ヒューギエアスフィア
「という訳で、僕は一旦戻ります!」
「あぁ、こちらも準備が出来次第一旦空島の方に戻ろう。そうだな。この件に関しては、島の心臓部でやる方が良いかもしれないな」
正直、暴走したりすると大変だけど、機密保持の為ならあの場所が一番良い気がする。よし、そうと決まれば、色々とやらないとな!
「おっ、ハチ。例の物が完成したぞ」
「ベストタイミングですねぇ。精霊王様」
空島に戻ると、小さくなって飛んでいた精霊王様が僕の肩に止まった
「で、何やら面白そうな事をしているみたいだが?」
「まぁ、そうですね。個人的にかなり楽しい事はしてると思います」
その為にも色々預けた物を回収したいんだよねぇ
「ほほぉ……当然それには1枚噛ませてもらえるのだろうな?」
「お、精霊王様も興味あります?」
「面白そうな事なら混ぜろ混ぜろ~!」
「うーん……やっぱり関与する存在が多い方がより面白いのかもしれない……精霊王様。どうします?話を聞いたら後に引き返せなくなっちゃいますけど、それでも聞きます?」
一応、やろうとしている事は新しい生命の誕生みたいな事だし、ここで踏み込んでくるかどうかはちゃんと聞いた方が良いだろう
「それはズルいだろー!勿論そんなので引く訳無いだろぉ?混ぜろ混ぜろ~!」
「なるほど。ならお話しなきゃいけないですね」
精霊王様もこの話に乗ってくれるとなれば、新しい素材も手に入るかな?
「じゃあ、一応人の目が届かない所で……」
「お、大事な話か」
そこで、今回のやろうとしている事を説明した
「新たな生命体を作る……また凄い事を」
「それで、どうせなら精霊王様にも1枚噛むのなら、何か素材になりそうな物とか無いですかね?」
「うーん、そうなると、生まれた物に加護を与えたりした方が良いか?」
「なるほど。そういうのもありますか……まぁ、何を用意するかはお任せしますから、その時までの秘密にしてくれれば良いですよ。期待して待ってますから。それよりもまずはこれでしょう?」
渡されたアイテムの確認もまだ完璧では無かったけど、ちゃんと要望通りに球体のアイテムになっている。何というか、緑色の球の中に薬研が有る感じだけど、これはどういうアイテムなんだろう?
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ヒューギエアスフィア
レアリティ ユニーク
耐久値 破壊不可
特殊能力 薬錬探究者(調薬や錬金を行う場合、必要な道具を出せる)精霊の手助け(この能力が付いているアイテムで生産したアイテムにはMP回復効果が追加される)
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「わぁ、これまた凄い事になってる……」
まさかの調薬だけじゃなくて、錬金関連にも手を出してくるとは……でもこれどうなんだろう?僕は錬金関連は特に道具は必要ない……あ、これヒュギエイアの盃的な物がモチーフになってるのか!えーっと、アスクレピオスが医学でヒュギエイアが薬学と錬金術の神様みたいな感じだっけ?だから錬金の方にも能力が発動するようになってるのか。で、精霊王様に頼んだ結果、追加で【精霊の手助け】なんて能力もついて凄い事になったのか
「どうだ。良い出来だろう?」
「想定以上ですねぇ……で、これ、嵌るかな?おっ、嵌った」
右手には既に輪転玉が有るから、左手の方にヒューギエアスフィアを落としたら、カチャッと音を立てて嵌った。これで多分僕が調薬とかしたい時に薬研とかが出て来てくれるって事だよな?凄いありがたいなぁ……
「いやぁ、本当に改良されたお陰で使い勝手とか凄い事になりそうだ」
待てよ?球体がハマるなら偽食の宝呪も一応球体だし、装着する事が出来るのか?一応試してみるか
「マジか。これも嵌るんだ……料理しない時は耳飾りと宝呪の同時使用が楽になると考えると逆に外すつもりの無いこの2つはエゴの方に装備した方が良いかも」
料理する時に外さないとまずくてダメージを受ける料理になっちゃうから手元で装着しているのが分かった方が良いだろうし、ここは装備箇所を変更しておこう。まぁ外しちゃっても良いんだけど、せっかくならね?
「それでは、渡す物は渡したからな?」
「あ、こちらをどうぞ。山吹色のお菓子です」
「む?ふっふっふ。お主も悪よのう?」
「いえいえ、精霊王様程では……」
「「あっはっはー!」」
まぁ、実際はクッキーなんだけどさ
「ではまた今度な」
「はい。またよろしくお願いします」
もしかすると素材が追加出来るかもしれないのは嬉しいな。とりあえず次の目的地は……マイ君にお願いしに行くかなー。さて、どうやって切り出そうかなぁ?
「マイ君マイ君」
「どうかした?」
「突然で悪いんだけどさ……」
「ん?」
「マイ君の血ってちょっとだけ貰う事って出来る?勿論無理なら良いんだけど……」
我ながら凄い事言ってるつもりはある。これで嫌がられたら関係の再構築が大変だよなぁ……
「血を?何に使うの?」
「新しい仲間を作る為に必要で……数滴で良いんだけど……勿論嫌ならしっかり嫌って言ってね」
「新しい仲間……新しい友達って事?」
「まぁ、そうなるかな?」
一応、理論上はそうなるかな?
「分かった。必要な量はどのくらい?」
「えっと……おっ?」
マイ君の血を入れる為の小瓶を頭の中で考えていたら、小瓶が僕の手の上に現れた。これってまさか、早速ヒューギエアスフィアの能力が働いたのか?




