第4リミッター
『ハチ!こっちは全部オッケーだ!』
ホフマンさんからのメッセージ。待ってました!
「クオン。第4リミッター装着」
「はい」
『!?』
さっきまで座り込んでいた状態のクオンが今度はバタリと倒れた。なるほどなぁ……身体能力の98%抑制となるとそうなるのも分かる
(マスター。深淵を使用します)
「許可する」
『その力は……まさか!?』
「クオン。好きなようにして良いよ」
(了解です)
黒い深淵を纏い、立ち上がったと言うよりは立たされたクオン。そしてそのまま深淵の椅子にそっと置かれる。まるで寝ている様だな?
『どれだけ能力があんのよ!』
銃弾が放たれるが、クオンに当たる事無く、空中で深淵の触手によって打ち落とされる。玉座に座って自分が動く事無く深淵が対処する……これ僕が魔王のフリしてた奴が間違って伝わってないかな?
(新しい体を得た気分です。動けないはずなのにこんなに動きやすいとは)
凄い矛盾した事を言ってるけど、言いたい事は分かるなぁ……
「さぁ、どれだけ能力があるんでしょうかねぇ?」
実際成長するクオンの能力がどのくらいあるのか僕も完全には把握していない。実際クオンの能力はどのくらい凄いのだろう?
『全く、こういう時のハチ君はガードが堅いねぇ!』
「そう簡単に情報は渡しませんよ。そんなの面白くないでしょう?」
実際は知らないから教えられないだけだけど、こういうのもある意味情報戦的に攪乱させる事が出来る
(まだ対処は可能ですが……マスターのお友達は凄いです。的確にクオンを狙って攻撃してきます)
確かに動けないクオン本体に対しての射撃や投擲は如何に深淵を躱して攻撃するかを工夫して狙われている。刀に依って深淵を弾いたその隙を狙い射撃。その射撃が通る様に前もって投げられていた苦無。しっかり防がないと確実に痛い目を見る斧。防がれるのは分かっているが、意識を逸らす為だろう上からの魔法攻撃。それもクオンがアブソーブを展開したら即向きを変えて吸収されない様に立ち回っている。そんな針の穴を通す様な攻撃を紙一重で防いでいるクオン。あれはかなり大変だな何とか防いでは居るけど……その先の反撃に移行するのが大変だ
「凄い……両方とも凄い……」
クオンはギリギリだけどしっかり防いでいるし、皆も1機で連携してクオンの防御を抜こうとしている。ここに参加出来ないなんて……ちょっと口惜しい
「ん?今……」
気のせいか?絶対今何か動いたぞ?クオンとアンサーエイトが戦っている間に何が別の小さい物が今動いた気がする。ちょっと【察気術】でしっかりと確認しよう
「なっ!なんだアレ!?」
見た目的にはボールに手足が生えた物がアンサーエイトの背後から出ている。トラス・トミーのデカい残骸とかのせいで分かりにくかったけど、戦場に居るのはあそこの2体だけではない
「クオン、両サイドに小さいのが展開してる」
(分かりました警戒します)
実際問題あの両サイドに展開した奴が何もしない可能性の方が低いだろう。もし何もしなかったとしても、今のクオンが両サイドにまで集中を散らせる事が正解なのか……僕の選択は正しいのかも分からない
「今の選択……本当に合っていたのか……」
指示はしたけど、今のはクオンにやらせるのではなく、僕が左右の2体の動きを注視して動きだしたらクオンに伝えた方が良かったのかな……
「あれは……もしかしてトーマ君とダイコーンさんか?」
一緒に居るのに何もしていないと思ったら、どうやらあの小さい機体を操作しているのかもしれない。あれはいったい何をしてるんだろう?
(段々慣れてきましたが……なるほど。深淵の記憶ですとマスターはこれをもっと多く同時に操作し、更にこの形状すら変更して使用しているなんて……)
まぁ、確かに8本12本と結構な数を線深淵とか使ってたなぁ……あれは本当に脳を酷使しないと使い切れなかったからクオンが深淵を6本使うのがやっとという所。4本までは問題無いけど6本まで行くとちょっとぎこちない感じだ
「(来る)」
2方向に別れたあの小さい機体が何かを展開した。これは流石に何かが起きると見て良いだろう。さぁどうなる……
(っ!?)
クオンが座っている深淵の椅子が低くなる。なんだ?クオンの動きが鈍くなっている気がする
「あれは!魔札!結界か!」
あの小さい機体が戦場をコッソリと移動して、アンサーエイトと合せて三角形の結界を形成しているみたいだ。それのせいでクオンが弱体化しているのか。弱体化結界……なるほどな。確かにアレならクオンのアブソーブで吸えるかどうかわからない。マズい。一気に形勢が悪くなった。一応、弱体化しているのはクオンに対してみたいだし、武装の性能に対して弱体化は入ってないみたいだからアンチノミーユニットとE.I.D.O.S.を使って攻撃の回避と防御はまだ何とかなっているが、あのままでは確実にジリ貧だ
(マスター。承認を頂きたい事があります)
「承認!」
(えっ?あっ、承認を確認しました)
こんな状況で聞き返す時間なんてもったいない。何かあるならやってしまおう!




