再会
「ベア(何処に居るか分かります?)」
「あぁ、今日は裏道で小さい屋台を開いているハズだ」
シロクマの恰好に戻り、ダイコーンさんと一緒に街を歩く。この街から出る前にアミーちゃんにはもう一度会っておきたい
「ベアベア(ちゃんとご飯とか食べてるかなぁ?)」
あの時はお母さんの為に薬草を取りに森に行ってたりしてたし、今はちゃんとお金も有るはずだから安全に暮らしていてくれると嬉しい
「ちゃんと喰ってるさ。マーサさんと一緒に商売してるぜ?」
「ベア?あぁ、ベアベア(マーサさん?……あぁアミーちゃんのお母さんか)」
マーサさんって言うのか。んー、マミーさんじゃ無かったか……
ダイコーンさんと裏道を一緒に進むと1つの屋台に行列が出来ていた。美人な女性と小さな女の子が小さな袋を売り、それを買うプレイヤー達。あれは匂い袋だろうか?
「申し訳ありません。用意した分が無くなってしまったので本日の販売は終了になります……」
「せっかく来てくれたのにごめんなさい……また今度お願いします」
「あ、あぁ……」「また来るよ」「買えなくても良かったかもしれない……」「良い……」
美人親子に謝られればすぐに引き下がるプレイヤー達。やっぱり皆美人には弱いんだなぁ……
屋台に何も無くなり、片付けを始めた2人。話しかけるなら今かな?
「よぅ?繁盛してるみてぇだなぁ?」
だから言い方ェ……
「ベア!」
右手を上げて2人に挨拶
「あぁ!おじさんとクマさんだ!」
「この前はありがとうございます……匂い袋を言われた通りに値上げして売りましたが、飛ぶように売れて、屋台もあってとても生活が楽になりました」
マーサさんも足の怪我の後遺症も無いみたいで良かった。アミーちゃんも屋台の手伝いしてて偉いなぁ……
「クマさん!これあげる!」
アミーちゃんに何か紙で作られた丸い物を渡された
『感謝の折り紙メダル を入手しました』
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感謝の折り紙メダル
レアリティ レア
ステータス +0
耐久値 100%
特殊効果 感謝の印 アクセサリー枠を使用せずに装備出来る
とある少女が感謝の気持ちを込めて折った折り紙のメダル。「遊んでくれてありがとう!」とメダルの中に書かれている
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これヤバい。ちょっと泣きそう
「ベア……ベアベア!(ありがとう……大事にするよ!)」
メダルを装備するとポシェットに紙のメダルが付いた。赤い紙のメダルがワンポイントな感じで良い
「こっちも大分感謝してるみたいだぜぇ?ありがとうってよ?」
「良かった!喜んでくれて!」
「最近は他の匂い袋も作ってみようと色々試行中なんです。完成したら是非試してみてくれませんか?」
「ほう?そいつは面白そうだ。良いぜ?試したい時はギルド経由で呼んでくれ」
「えっ?あっ、ベア?」
「分かりました。新しい匂い袋が出来たらダイコーンさんに連絡しますね?」
ギルド?気になるけどとりあえず一旦スルーだ。ダイコーンさんって呼ばれている所を見るに僕が居ない時にも会ってたんだろう。ひょっとしてこの屋台もダイコーンさんが協力したりしたのかな?
「まぁ元気そうで良かったぜ?」
「せっかく掴んだチャンスですから頑張りますよ。でも、最近は来てくれる方が多すぎてお客さん全員に商品を渡せないのがとても申し訳ないんです……」
人気過ぎて売り切れちゃうって凄いな?
「……それなら集めるのが大変な素材だけギルドで集めてもらえば良いんじゃねぇか?」
「結構掛かるんじゃないでしょうか?」
「そんな事は無ぇ、報酬を匂い袋にすればタダでも受ける奴は出るはずだぞ?今はサブジョブ解放とフォーシアスに行ける事が分かったから尚更匂い袋を入手してボスを倒そうとする奴が増えるはずだ。だから一応クエスト発行してみると良いと思うぞ?」
「旅人さん達は今そういう状況なんですね……分かりました。今度掛け合ってみます!」
なるほど、こういう事でもクエストとかが発生するのか……というかもう聞かなくても分かった。ギルドってゲームとか小説とかに出てくるあのギルドだな……僕全く行ったことが無いですねぇ……
「片付けの邪魔しちまったな?俺達はもう行くぜ」
「ベアベアー(バイバーイ)」
手を振ってアミーちゃんとマーサさんの2人と別れる。どうしよう……ギルド行ってみるか?いや、別にギルドに行く意味も無いか。ホフマンさんの所に戻って下味が付くまでゆっくりするか
「ベアベアベア?(真っ直ぐホフマンさんの所に戻りますか?)」
「あぁ、別に寄る所も無いだろう?裏口から戻ればすぐに厨房に行けるから裏口から帰ろう」
表から入って態々厨房に入る為にホフマンさんに開けてもらうのは手間だろうし、裏から入るのは賛成だ
「おぉい、戻ったぞー」
「戻りましたー」
厨房に辿り着いたのでシロクマからローブに戻す。動きやすさとかは案外変わらないんだけどやっぱりこっちの方が良い
「居ないのか?」
「もしかしてお客さんでも来てるんでしょうか?ちょっと見てきます」
「あぁ、分かった」
厨房にホフマンさんは居なかった。もしかして接客しているのかな?と思ってカウンターの方に向かう
「ホフマンさん戻りましたー」
「あっ」
「えっ?」
ホフマンさんは見た事のある2人組を相手に料理を出していたところだったのですぐに厨房に戻ろうとした
「あれぇ?あれあれぇ?アハッ!みぃつけた!」
「あらあら?お久しぶりねぇ?」
背筋が凍るとはこの事か。モニクよりも遥かに悪魔らしい(胃が)キリキリシスターズの2人。キリアさんとキリエさんがそこに居た