらいや、パンじゃんって返せるからね」
「なるほど。確かにそれなら問題無いですね。ん?」
文句を言われてもこれはパンですで返せば良い
「さて、早速開くぞー!」
「あの、それって誤魔化してるだけでは?」
「……開くぞー!」
細かい事は気にしない。ササッと開店だ!
「らっしゃっせ~」
「しゃっせ~」
とりあえず簡単な惣菜パンを作っておく。パンにソーセージにぎっしりトマトとレタスを詰め込んで食べ応えバッチリなホットドッグ。お米をプレスして焼き、焼き肉と小松菜とか筍を挟んだ和風バーガー。少し硬めの麺を水切りしてから、出汁を掛けて鉄板で一度プレス。ほぐした鮭とチーズを麺で挟んで、焼きそば鮭チーズの挟み焼きなんかも用意する。オーソドックスから変わり種まで……後は思いついたら追加していけば良いや!
「あの、マスター?これって本当にパンなので……」
「これはパンじゃん?」
「な、なるほど……」
「こんな感じでもし何か言われてもこうやって躱せば良いのさ」
「そう言う事でしたか」
「うむむむ……そうだ!ホイコーローをパンに入れてみるか!名付けてパンコーロー……うん、良さそう!あ、カレーパンも作らないと」
ホイコーローのサンドイッチでタレも美味しく頂けるのも良いだろうし、普通にカレーは作りたいと思ってたから、カレーパンも作ってみよう。今から生地の中にっていうのは難しいし、水分量の少ないキーマカレーというかドライカレーを作ってパンで挟むかな。揚げパンを切って挟めばそれっぽくなるかな?
「おっ惣菜パンかぁ……はっ!?」
「らっしゃっせ~」
「しゃっせ~」
「えぇ!?何やってるんですか!?」
「え、普通に惣菜パン屋ですけど……お1ついかがです?」
とりあえずもう提供は出来るし最初のお客さんかな?
「えぇ……じゃ、じゃあ、このパンコーロー?って奴を1つ……」
「パンコーロー1つ!」
「どうぞ」
ちゃんと袋に入れて提供するクオン。これなら店番を任せても大丈夫そうだな
「さぁ、もっと作って行くぞ~。余ったら持ち帰っても良いのかな?」
一応皆で得た物だからそれはダメかな?
「まぁ、余らない程度に常に10個から20個位を予備で作っておきたいな」
「ここでまた指揮官の、いや!総帥のサンドが食べられると聞いたのですが!」
「総帥のパンが喰えると聞いて!」
「総帥パンが食べれるって!」
なんか惣菜パンが総帥パンに置き換わってないか?
「なんだこのパンは……見た事ねぇ……」
「これはパン……?」
「店名をご覧ください」
「パンじゃん……これはパンですねぇ!」
「「「あ、そっかぁ……これはパンですねぇ!」」」
よし、ちゃんと皆乗ってくれてるみたいだ。これだけ上手く行けばこれ以上パンかどうか聞かれる事は無さそうだ
「おひとついかがですか?」
「えっと、じゃあこの和風バーガーと鮭チーズ麺パンを……」
「じゃあカレーパンを!」
「このホットドッグをオナシャス!」
おぉ、良い感じで人が来だしたなぁ。これなら口コミでもう少し来てくれるかもしれない
「ハチ君。君さっきめっちゃ熱い戦いをしたと思うんだけど……」
「あ、ハスバさんいらっしゃい。なんか食べます?」
「ハチ君凄いバイタリティだねぇ……じゃあそのバーガーを貰うよ」
まぁ、さっきまでとの変わり様を考えたらそうなっちゃうのも仕方ないか。でも今の僕は惣菜パン屋の店員だからね




