選別?
「時間となりました。それではこれより決勝トーナメントブロックA。開始します」
「クオン。あの城壁みたいな奴は内部にコアが3つあって、あの重い体を動かしてると思うからコアを1つでも破壊出来れば機能停止に追い込めると思う。あっちのなんか防護服みたいなのを着てるのは自身の攻撃から身を守る為に着てる可能性がある。防護服を破壊出来れば勝機はあるかも。で、あの4本腕は他2体に比べればゴーレム自体は弱いかもしれないけど、使ってる武器がかなり強そうだから気を付けて」
「分かりました。情報ありがとうございます!」
パッと見ただけの感想だけど、これが手助けになれば良いんだけどね……
「それでは、行ってきます!」
「はい、いってらっしゃい。頑張ってね!」
戦場に行くクオンを見送る。さて、どういう風に戦うのかな?
「皆様、よろしくお願いいたします」
『やるしかねぇか……』
『本当に興味深い相手です……』
『我々の相手にとって不足無し。いざ尋常に勝負』
これ、またクオン対それ以外になりそうだなぁ……
「……」
『『『……』』』
最初は膠着状態からのスタートになるか。まぁ、いきなり攻撃を仕掛ける事の方が珍しいか。やっぱりこっちからアクションしやすい様にきっかけを作る煽りってやっぱり結構大事なのかな?
「皆様動かないのでしたら、真ん中に陣取らせて頂きますね?」
普通はこのクオンの戦場の中央を陣取るなんて事は、攻撃を受ける可能性が一番高くなるだろう。でも、誰かがクオンに攻撃を仕掛けるとなれば、残った2体に不意を突かれる可能性が無いとは言えない。もしくはクオンだからなのか。はたまた僕が作ったからなのか理由は分からないが、クオンの中央取りも牽制になってるな。これまた面白い光景だ。でっかいゴーレム3体が真ん中に立つ小さいクオンに対して一歩を踏み出せずに圧されている様にも見える
「うーん……流石に誰も動かないとなると『えんため』の精神に反しますね。分かりました。これでどうでしょう!【ティルウィンド】」
クオンが何か魔法を使ってその場で回転すると、土煙が舞って周囲が見えにくくなる。クオンの後ろから風でも起きてるのか?
「わー、何処から来るんでしょう。楽しみですね」
すっごい煽ってる。追い風的な物なら自身のスピードアップ的効果なのか、それともまた別の効果なのか……クオンはマイ君から学んだり、モルガ師匠からも実戦的な戦闘を通して魔法を見て覚えたりしてたから、そこからクオン自身が自分で魔法を作ったりもしてるし、効果を全部認識するのも難しくなってきてる。だからあの【ティルウィンド】がどういった効果なのか、まだ分からない
「おっ、構えた」
イアイ丸がその4本腕を畳み、刀に手を伸ばす。あそこから抜刀……まさに居合の一撃を出すんだろうけど……
「全員動くか?」
両手を構えるビルド・ラックに動き出すトラス・トミー。これは盤面が動くぞ
「折角ですからクオンも力を使いましょう【変異武装】45%」
おっと、これはかなり【変異武装】を使ってるな?どうなるんだろう?
「この位は使用しないと今回は勝てないかもしれませんからね」
おぉ!クオンがパワードスーツを着てる!【変異武装】でああいう変化も出来るのか!
『死地天・八刀』
『叩き潰す』
『アシッドガス』
クオンが巻き起こした土煙に対して各々攻撃を繰り出す。イアイ丸は4本腕に握られていた刀と別に、ゴーレムの鎧の隙間から刀の切っ先が4つ生えて来た。アレで刺突と切断合わせて八刀って事か。トラス・トミーはもう単純にその圧倒的装甲の重さを活かした質量兵器的腕の振り下ろし。ビルド・ラックはさっき怪しいと思って居た穴から黄色いガスを散布している。なんか雲みたいに纏まってくれてるのはゲーム的な物なのかな?
「なるほど……胴体からの奇襲的攻撃。重量を活かした圧倒的一撃。触れると致命傷になるだろう範囲攻撃……学べる所は学びましょう」
これがクオンの強みの一つ。相手の事を学び、自分で再現出来そうなら再現してしまうラーニング能力。多分だけど【マスターレプリケート】を応用してるのかな?その辺の能力の応用が出来るのが他との違いと言っても良い気がする
「ですが、どれも今のクオンにはあまり必要ではありませんね」
そう言ってトラス・トミーの頭の上に居るクオン。ホントあっという間に移動したなぁ?
『『『なっ!?』』』
「今のクオンはスピードを活かすスタイルなので、攻撃によって動きが止まってしまう胴体からの攻撃も、この体格差を打ち消す重量武器も、攻撃速度が遅いガス攻撃も必要ではありません。素早く動き、相手を翻弄し、死角からの一撃で機能不全に追い込む。これで構いません」
確かに今の速度で移動出来るのなら現状既にある武装で事足りる。無理に今学んだ物使おうとする必要は無い
「そして、クオンは次に上がる事を考えた場合。一緒に上がるべき存在を選ぶ必要も出てきます」
2チーム上がるのであれば、自分達以外にもう1チーム上がってくるのは確定事項。となると、可能な限り自分達のチームが倒しやすかったり、一時の共闘を考えるなら相性が良い相手を選ぶ必要が出てくるんだよなぁ……




