後に祭り
「ヒャッハー!この程度倒せなかったらハチには絶対勝てないぞ!」
「あぁそうだ。今回は流石にハチ君に勝たせてもらう為にもここで負けられないんでね」
「どうせハチはもう私達のギミックに気が付いてるだろうし、使っちゃっても良いわよ?」
「いや、例え気が付かれていたとしても先に見るのと実戦でいきなり使われるのでは対応出来るかどうかは違うからね。まだ使わない」
「ここでまだ止まりません!」
「さぁて、我々の士気は充分だが、ハチ君にどのくらい脅威に感じて貰えてるかねぇ……」
アンサーエイトでジ・アソートとマッドスタッフと相対しているチーム八倒心。タティーノのお陰でハチ君が所有している島からミスリルを分けて貰うというある意味裏技的な事で素材を調達出来た。敵を倒して集めた素材も併せて、トーマ君とドクター、タティーノが共同開発した新素材で機体性能はかなりの物となった。これで驚かせようと思っていたが……流石ハチ君。私達の予想を簡単に超えてくる。まさかの生命体を作り出しているとは……しかも戦闘を見ればもはや第二のハチ君と言っても過言ではない性能だ。どの位脅威に感じているのか正直分からない……
「まず間違いなく今までで最強。僕より強いと思って挑んで。あの人達は必ず上がってくるから」
「はい。クオンも最大限警戒すべき相手だと思います」
絶対にチーム八倒心は上がってくる。そして最強の敵だ。油断は一切出来ない。だからこそこっちも搦め手を使う用意はしておこう
「あの、オーブさんはいらっしゃいますか?」
「はい、こちらに」
クオンがオーブさんを呼んだ。というか呼んだら来るんだオーブさん……
「少し相談したい事があるのですが……」
「どういったご用件でしょう」
クオンがチラチラこっちを見てくる。ん?何だろう。僕が居ると話し難いのかな?
「ちょっと外出てくるね」
「はい」
一旦部屋の外に出る。あー、ここって対戦フィールドの結構上空だったんだ。なるほど、こういう事も出来るんだ。これならこの世界からコッソリ消しても誰も文句言わないかな?こういう作ったり消したり世界の創造をする者達の目を騙して作り上げたのがクオン……って事なのかな。まぁ、どっちにしてももう生まれちゃった物は認知して頂かないとね
「にしても、やっぱり操縦まで入っちゃうと完全に戦闘職まで加入させておかないとダメっぽいな。確実に成果を上げているのは戦闘が出来る人がチームに居る所みたいだし、これやっぱり生産職の為の祭典ってなると、完成した物を売るフリマ的な物が一番損しないのかなぁ……」
ちょっと早いかもしれないけど、今回のイベントの反省点的な物を挙げるとするなら盛り上がりの為にも戦闘を入れてしまった事。全員戦いたい気持ちはあったかもしれないけど、展示にして競うとかの方が良かったのかも……いや、でもやっぱり皆作った物が戦えるってなるなら戦いたいよな
「となると、また別の戦場があった方が良いのか……」
ちょっと連絡してみるか。メッセージメッセージ……あ、そういえば外部との連絡は出来ないんだっけ?一応やってみるか
『ホフマンさんちょっと良いですか?』
『おう、どうした?今はそっちの決勝やってんだろ?』
おっ、連絡出来たぞ?もしかして決勝戦まで行っちゃえばもう情報は公開された様な物だからオッケー的な配慮かな?
『はい。ちょっとそれで思いついた事がありまして……』
『思いついた事?なんだ?』
よし、一応出来るかどうかだけ聞いてみよう!
『もしかしてですけど、ホフマンさん達会場で料理とか売ってませんか?』
『まぁ、やってるが……』
『ホフマンさん達以外にもそう言った人達が集まってます?』
『まぁな。こういうイベントのタイミングって言うのは俺達もチャンスだからな』
オッケー。ホフマンさん以外の料理人が居る。これはチャンスだ
『今回のイベントって料理人の方達って見かけてないんですけど、やっぱり参加はしてないですよね?』
『まぁ、そうじゃないか?参加してる奴は何人か知ってるが、そいつらはチームの人数が多いから支える為にチームに入ったとか言ってたし』
専属料理人的な事か。でもまぁ、直接参加はしてないと言って良いよなこれ
『ならいっその事料理人達の為のイベントにもしませんか?』
『しませんか?ってどういう事だ?』
『僕の勝手な想像ですけど、ホフマンさんは料理人達に対して顔が広いと思って居ます。なので、その顔の広さを活かして、今会場に来ている料理人達を集めて、グルメフェスみたいな事をやってみませんか?』
決勝戦の有り方ですら皆が楽しめる様に変えた運営だ。こういう動きがあると教えれば喰い付くだろう
『ほぅ?』
『料理対決……ってしちゃうと多分ホフマンさんが勝っちゃうと思うんで、各々が勝手に色んな所で料理をするんじゃなくて、決勝戦終わりましたのタイミングでグルメフェスに変えて皆で楽しめば収益も多いんじゃないでしょうか?今居る料理人達が食材を出し合って料理を作れば、それこそ見た目的にもインパクトがあって楽しいと思います』
「という事を考えているんですが、オーブさん。如何でしょう?イベントには色々な方が参加すべきですよね?」
僕は覚えているぞ。この修理施設の出入り口は中から外に音は出にくいけど、外から中は低減されるだけで聞こえはする。オーブさんも複数居るみたいだし、それが失敗したとしても何処かから飛んできて対応はしてくれるだろう
「素晴らしい提案です。今回の決勝戦が終わり次第ご協力させて頂きます」
『いきなりそんな事が可能なのかという問題があるが……』
『あ、可能みたいです。今運営に伝えたら協力しますって返事来ました!』
『はっ!?』




