魔吸虫
「うひゃぁ、これちょっと楽しいかも!」
抵抗がほとんどない。ショートケーキをフォークで切る位か?ほぼ抵抗無く掘り進め、洞窟の入口を掘り出せた。正直もうちょっと掘りたかったな……
「この入口が露出したままだと、別の人が発見したらすぐに入ってきちゃうだろうから塞いでおきたい所だけど……流石に火山の洞窟で入口封鎖はちょっと怖いな。でもこれなら中から熱風が来るし、立ち入る事を躊躇うかな?」
火山で経験値稼ぎとか、素材収集する人が耐熱対策をしないとは言い切れないけど、火山の外側に比べたら内側の方がキツイだろうし、多少は入ろうとする人を弾けるんじゃないかな?
「まぁ、来たら来たで何とか誤魔化すか。よーし、それじゃあ魔吸虫討伐作戦開始ー!」
姿を元に戻して、【アダプタン】を使用して僕とクオンをこの熱さに対応させる。とりあえず奥に進んで行こう
「クオン。一応速度と機密を重視で行くから、ある程度奥に進むまでは倒しても解体はせずにナイフを刺していくから、クオンの傍で倒したらこっちに放り投げてくれれば良いよ」
「了解しました。近接攻撃を主体とします」
何処まで行くべきか分からないけど、開けるまでは、普通に殲滅していこう。敵の強さもあんまり分かってないけど、2、3回も戦闘すればある程度掴めるだろう
「そこまで強くは無いけど、進むにつれて数が増えて来たな……」
「抵抗らしい抵抗もほとんどありませんが……」
「確かに。でも魔吸虫なんて名前だし、体に取り付かれたら魔力を持って行かれる可能性もあるから更に警戒を強めて行こう」
「了解です」
基本的にてんとう虫の様なフォルムの紫色の甲殻を持つ魔吸虫はその辺に光る魔鉱石に張り付いている。魔力を持つ物に寄せられるのか、魔力を発してるから寄って来ているのか分からないけど、反撃らしい反撃も無く倒せて素材も入手出来てるけど……
『魔吸虫の殻 魔吸虫の殻。意外と脆い』
『魔吸虫の口吻片 魔吸虫の口の欠片。これを用いて魔力を吸っているみたいだ』
こんなのばかり出てくるし、やっぱり自分で解体しないとダメだよなぁ……
『魔吸虫の送魔針 魔吸虫の針。これによって女王魔吸虫に魔力を送っている』
「おぉ?」
「どうかしましたか?」
「多分だけど、この奥に女王が居るかもしれない。女王に魔力を送ってるらしいから余力は残しておいてね」
「マスターのお陰で消耗も少ないので、問題ありません」
「よーし、それじゃあドンドン行くぞー!」
「おー……であってますか?」
「合ってるよ。そういうノリ良いよぉ」
クオンもそういうノリが出来る様になってるのはなんか成長してる感あって良いなぁ……
「うおっ、なんか凄い圧を感じるなぁ?」
「魔力の集中……女王でしょうか」
「かもね。バレてるかもしれないけど、一応隠れて行けるかどうか試してみよう。いざという時は皆も手を貸してくれると助かるよ」
「分かった。用意はしておく」
モノさんも準備はしておいてくれるそうなので、多分倒せないって事は無いだろう。さぁ、どんな奴が出てくるかな?
「うわぁ……」
何と言うか……滅茶苦茶太ってる?さっきまで見ていたてんとう虫みたいな魔吸虫がデカくなり、仰向けになって寝ているというか、ひっくり返って起き上がれない様にも見える。あぁ、新しい魔吸虫もポコポコ生まれてるし、動かなくても良いのか。となると、アイツを倒せば、ここの魔吸虫を殲滅して、ボルカさんの火山を守る事が出来る
「ここまで来たらもう見られるとか気にしないで戦って良い。まずはあのデカいのを倒すよ!」
「はい。クオンが主体で戦闘してもよろしいですか?」
「勿論!いざという時はカバーするから好きに戦ってみて」
「了解しました。武器を用いた近接戦での戦闘を開始します」
ほぼ反撃される事は無いだろうけど、今は近接武器の使用感の確認だな。どの形が振りやすい武器なのかを今の内に発見出来れば、新しく武器を使う時にも役に立つ気がする
「まずはその足を破壊します」
魔吸虫の女王は見上げる位デカいので、槍を生成して、まずは足を破壊するクオン。追加の虫が出てくる所では無く、本体の足を破壊する……確かに僕も新たに生まれてくる魔吸虫が強かったとしても、まず本体が逃げ出さない様にその足を破壊する。良いね。思考も僕に似てるのかも
「良いよ!ただ奴の頭上に魔力が集まってるみたいだし、魔法に気を付けて」
オーラを見てると、どうにも攻撃しそうな雰囲気だ。火山のそれも洞窟の中で炎魔法とか使うのは無いと思うが、いざという時は【反転陣】とかで無効化する構えで居た方が良いよな
「はい、こちらも確認しています。どうやら土魔法で壁を作って防御しようとしています」
「じゃあ、僕の出番だね。クオンは銃で攻撃準備」
土魔法で壁を作って僕達が来るのを阻もうとする?残念ながら土壁だろうが、岩壁だろうか、今の僕にはそんな物関係無いんだよねぇ!
「そう、フィフスターならね!」
壁になっていた岩壁はフィフスターによって抉り取られ、空いた穴をクオンが射撃で攻撃を通していた




