最大の一撃勝負
「よし、問題無し。おーいちょっと提案があるんだけど良いかな?」
『ん?提案?話は聞こうじゃないか』
お互い攻撃と防御の手は止めない。不意打ちに気を付けながら会話するなんて気が気じゃないなら最初から戦闘しながら会話すれば良い
「このまま戦っても同じ様な絵面を見せ続ける事になっちゃうし、ここらでお互いの最大限の一撃をぶつけあって最後に立ってた方の勝ちにしません?」
『なるほど。それは確かに一理あるね』
良かった。理解はして貰えたかな?
『その話。乗っても良い。でも、もしお互いが一撃を撃って、立っていたらどうする?』
「その時はその時ですね。運営さんに決めてもらいましょう」
こういう判断を当事者同士が出来てしまうと良くないだろう。公平な立場の運営に投げた方がお互い納得出来る
「という訳でオーブさん。これから一撃勝負をするのでどちらも倒れなかった場合の判断はお任せします」
「了解しました。それで良ければこちらで判断します」
よし、とりあえずこれで1撃勝負に持ち込む事が出来た。だとするとアレをやってみますか!
「クオン。あの残骸に早速やってみよう」
今回はジ・アソートとトラス・トミーの残骸が消えずに残っている。ある意味倒した奴も障害物として使って戦おうって事なのかもしれない。となれば早速やってみよう
「そっちは発動までに時間が掛かるとかありますか?」
『それはこっちのセリフだねぇ。ハチ君側の方は時間が掛かるとか無いのかい?』
(そうですね。この分ですと、46秒程欲しいですね)
「だそうなので、46秒使って最大の一撃をお見舞いしましょう」
クオンの試算でそのくらい時間が必要と言うのであれば、使わせてもらおう。にしても46秒か。中々時間掛かるなぁ
(それでは【侵蝕武装】)
パキンパキンと軽い音が鳴り、ジ・アソートとトラス・トミーの残骸に弾丸が撃ち込まれた。すると、その撃たれた地点から徐々にネファリウムの色に変わっていく。そして起き上がったジ・アソートとトラス・トミーが散らばった破片も触りに行ってドンドン侵蝕していく。なるほど、この侵蝕に掛かる時間で46秒必要って事だったのか
『『『『『なぁっ!?』』』』』
倒れていた2体がこっちの支配下に入り、更に深淵を繋ぎにしつつ、破片を合わせて歪で超巨大な右腕が完成した
「クオン。僕の魔力も使っちゃえ!今から僕はマナタンクだ!」
(はい!それでは更に行きましょう!)
E.I.D.O.S.が動いて超巨大な右腕を上からエンハンサーで通過していく。すると右腕に禍々しいオーラが強化されていく。いやぁ、これはカッコいいぞ?僕も魔力を全部持って行かれて頭痛いけど、この右腕にE.I.D.O.S.リングによって強化されたこの一撃で全てを終わらせる
『使える物は全て使いましょう。その為に用意したのです』
お、ドクターの声だ。そうそう使える物は全部使う。いやぁ良い言葉だ
『こんなの制御しきれる訳無いんだからね!どうなっても知らないわよ!』
『あぁ、ここまでの強化をしたら流石に一撃でこっちもそれ以降どうしようもないな。一撃勝負にして貰えて助かるね』
どうやらドクターが何か凄い薬品を作ったのか、特殊な弾丸を銃に込めて自分のこめかみに撃つアンサーエイト。さっきまで青白い色だったオーラが赤黒いオーラに変わる。それを3発……いやぁ、ヤバそうな雰囲気がプンプンするなぁ?
『人間には使えない強化薬……何とか形にはなりましたが、あそこまで行くと本当に自分の攻撃で自壊してもおかしくありません』
アンサーエイトも武器の構えは何とか取ってるけど、所々ビクついたり、首がカクカク動いたりしている。何とか抑え込んでいる様な状態か
『こちらも準備オッケー!装甲融解!』
アンサーエイトの装甲が溶ける。そしてその溶けた装甲の内側から魔力が噴き出る。もう魔力の炎でも纏ってるみたいだ。あの状態でもまだ形状を保っていられる……凄いな?
『行くぜ?ハチ君』
「ええ、こちらも行きますよ」
「「「「「これで終わりだぁ!」」」」」
噴き出る魔力をそのまま剣にする様に、とてつもなくデカい炎の刃と超巨大な禍々しい右腕がぶつかる。お互いの攻撃がぶつかった瞬間爆発が起こる。うおっやべ!吹っ飛ばされる!
「……っは!あ、【光子化】してる……とんでもない威力のぶつかり合いだったな……」
(損傷……甚大……)
「クオン!大丈夫か!」
まずい。深淵体はほぼ消えて、クオンのクッションになった分だけだし、クオン自体もかなりの深手だ。僕も【光子化】しているという事は確実に一撃で死んでいた威力という事になる
(攻撃姿勢が悪かったか……あるいは攻撃方法が悪かった為……後方に吹き飛ばされたと思われます)
「それは今は良い。とりあえず生きているな?」
(はい……何とか)
「それだけで僕は嬉しい。例え今回負けであったとしても、クオンはここまでこの短期間で成長してくれたんだ。僕はそれだけで充分嬉しい」
さっきの一撃でクオンは立っていられなかった。僕達の決めたルールでは立っていた方の勝ち。今のクオンは倒れているし、そのクオンを引き起こしてしまうのはルール違反になってしまうだろう。良い所までは行けたなぁ……




