ドラニウムストーン
「あっちの方の必要素材はあと1日は経たないと集まり切らないだろうし、ここは別の武器を作っていこう。基本はミスリルかピュアミスリル系を用意しておいて、魔力が無くても戦える武装も必要だよなぁ……」
素材として鉄製の武器はもうキツイ。最低限相手がミスリル製という事を考えたら、こっちもミスリル製の武装は用意しておかなければならない……いや待てよ?今のフィフスターがあればかなり難しい所の素材とかも取りに行けるのでは?これはちょっと明日の学校に響くかもしれないけど、徹夜も覚悟で鉱石採取して武器を作っても良いのでは?
「えっと、クオンは城でマイ君と一緒に色々やって訓練とかするのが良いだろうから、一旦戻ったらマイ君にお願いしよう」
武器に関しては一旦クオンには伏せておいて、完成したらサプライズでプレゼントしよう。それから調整とかして、最低限1日は武器の扱いを確かめる時間は取りたいし、かなりキツキツスケジュールだ……
「それに、ボルカさんにも報告しないとなぁ」
魔吸虫討伐が終わった事を報告してドラニウムストーンを貰って武器に使ってみるかな?
「たでまー」
「おけりー」
空島に戻ってきたらニコラ師匠が居た。一応ボルカさんが何処に居るか聞いてみよう
「ニコラ師匠、ボルカさん見てない?ボルカさんに頼まれた事終わったから報告しようと思ってたんだけど……」
「ボルカ……あぁ、ドラゴンのか。なら今は温泉だろうな。なんだ?ドラゴンに頼まれ事って報酬に何か貰うのか?」
錬金術師的にはドラゴンからの報酬とか気になるのかな?
「えっと、ドラニウムストーン?とか言うアイテムでどうかって言われましたね」
「ドラッ!?それマジ!?」
おっ?これはもしかして錬金術師的には見逃せないアイテムだったりするのかな?
「本当に貰えるかは分からないですけど、ボルカさんはそう言ってましたね」
「うむむ……これはちょっと見逃せないな。ハチ、その受け取りの時に一緒に行っても良いか?」
「まぁ良いですけど……」
単純にドラニウムストーンが新しい武器の素材になれば良いけど、ニコラ師匠がインターセプトしそうでもある……どうなるかな?
「ふぅ、良い湯だった……」
「あ、ボルカさん終わりましたよー」
「うおっ、ハチ!?え、もう終わったのか?」
「はい。なんか奥に居た女王みたいな奴も倒したので、多分大丈夫かと」
「ほー!これはありがたい!感謝するぞハチ!」
そういえば今回のこれってクエストでは無かった様な気がしたけど、普通にこういう頼み事とかで良い物とか貰えるかもしれないのは嬉しいなぁ
「という訳で、報酬のドラニウムストーンだったな。少し待ってろ……うぉ、おぇっ、おろろろろ……ほら!これがドラニウムストーンだ」
「「……」」
僕とニコラ師匠共々、なんかレアらしいドラニウムストーンを目の前で吐き出されて何も言えない。マジで吐いて出したぞ?
「聞いてない聞いてない!こんなの聞いてない!」
「いや、なんかドラニウムストーンについて知ってるみたいだったし、こうなるの知ってたんじゃないの!?」
「ん?どうした?ほら、こんなデカいドラニウムストーンは中々出ないぞ?」
ボルカさんから顔を逸らしてニコラ師匠と2人でコソコソ話していたが、ニコラ師匠は小声で「無理無理無理……」と言ってるだけで話が進まない
「あ、ありがとうございます……一旦温泉で洗ってきますか」
「あぁ、それでか!すまないすまない。配慮が足りなかったな。洗ってくるから少し待っていてくれ」
どうやらボルカさんも僕達が若干引いていた理由に気が付いたみたいで、温泉で洗ってきてくれた。シャワーか掛け湯が風呂より近いハズだからそっちで洗ってくれてるとは思うが、ドラニウムストーンは何というか、真っ赤な琥珀?が近いかな……何か鼓動してても不思議ではない感じで、生命力を感じる石だ。多分ドラゴンの胆石だろうけど、これは凄い物だという事は分かる
『ドラニウムストーン ドラゴンの体内で生成された結石。そうそうお目にかかれない』
「ハチ。それ、くれないかしら?師匠命令で!」
「勿論あげませんが、理由次第では考えても良いですよ?」
ニコラ師匠が寄越せと言って貰える訳が無いのは分かってるとは思うけど、一応聞いてみよう
「それを素材にしてインゴットと混ぜれば、凄い良い金属が作れるの!」
「ほう?ニコラ師匠が凄い良い金属と言うからには本当に凄いんでしょうね。僕としてはその金属で武器とか作ってみたいですけど……」
「だとしたらその金属を作るのは私にやらせてくれない?物は欲しいけど、それ以上にドラニウムストーンを使用した錬金術って経験が錬金術師の中でもほとんど無いの。だから経験として一度は触って見たくて……」
「なるほど……」
【フュージョナー】の分解を使えば、最悪失敗しても素材に戻せる……よな?ならチャレンジさせても良いんじゃないかな?
「分かりました。ニコラ師匠を信じて、新しい金属作りをお任せしましょう。僕はその出来た金属で新しい武器を作りたいので、それを譲ってもらえれば良いので」
「分かったわ。私も研究の為に情報が欲しいだけだから。一度触って、作ってしまえばこっちの物。いつか錬金術でドラニウムストーンを再現してみせる!」
なるほど。そういう事もあるのか。確かに錬金術を使って伝説の物質の再現とか出来るかもしれないってロマンもあって熱いな!




