0からの修復
「え、えっと……そうですね。でしたら、これを……フンッ!修理してみましょうか。これ自体は練習用の物なので……」
目の前で剣を1本へし折り僕に渡して来た。アグラウドの鍛冶屋さん。いや、練習用とは言ったけど、そんな素手で剣って折れる物なのか?
「これは既に何度か耐久値が0になるまで使って、魔力構成の組み直しも何度かしてますから大分ボロボロの剣なので、くっ付くだけで充分な代物です」
あぁ、それなら確かに素手で折れるかもしれないな。何度も折っていたのなら、魔力構成とやらも大分すり減ってるだろうし
「分かりました。で、どうすれば修理出来るんでしょうか?単純に魔力や体力を消耗するだけでどうにかなるって訳じゃ無いんですよね?」
「はい。このままでは折れた剣は根本と剣先がそれぞれ別の物になっているので、それを繋げる必要があります。途切れた道同士をくっつけて、魔力の巡りを回復させましょう」
切れちゃった血管を繋ぐみたいなレベルで難しい事言われてない?確かにこれはかなり難しいだろうからそんな状態になっちゃったらまず捨てるという判断をするのも分かる。人の体とかで考えると、腕が取れてしまった時にもう一度腕を生やすか、腕を縫合するかみたいな事か?いや、耐久値が0になっても復活させる事が出来るんだからこの判断もちょっと間違いか
「えっと、その繋げるというのはどうしたら良いですかね?」
「繕廻玉を装着した作業用グローブの指で輪を作って中を見ると、魔力構成を見る事が出来ます。そうしたら、もう片方の手で魔力構成を触る事が出来るので、それで魔力を注いで繋ぎ合わせてください。キチンと魔力構成を繋ぎ合わせる事が出来れば、その後に【再生】する事で完全破損した物も復活させる事が出来ます。すみません。少しトイレに……」
となると、魔力構成修復に魔力を使って、その後に【再生】する必要があるとなると、1つアイテムを修理するだけでも大分MPを使う事になるのかぁ……これはやらない人から見たらコスパが悪いとか何とか言われそうだな
「なるほど。分かりました!」
これ、要するに魔力構成を見る為に片手が塞がってしまって、魔力構成修理に使える手が1つしかないから修理自体も難しいのかな?片目だと遠近感が掴みにくいだろうし、これってもしかして……
「おぉ、やっぱり装備していれば深淵で代用する事も可能なのか。これなら両手が使える」
ゴーグルみたいな形状の深淵を目の前に出してみたら、輪郭の線だけ見える……3D設計のアレみたいだな。そして、その剣の輪郭の内側に色が付いた断ち切れた線が詰まっている。これを繋いでいけば良いんだな
「地道だけど、これで丁寧に線を繋いでいけば良いのか。色ごとに繋げば問題無いよな」
同じ色同士で繋ぐのは当たり前だが、端から順番に繋いでるからちゃんと切れた物も元通りに繋ぎ直せていると思う
「なるほど、これは結構急がないと魔力が持たないな」
今の僕には自動回復が無いから急いでやらないとMPが全部持って行かれてしまう。急いで丁寧に繋ぎ合わせろー!
「こんな感じかな……あ、戻って来た。修理終わりました。これでどうでしょう?」
輪転玉の効果もあったのか、繋ぐのは結構簡単だったし、色を合わせてちゃんと繋いだからこれで問題無いかな?
「外見は完璧に修理されていますね。さて、耐久度は……フンッ!」
修理出来た剣を返すと、剣の腹部分をハンマーで思いっきり叩く鍛冶屋さん
「これは……素晴らしい。完璧です。普通はこの一撃にすら耐えられない程度の耐久値回復なので、破壊した時の感覚で回復した耐久値の確認をするつもりでしたが……これほどとは」
あぁ、もしかしてこれ。繋ぎ合わせが良くなかったら耐久値の消耗も多くなって、あのハンマーの一撃で破損とかする可能性もあったのか?アミュレットが戻ってきたらこの作業もゆっくり出来そうだし、同じ回路を繋ぎ合わせる事も……
「あ、そうだった。これ、もう一回修理とか出来そうですかね?」
「まぁ、出来なくはないでしょうが……今度は魔力構成がよりバラバラになってしまうかと……」
流石に修理したばかりの物をもう一度破壊するとなると、ヤバいか。かといって別の物で試させて欲しいって言うのもなぁ……
「修理をもう少し試してみたい事があったんだよなぁ……」
今回は5色位の色の量だったけど、これで白黒の2色とかだった場合は……1本残らず2色の線を繋いだ場合。その色が混ざれば、同じ色で全て構成される事になるだろうし、そうなったらどうなるのかの確認もしたい
「そうですね……先程の様子を見るに、まだ余裕はありそうですね。それでしたら盾で試してみましょうか。これとか如何でしょう?」
剣で真っ二つにされたバックラーを出された。線の色は……白と黒の2色だ。これは丁度良いな!
「分かりました。一応、これって失敗しても大丈夫ですかね」
「ええ、練習する為に残しておいたので」
そう言う事なら遠慮なく試してみよう!




