親に似る
『凄いわ!こんな事が出来るなんて……』
「クオンを造ってくれたマスターのお陰です。だからマスターの為にも負けるつもりはありません」
ええ子やぁ……今回のイベントが終わったらクオンに色々ご褒美作ってあげないとなぁ
『一旦柱とトラップを破壊するぞ!魔力残量には気を付けろ!』
これ、クオンが上手く利用すれば面白い事になるんじゃないか?
「こちらから打って出る必要はありません。相手がこの妨害を避けて何とかやって来た所に攻撃を加えれば良いんです」
縦横無尽に動けるケンタウロス型のゴーレムの機動力を奪う。直接戦った訳じゃ無いけど、そういった手合いは速度を上げて攻撃の破壊力を上げて防御をぶち抜くみたいな事をしていたのかもしれない。だからこそこういった速さを殺す手段はアリだな。それに……
「なるほど……これは楽しいかもしれません」
「あっ……」
これは絶対クオンは第二の策を用意してるな。分かる~まだ終わりじゃない時に突っ込んで来てもらえるのって楽しいよねぇ
『柱を壊せばトラップも誤反応して消せる!破壊したら全員で攻めるぞ!相手の言う事を聞く必要は無い!』
そりゃあそうだ。クオンが勝手にリベンジしたい人を集めてリベンジする機会を作っただけでそれに従う必要は無い。だが、クオンだってキチンと相手が筋を通すのであれば、多少不利なフィールドを作る位で止めたかもしれない。だが、その提案を断ったのはそっちだ
「そうですか。残念です」
おっ、どうするのかな?
「【アイスピラー】【ピットフォール】」
追加のアイスピラーを数本立てたクオン。正直アレではほぼ何も止められないと思うけど、それはフェイク。柱が立ち上がればそっちに目が奪われるのも分かる。その隙に地面に対して何かしてたみたいだけど……
『よし!片付けたぞ!行けー!』
あのケンタウロス型のゴーレムはちゃんとリベンジしたいと意思表明をしていた2体に対して向かっている。あっちはある意味騎士道精神的なのがあるのかもしれない
「今が攻め時です。前へどうぞ。あ、でもあそこより前には行かないでください」
そう言ってリベンジしたい2体を前に出す。遠距離攻撃とかあるかもしれないけど、今のピラー破壊で結構撃たせてたから今はケンタウロス型のゴーレムに集中出来るかな
『……!?』
そうしてケンタウロス型のゴーレムと2体のゴーレムが激突……する前に、ケンタウロス型のゴーレムが更なる加速をしようとした時に地面に穴が空いて、バランスを崩した。アレは落とし穴だな?ピラーの破片で走りにくくして、破片が無くなったその先で相手に向かって加速する段階の所に落とし穴を置く。これは効くぜぇ?
「勢いを付けた状態でバランスを崩してしまえば……」
『…………』
「威力を高める為に加速した分がそのまま自分に返ってくるのです」
こっちのリベンジしたいゴーレム達は槍だったり、弓装備というちょっと距離が空いてる方が良い武装をしているけど、クオンがベストな位置で落とし穴を空けて相手を転ばせたので、転んだ勢いそのままに槍を構えていたゴーレムの槍で上半身が貫かれ、巨大な弓から放たれた矢は馬の胴体を貫いていた。相手も槍は持っていたけど、こけた拍子に地面に突き刺さって持っていた腕が破損していた。相当の勢いだったんだなぁ……
『な、マジか……』
『おいおい!マジかよ!』
チェンジコロモンの人形ゴーレムも凄いビックリしてる。いやぁ、良いリアクションしてくれるなぁ?
「で、次はそちらのアイアンプライドさんの方ですね」
今のクオンは多分消費がそこまで重くない魔法なら撃ち放題の状態と言っても良いかな?これでクオンに何とかダメージを与えたら多少自己修復の方にリソースを持って行かれるから魔法は控えめになるんだろうけど、それでも光合成による魔力回復を覚えてしまったクオンを追い詰めるのがそもそも難しいぞ?
『お手伝いするわ!』
そして、ここでまさかの畑ゴーレムさんからの協力を申し出てくれた。となると、畑ゴーレムさんとの連携にもなるが……
「でしたら、ここから単純に足止めは可能でしょうか」
『足止めなら任せて!』
まぁ、地形操作とまでは行かなくても、そういった事が出来るならやらせるのはアリじゃないかな?
「ではお願いします」
任せるべき所は任せて自分がやるべき方をしっかり向いている。1人で全て同時に、完璧には出来ない。だったら他の人に任せられる所は任せる。これが出来る判断力を既にクオンが持ち合わせているのが凄い強みだろう。やっぱり瞬間的判断を自分で下して実行出来るっていうのは戦場においてまず必要な能力な気がする。どれだけ強力な武装も、どれだけ頑強な体を持っていたとしても、適切に運用出来る頭が無ければ宝の持ち腐れだ
「ではあのリーダーを倒す為にもまた色々とサポート致しましょう」
「「「……」」」
ケンタウロス型のゴーレムをしっかり倒す為にサポートしたし、次もしっかりサポートすると宣言すれば、される側だってやる気は出る。良いねぇ~素晴らしい!




