断絶破壊
『あの動き……左右で別々の動きをしている?マジかハチ君……君はいったいどんな物を作ってるんだ……』
『左右分けって……効率悪いでしょ?普通に上半身と下半身で良くない?』
『でもそれをやってのけるのが……』
『『『『『ハチ(君)』』』』』
分断したハズなのにより連携が強くなる。信頼しているからこその左右で別々の操縦。まさに心で繋がっている。シンクロしていると言っても良い状況。戦う為の機体では無く、家族を作ったと言われても納得の出来だ
(クオンのミスは僕がフォローするし、僕のミスはクオンがフォローする!)
相手に向かって走り出し、攻撃が来たタイミングでクオンがマジカルアビスステッキを構える。攻撃がヒットしそうになる瞬間に体をしゃがみながら回転させ、足払いの様な攻撃をクオン側の右半身で出させて、攻撃終わりのタイミングでクオンのステッキから魔法の矢が発射される。基本的に回避の一手は僕始動で、防御や攻撃の一手はクオン始動だ
『魔法による牽制に武装もある……それでいてハチ君特有のあの身のこなしをしてくる……控えめに言ってヤバ過ぎでは?』
『アハッ!まだ他にもあるのかなぁ!』
まぁ、無いと言えば嘘になるけど、【侵蝕武装】は使わないと決めている。このスキルは今回のイベントで使ってしまうと成長も無ければ面白さも無いから封印だけど……あっ!これなら良いかも……でもこれは確実にクオンと会話をしなければ使えない。どうなんだろう?この断絶結界ってどうしたら良いかな?
(どうにかこれを破壊しないとクオンと新しい事をしたくても出来ない。流石にクオンとの新しい連携を今からしようとしても言葉が無くて新連携は流石に無理がある……気持ちは通じてるとしてこれは流石にな……)
今までの事をやるのであれば、問題無く連携は出来るだろうけど、新しい事をやろうとしたら、流石に連携をする為にも意思の疎通が必要だ。でもここで触手を使って文字を書いて伝えるのは……なんか違うよなぁ?
(となるとやる事はこの断絶結界の破壊……)
さっきばら撒かれた魔札のどれかにその結界効果がある物が紛れている。もしくは全て破壊しないと効果を消せないとみるなら、どうにかして魔札を破壊していくのも必要かもしれない
(【察気術】で分かる物じゃないな。魔札全部から魔力を感じるし、なんなら何かコーティング的な事で内部でどんな魔法の効果があるか分からない様にされているのか、全部同じ反応に見える。こう言ったら何だけど、結構僕対策みたいな物もちょっとずつだけど増えて来た気がするな?)
運営が用意したのかどうかまでは分からないけど、何かしら僕のスキルとかを無効化したり、貫通する物が目に付く様になってきた。だが、こんな所で止まる訳には行かない。僕の対策アイテムが出てきたのなら、それを上回るか、もしくはそれに引っ掛からない新しい技術を覚えれば良い。どれだけゲーム内のスキルや魔法のメタを張られたとしても、プレイヤースキルをどうこうされている訳では無い。となれば鍛えるべきはゲーム内スキルでは無く、プレイヤースキルって事だ。咄嗟に昇竜が出るまでコマンドを頭と手に叩き込むみたいな物だと思えば良い。まぁ、これはクオンとの連携に関しては今は問題無いか
(とりあえず届く範囲の物は壊してみるか)
触手で落ちている魔札を何枚か切ってみる
『これでっ!』
おっと、なんか相手の出力が上がってる気がする。これもしかしてばら撒いてる魔札の中に自分達の機体性能を縛る札とかも仕込んでるのか?それでこっちの攻撃を抑制すると……
(なら、受けて立つべきだよね!)
あえてクオンにも分かりやすい様に魔札を破壊する。すると、魔法の深淵ステッキのミラクルパワーが炸裂して、ステッキから触手が伸び、その先端についているE.I.D.O.S.ブレードで落ちている魔札がバラバラに切り刻まれていく。いやぁ……ニチ朝の時間帯では見せられないステッキだねぇ?
(……れで最後です!)
「おっ!クオン!」
(マスター!)
散らばった魔札を全て破壊して断絶結界が消滅したのか、クオンを認識する事が出来る様になった。言葉も通じちゃうのであれば……
「……って相手も凄い事になってるねぇ?」
(魔力を纏って光ってます)
相当この魔札に蓄積か何かしていたのか知らないけど、アンサーエイトの機体が青白く光っている。となると持ってる魔力量は相当な物だと見て良いだろう。あれ下手に扱って爆発とかしなきゃ良いけど……
『やぁ、ハチ君。手加減はしない方が良いかな?』
「そりゃあ、勿論。そうじゃないとお互い秒で終わっちゃうじゃないですか」
ハスバさんの声……皆僕を煽れば乗ってくると踏んでこう色々やってきてるな。ただ誰も「チビ」とは言わない辺り、正々堂々だけど性能は最大限だせと言ってるみたいだ
「クオン。封印してたあのスキル使うよ」
(え、あれを使って良いんですか?)
「ちょっと使い方は変則的になるけどね」
さぁ、こいつを使ってラストだ!




