誕生
「いやはや、凄い事になったなぁ……」
あの3人だけかと思ったら、そんな事は無く、城の玉座の間に沢山居た
「ハチが新しい生物を作ると聞いて来たぞ!」
「ハチ君ハチ君。こんな事黙ってるなんて良くないよぉ?ハチくぅん?」
「新たな生物とは興味深くてね。気が進まないかもしれないけど、見せてもらえるかな?」
「「べ、勉強させてもらいます!」」
「倫理的にどうかと思いますが、ハチさんなら今更かなって……それはそれとしてとても興味深いのでレポートとして纏めさせてください!」
「ハチ!なんか凄い事するって聞いた!」
「面白れぇ事するって聞いたぜ!夜露死苦ぅ!」
「待ちきれないから先に先に来て待っていたぞ!」
これ、多分ヘックスさん経由でモルガ師匠に伝わって、そこから広がったな。で、そこからもっと凄い事に……城に凄い人数集まってる……姫様も居るけど、服にちっちゃい蜘蛛やら蛇やらドクロ、鳥、宝箱……確実に村の皆の顔っぽいバッヂを付けている。これはもしかして、村の皆がここに来れないけど、あれで見たり聞いたりが出来るのかな?
「うーん……皆があの場に入るのは流石に難しいかな?となると、この場でやった方が良いか。ヘックスさん、この場でも問題なさそうですかね?」
「まぁ、何とかなるだろう。やるか?」
ある意味これは顔合わせみたいなのもすぐに出来そうだし、この場でやるのもアリだな
「じゃあ、やりたい……けど、あと少しだけ待って貰えますかね?」
「む?まぁ、良いが……」
何となくだけど、予感と言うべきか直感と言うべきか、感じる。来る!
「なんだか、今日は、いっぱい」
「あぁん?この集まりは何だってんだぁ?」
「あらあらぁ、私達が居ない間に何かしようとしてたのかしら?」
「ん-、眠たい……」
「あっ!ハチさん!いやぁ大変でしたよー……」
「本当に大変だった……」
「皆、お帰り」
凶具の4人とヤミィさんとレイさんが帰って来た。やっぱり僕が何か感じていたのは皆の帰還だったか
「これから、新しい仲間を作ろうとしてる所なんだ。皆も一応見ててくれるかな?何をしてきたかの報告は後で聞くから」
「うん、分かった」
皆が何をしてきたかも気になるけど、これでいよいよ作る事が出来る
「さて、それじゃあ始めますかぁ!」
「よし、じゃあやるか!」
「これ、大丈夫かなぁ……」
当初の予定ではホムンクルス、Nマター、マキナコア、壊れたパワードスーツ、ニクリウスさんの肉、マイ君の血、僕の血位で作ろうと思って居たのに、周りの皆が爪やら羽根やら命に関わらない程度に何かしら「これを使え」と提供してくれる。正直全ては把握してないけど、これは中々凄い事になるんじゃないだろうか
「まぁ、これだけ皆に協力してもらえたんだし、凄い奴が出来るんじゃないかな?……よし、それじゃあこれで最後だ」
深淵を一塊と、ミスリルナイフで手を切って赤ポリゴンの血を出す。この状態で最後の総仕上げだ
「どんな奴でも大事な家族だ【フュージョナー】」
「「「「「うわっ!?」」」」」
大量の素材が1つに集まり、辺りがとてつもない光に包まれた
「ど、どうなった!」
「成功したのか?」
「どうなりました!?」
光が収まり、目が開けられる様になったので、ホムンクルスが居たハズの所を見ると、そこには……
「……」
「お、おはよう。気分はどうかな?体はちゃんと動かせそう?」
あれだけ色々な物を合成させたはずなのに、体積的には僕と同じ位……髪は自然に伸びたままの様な長髪だが、白い髪に黒いメッシュと、僕の髪色の逆の様な配色だ。にしても美形だなぁ?性別とかは無いと思うんだけど、イケメンとも美女とも言えちゃうタイプだ
「あ…たは?」
「僕はハチ。君を造った……で良いのかな?とにかく、生まれてくれてありがとう!」
とりあえず急に色んな存在が目に入って情報が処理で来てない可能性もあるし、心音を聞かせると落ち着くかなと優しく頭を抱く
「ありがとう……感謝の言葉」
「そうそう!これから一緒に頑張ろう!クオン」
「クオン?」
「あ、君の名前のつもりだったんだけど……ダメかな?他に何かこういう方が良いってあったらそっちにするよ」
まぁ、連想ゲームみたいな感じで8を横に倒して∞。で、無限だと名前っぽくないから、永遠と同じ意味に久遠としてみたんだけど……ダメだったかな?結構頑張ったんだけどな……無限の可能性がありそうな名前だと思ったんだけど
「個体名をクオンに登録。マスターに名称ハチを登録」
あ、なんかロボっぽい一面出てきた。最初は声があんまり出てなかったけど、しっかり声が出る様になってきた
「マスター。これからよろしくお願いします」
「うん、よろしく!」
マスター呼びかぁ……なんだろう。意外に悪くないかもしれない。普通に名前で呼んでくれても良いんだけど……今はこのままで良いか
「でも、何も着てないとかじゃなくて良かった。皆から貰った素材の何かがこの布になったのかな?」
ポンチョ的な頭から被る系の服?を最初から着ていたから大騒ぎにならなくて良かった。まぁ、クオンの性能調査は一旦後回しで良い。今日はクオンのお誕生日だし、人も一杯居るからこのままパーティーしちゃうか!




