アンサーエイト
「トラップとかで距離を取って戦闘をしてるけど……これはモロに操縦の腕の差が出てるな……」
どれだけ良い機体を作ろうとも、操縦する人が並みであれば、その機体も並みの性能しか出ない。逆に操縦する人が強ければ、量産機だろうとも他とは一線を画す強さになる。相手の性能を確かめる様な戦闘をしなくて良いのならまさに切り捨てるだけだろう
「直感的操作は咄嗟の反応がしやすいからなぁ……機体が人型なら戦闘職があの操作方法を取る事で戦闘能力は他を圧倒するね。それに、あの機体も全身にミスリルを使っていても不思議じゃない。使用許可は出してたし」
タテさんがあのチームに居る時点で武装にミスリルを使用出来る。今のタテさんなら軽量で強度が高いプレートとかを建材を作る過程で作れてもおかしくない。防御もかなりの物と見た方が良いな。多分それのお陰で軽量化と小型化が出来てるんじゃないかな……
「というか絶対あのチームもなんか新しい素材を作って挑んでいるはずだろうし、その辺の事を考えるともう少ししっかり見たいな……」
ハスバさんの動きを模倣したアンサーエイトは明らかに他のゴーレムより小さい。まぁ、クオンよりは大きいけども……クオンみたいなトンデモ技術が入ってないとするなら、トラス・トミーみたいな分厚い装甲を纏って巨大化する以外にもこういった新素材を用いた軽量装甲によって小型化という方向性がある訳だ。やっぱりこういう技術革新的な物を見るのは面白いなぁ……
「新型軽量装甲。新型武装……やっぱり自分が関わってないこういう物が出てくるのは凄く面白いなぁ……クオンがどれくらい戦えるのかも気になってくる」
「見た感じですと普通に戦っている様に見えますが……」
そう。普通に戦っている様にみえるけど、クオンじゃないのに体格差があって普通に戦えている。むしろ圧しているのだから凄いんだ。そして……
「クオン。アレ見える?」
「アレとは?」
僕はアンサーエイトではなく、それを操作しているハスバさんの方に注目する
「あの人。まぁ僕の友達なんだけど、あの人の体に薄く青いリングが何個か着けてるでしょ?」
「はい。手足や胴体に装着されてますね」
「横の人も見て見な」
「横……」
ハスバさんの隣にキリエさんとキリアさんが居る。その後ろにはアイリスさんとロザリーさん。そしてその5人全員が同じ薄く青いリングを装着している
「クオン。どう思う?」
「あのリングが操縦桿として体の動きをリンクさせていたとするなら……隣の方も操縦出来る?」
「そう。僕もそう思ってるんだよね。で、一応あそこに居る人達って、苦無と4種の剣を扱う人。銃を扱う人。両手に斧を持って投げたり斬ったり、挙句の果てに掴み掛かってくる人。刀による抜刀の超速攻撃と魔札による魔法攻撃する人。レイピアと魔法に加えて剣を浮遊させて攻撃してくる人なんだよ」
「な、なんですかそれは……」
まぁ、まだ説明していない人も居るけども、主に戦いそうなのはあの5人かな?
「で、あのアンサーエイトの持ってる武器……どう思う?」
「様々な武器を持っています。先程挙げていただいた方々が使う武器の特徴にも似ています」
「……あれ絶対戦闘途中で中身変わってくるタイプだよなぁ?」
「そうですね……相手は1機だとしても、戦い方は5人分……そう考えるとマスターでも倒すのが難しいという言葉の意味が分かりました」
そう。仮説ではあるけど、アンサーエイトは5種類の戦闘スタイルを持っている可能性を考慮して戦わなければならない。そしてミスリルを使っているのであれば、戦闘可能時間も他に比べて長い……いや、供給可能で無制限の可能性もある
「全距離対応はしてるとまず考えた方が良い。その上でクオンは僕の友達の戦闘能力を上回らないとこの勝負勝てない」
「第三段階をここまで封印したかったのは対応されない様に不意打ちする為だったんですね」
あの時は盛り上がり重視で使ってしまったけど、リーチ不明の防御がほぼ不可能な武器をいきなり目の前で出されたらほぼ100%対応出来ないだろう。それを1度見せた事でその攻撃に対して警戒出来るとなると、一気に不意打ちの成功率は下がる。ましてや相手のメインパイロットはハスバさんだとしたら、回避性能はかなりの物。何なら下半身はハスバさんが担当して回避して、上半身はキリエさんが担当して攻撃なんて荒唐無稽な事が起きてもおかしくない。戦うならまずは相手は最強で設定しないと、油断が生じる
「まぁそうだね。不意打ちのプランは一旦流して、別のプランを考えよう。ハスバさんがメインならアレが通じるか?いや、でもクオンにやらせるのはなぁ……」
「何か策があるのですか?」
「うーん、策と言うには下策だし、あの5人の中で多分効くのはハスバさんだけだろうから、やらなくても良いかな……」
「策の内容を話して頂ければ可能かどうかは判断致しますが……」
……話すだけなら良いか
「あの人の性格的にこういう事が効くかもしれないからやるんだったら僕が……」
一応、ある意味付け入る隙になるのかな?




