変異100%
「流石にもう大丈夫でしょうか?」
ホフマンさんからの連絡はない。が、盛り上がりを作るとなると、もうここで動かないとダメな気がする
「オッケー。やっちゃえ!」
「分かりました。マスターの許可も頂けたので、やっちゃいます。【変異武装】100%」
クオンの体がドンドン変化していく。尻尾が生え、翼が生え、武装が出て来てクオン自体も大きくなる。人の姿が四つん這いになり、首が伸びて顔も変わる。その姿はさながらドラゴンと様々な武装が融合した姿。いやぁ、僕これは流石に知らないよ?
「変身中に攻撃するのは無粋というのは聞いた事があります」
『ちっ……』
変形……というよりはハスバさんでは無く、生物的に変態と言っても良い。その変態中もE.I.D.O.S.によってしっかり守られていたので、途中で攻撃されるというのもちゃんと防いでいた
「この姿はあまり長い時間は使えないので、早速やりましょう」
新たに生えた翼で地面から飛び立つ。一定の高度まで上昇したら羽ばたきを止め、その翼の上部から砲身がジ・アソートとトラス・トミーに向け、ドラゴンの口にもエネルギーを貯めてアンサーエイトに向ける。3方向に対して同時攻撃が出来るのか……今はこの姿だけど【変異武装】でまた別の姿にもなれるんだろうなぁ……
「避けるか防ぐか。お好きにどうぞ。では」
一瞬の無音の後、3体に向けて極太のレーザーが放たれる
「クオン……それやり過ぎでは?」
「……あっ」
確実にオーバーパワーな気がする。時間稼ぎする事を忘れてないかな?
「大丈夫かな……」
全滅してたらマズイけど、この火力。ヤバいな……
『全く、とんでもない威力の攻撃ね……』
『な、何なんだアイツ……』
『ぐ……う……』
一応上空に飛んで距離があったお陰か、ジ・アソートとアンサーエイトは何とか攻撃を回避したみたいだ。トラス・トミーは……クオンがずらしてたのか左半身を消し飛ばす形で何とか生きてると言って良い状態かな?
「……やりますねぇ!良く避けました」
めっちゃ焦ってるねぇ……まぁ、分かるよ?『えんため』と時間稼ぎの両立というのはその場の雰囲気次第で難易度は大きく変わる。今回のノリを考えると……まぁ時間稼ぎというよりは大火力を見せつける場面だよねぇ……
「ふぅ……良かった。生きてた」
危なかったなぁ?ここでやっちゃってたら時間稼ぎが出来なかったからね。まぁ、切り札の【変異武装】100%の手札を切っちゃたから、こっちの時間切れに関してはクオンの判断でちゃんと解除してオーバーヒートしない様に限界前に解除してもらう必要があるけど、一旦注意したクオンなら多分大丈夫だろう
「次はどうでしょう!」
胸部が開き無数の銃口が向いている
『全く、出鱈目ね……』
『どんな技術力してりゃああんなモン作れんだ!?』
『……』
小柄なアンサーエイトはトラス・トミーを盾にして攻撃を避ける。ジ・アソートは自身の装甲を何枚か外して軽量化したので、躱すのかなと思って居たら、その外れた装甲が1つに合体して、大きな盾になった。なるほどなぁ……確かにあれなら防げるかも。そうか、自身の装甲を外して積層装甲にするか。それは考えてなかったな……トラス・トミーは発声器官がやられたのか喋れなくなったみたいだ。まぁ、クオンのあのある意味全方位攻撃みたいなのに晒されたらそりゃあ壊れるよね
「災害を齎す龍って感じだねぇ……でも良いよクオン!カッコいい!」
「はい!」
多分クオンももうトラス・トミーは持たないと思って居るんだろう。時間稼ぎをする為に全員倒さないと言うのは無理がある。だから、さっきの3方射撃でほぼ致命傷を負ったトラス・トミーは倒す事にしたのだろう。上からの攻撃で装甲の質が良いんだろうジ・アソートはまだ持っている方だが、トラス・トミーは装甲を厚くして防御力を得ているから、その厚い装甲がドンドン剥がされている
「残念ですが、トラス・トミーさんには退場して頂きます」
上から攻撃で迎撃系の武装も全て破壊したトラス・トミーに対して急降下をし、変形させた尻尾を当てる。尻尾はブレード状になっており、動けないトラス・トミーを半分にぶった切った。あ、E.I.D.O.S.を尻尾に仕込んでるのか。なるほどなぁ……そりゃあぶった切れる訳だ
「おっと、もう少し暴れたかったですが、諸々の事情を考えるとここで一旦終わりましょう」
トラス・トミーを一刀両断し、また宙に上がった所でドラゴンクオン状態を解除し、元のクオンの姿に戻る。時間にして1分半から2分使ったかどうかというところだけど、余力を残しておいた方が良いのは確実だ。いやぁ、この構図……割とボロボロの2体が上を見上げて、E.I.D.O.S.とかを周囲に飛ばしてるクオンがゆっくりと降りて来る……このボス戦的構図大好きだなぁ
「クオンはまだまだ戦えます。貴方達はどうですか?まだ戦いますか?」
まぁ、こんな時に棄権されても困るのはこっちなんだけどさ……




