最終調整の為に
「さて、クオンの武器を調節するか。軽く手合わせして、調節したい所があったら言ってくれるかな?」
「分かりま……マスターと勝負するのですか?」
「そうだよ。僕も今は深淵が使えなくて弱くはなってるけど……クオンの相手として不足は無いつもりだよ。クオンの武装を僕相手に試してここが足りないとか思った部分があれば、言ってくれると調整出来るかも」
まぁ、調整と言っても、何処かを伸ばすと何処かを引っ込めなきゃいけないが……
「……分かりました。やりましょうマスター」
「よし!それじゃあ勝負だクオン!」
決闘システムを利用してクオンと勝負をする。これは普通に負けられない戦いだ
「まずは、リミッター1段目。如意・暴のチェックから行こう」
「はい。では形態変化等を織り交ぜての戦闘を行います」
さて、如意・暴の攻撃方法は単純にリーチの長い打撃攻撃と魔法による攻撃と言った所か
「【ファイアニードル】」
最初は魔法使いが使うような杖でのスタイルか。距離が離れてるし、当然と言えば当然だろう
「なるほど、良い手だ。じゃあ詰めていくよ!」
魔法と言っても射撃系。杖から放たれる物であれば、銃とそこまで変わらない。この手段しか持っていないのであれば、武器が旋閃・崩壊に変わっても弾自体は避けられそうだな
「【ミニボム】」
「うぉっと!?」
炎の針を避けながら前に進んでいたら、急に目の前で小規模な爆発が発生した。なるほど……ちゃんと座標指定系も持ってるんだな……にしても、【ミニボム】か。僕に遠慮……って訳ではなさそうだし、これは発動の前兆を悟られない様に発動時間が短い物とか、自分にまで影響が出ない範囲での攻撃だったか……やるねぇ?
「今の攻撃。良いねぇ!」
「それを避けられるマスターも凄いです」
こればっかりは【察気術】でオーラの集結を感知したから咄嗟に避けたとしか言えない。大事なのはクオンがちゃんと戦い方を組み上げて僕に挑んでいる事だ
「じゃあ、もう一回行くぞー!」
もう一度【ミニボム】での爆破が来るかもしれないが、ちゃんと相手の苦手な所を突こうとするのは良い事だ
「今度はどうかなぁ!」
ジグザグに寄りつつ、【ミニボム】が来ても問題無く対処は出来るだろう。相手に手の内を知られてるが、クオンはどうする?
「【ミニボム】【アン……」
【ミニボム】の爆破でクオンが見えなくなり、その後何かしようとしていたのが確認出来なかった。だが、さっき見たからボムの範囲は1歩下がれば問題な……いや!
「これはビックリ……危うく首を持って行かれる所だった」
「これでも、マスターには届きませんか……」
今の感じ……クオンの防御ユニットであるアンチノミーユニットによる斥力防御だろう。
それによって爆破に指向性を持たせて、回避距離を伸ばす必要があったし、それに斥力での防御をしながら地面にも斥力で反発して物凄い突進攻撃を爆風の中を割りながらやって来た。手に持つ武器の形は杖からは太刀にも似た姿になってるし、白刃取りで防げなかったらマジで危なかった
「ならここからは近接戦闘です」
「望む所!」
形状を棒に戻して、攻撃再開。棒を振り回し、右から左から攻撃が来るが、幾ら僕の動きを【マスターレプリケート】で覚えたと言っても、まだまだだ
「攻撃は良いけど、防御がまだまだ!」
さっきから何回も斥力で手が弾かれる。つまり、消耗させる事に成功はしている
「くっ……」
「可能ならそれはもっと瞬間で展開しないと息切れするだろうから意外と防御が難しいかもね。おぉ!それも良いね!【ディジャブ】」
「ぐっ……ダメでした」
最後に棒を三節棍にして、僕に何とか打撃を加えようとしていたみたいだけど、下がりながら攻撃を受けていたので、相手の背後に回り込んで狼狽えていた瞬間の三節棍の端を掴んで、クオンを拘束した。ふぅ……何となった
「どう?何か改善案みたいなのはあった?」
「はい!やはりマスターは凄いです!」
「あぁ、それはありがたいけど、まぁクオンにとっての改善案が見つかってるならそれで良いか。次の段階解除するから旋閃・崩壊を頼むよ」
「分かりましたマスター!」
リミッターをもう一段階解除すると、如意・暴を縮めて仕舞い、今度は怪しく光る旋閃・崩壊が現れる。さぁ、今度はトンファーが相手だ
「今度はどんな攻撃かな?」
「では、行きます!」
そう言って、いきなり旋閃・崩壊を合体させるクオン。あの合体は確かバズーカの……
「さぁ、どうしますか」
「なるほどね!これは大変だぁ!」
真上に向かって打ち上げて、即座に合体を解除し、僕に対して接近戦を仕掛けてくるクオン。この状況、確実にさっき打ち上げた弾が降ってくる。でもクオンはそのまま戦闘を開始した為、僕はクオンによってこの場にくぎ付けにされる。クオンには斥力防御があるから爆風の中でも問題無いという事か。それで僕だけに爆風を浴びせてどうにかしようと……
「この攻撃ならば、今のマスターに攻撃が当てられると思われます!」
深淵も使えない今、これを防ぐ手段は……やってくれるじゃないの……




