フォーシスター
「……どうですか?」
「結構似合ってますね?」
「あれ?師匠って女の子でした?」
「使われないよりも…ハチさんが使ってくれた方が…その服も……良いと思います」
教会のコピーシスターさん、幽霊になったメリアさん、悪魔のモニク、そして男の僕……まともなシスターが1人も居ない……
「実際着心地は良いからこれが女性用だとしても気にならないけど……モニク?後でデコピンね?」
「ひえっ……」
シスター服に変えたから全身黒い恰好だ。案外イドとエゴも浮かないというか色合いが似てるし、呪枷も仮面を首輪形態にしておけば揃っている感じだから似合っていると思う。というか基本修道服の下だから見えないか
「メリアさん、ありがとう。これは僕にとってかなり使える物だから有難く使わせてもらうね?」
修道服がスカートじゃないだけで凄く着やすく感じる。やっぱりスカートは男には難易度が高い……もしかしてプレイヤーの中にも女装してる人とか居るのかな?
「はい…受け取ってくれると……私も…嬉しいです」
「あっ、そうだ」
僕は聖女の戦闘用修道服を受け取り、次にやる事を思い出す
「シスターさん……いや、もう3人も居たらシスターさんだけじゃ分からないな?メリアさんのコピーだし……ミリアさんで良いかな?」
「え?もしかして私ですか?」
コピーメリアさんじゃ味気ないし、シスターさんだと誰に対してなのか分からないから勝手に呼び方を決めさせてもらう
「うん、名前も無いと呼び難いからミリア……気に入らなかったなら別の名前を考えるけど……」
「いえっ!ミリアで良いです!ミリアが良いです!」
お、おう……そこまで食い付いて来るとは思わなかった
「じゃあシスターミリア?外壁の修理に行ってきます」
「はい!お願いします!」
ミリアさんに挨拶をして外に出る。よし!修理頑張るかー!
「「えっ?」」「「む?」」
教会の外に出た所で4人が短い声を漏らす
「あっ……」
そういえば今の僕の恰好修道服だった……
「さて、壁の修理しましょう」
何も言わずにオーブ・ローブに着替え、壁の修理をしようと木材とハンマーと釘を出す
「流石に今のスルーは無理があるぞ?」
ハスバさんが僕の肩を掴んで動きを止める。ちぃ……
「今のは?流石に気になるぞ?」
やっぱり誤魔化すのは無理だよなぁ……
「あー……多分隠しクエストのクリア報酬的な?」
そうとしか言えない。細かく聞かれてもちゃんと答えられる気がしない
「とりあえずもう一度見せてくれないか?そして出来ればスクショも取らせてくれ」
なんかロザリーさんが詰め寄ってくる。もう誤魔化せないし、もう一度修道服を着る
「これで、良いでしょうか?」
「あぁ……なるほど、これは彼女達が着ていた修道服と同じ物では無いみたいだ。安心したよ……君が犯罪を犯したのかと……」
凄い勘違いのされ方をしている。これはしっかりと弁明した方が良いか
「聖女さんの霊を教会まで連れて来たら実は100年この森で彷徨っていたみたいで連れて来てもらったお礼で昔作ってもらったは良いけど使わなかったこの服をお礼としてもらったって感じです」
纏めたらこんな感じだろう
「見た感じ女性用みたいですけど……ハチ君が着るという事はそういう趣味が?」
「違う違う、性能が凄いんだ。それにパッと見スカートだけどちゃんとズボンだし……」
「なるほど、ハチ君が性能が凄いと言うからには凄まじいんだろう。それを公開するか秘匿するかはハチ君の意思だが……」
どんな装備かバラすのは僕が持っている中だと呪いの装備くらいならデメリットがデカいからバラしても問題は無いと思うけど、ユニーク系はちょっとバラすのはマズいというか面倒な事になりそうだ
「この装備の詳細についてはちょっと非公開って事で……」
「まぁ、自分の戦う手札をあえてバラす必要は無いしな?フレンドとは言っても隠したい事はある物だ」
ダイコーンさんが僕の前に立ち、他の皆からの追及を遮断する
「まぁそう言う事なら仕方が無いな……」
「装備はデリケートな話でしたね……」
「下手に情報が洩れると困るとかなんだろう?これ以上は追及しないさ」
何だかんだ分かってくれる聞き分けの良い皆。良い人達とフレンドになったなぁ……
「とりあえず僕はこれから教会の外壁の修復をやるんで、皆は他の教会に手紙を届けた方が良いんじゃないでしょうか?」
今、ここに居る5人だけが第二の職に就いている状況だ。こんな状況を長引かせたらそれこそ第二の職に就けるという情報があるのに実際には就けないなんて事になったら皆に恨みの矛先が向く可能性がある。だから皆にはいち早く手紙を他の教会に持って行って第二の職に条件を満たした人が誰でもすぐに就ける様にして欲しい。そうすれば僕達は先駆者とか、解放してくれた人として他の人に認識される。ヘイトが溜まらない訳だ
「一人で大丈夫か?何ならちくわとか貸すぞ?」
「あぁ、大丈夫です。高い所とか簡単に行けるんで」
そう言って壁を歩くと皆目が点になったのは言うまでも無い