創りたい物
「はっはっは!なるほど、随分と冒涜的な事をしようとしているじゃないか!」
「やっぱりそうですかね?マズイですか?」
僕の考えをヘックスさんに話した
「いや、そういうのもアリじゃないか?私が誕生したのもそういった好奇心からだった可能性もあるしな!なるほど、それで1週間以内に素材を集めようという事なんだな?」
「はい、それでコアは有った方が良いかなと思ったんですけど、オートマトン達のコアを取り出す訳にもいきませんし、新規に作る方向で行こうと思ったんです」
「面白い!では、素材は有るから用意しておこう」
確かに1人で作るとハスバさんには言ったけど、意見を貰ったり、素材を貰ったりするのは別だよねぇ?
「ありがとうございます。現状、Nマターは絶対使用したいと思っていて、新しく仕入れた物としてこれも使おうと思ってるんです」
「ほほぉ、壊れているが、これは確かに良い物だ。折角修理する物を入手したのだから、修理しないのか?」
やっぱり輪転玉を返されたし、修理しろと言いたくなる気も分かる
「これは僕の予想になってしまうんですが、これを修理して素材にしちゃうと、そっち側に引っ張られ過ぎちゃうんじゃないかなって」
「そうか、確かにハチが目指す物の事を考えれば、これを修理してしまうと、そちら側に引っ張られるという気持ちも分からんでもないな」
コア、壊れたパワードスーツ、Nマター。これ以上機械的な物を増やすのは良くない気がする
「生物としてのホムンクルスに機械的な力を融合する……要するに私よりも人に近い物を創るとなれば、他に何を用意するつもりなんだ?」
「そうですね。一応、考えてるのはマイ君の血と、僕の血。あ、あとニクリウスさんの肉を一部分けて貰えるかなぁ……あと可能なら深淵も一部を配合出来るならしてみようかと……」
マイ君の取り込んだ生物の能力を使える力とか色々変形出来るニクリウスさんの肉の一部とか、後は深淵を配合するなら多少は制御しやすくなるだろうし、これを作ろうと想定するなら僕が身を切らないなんて選択肢は無い。だから後でニクリウスさんとマイ君にお願いしてみないとなぁ……
「全く、素材を聞くだけでも恐ろしいぞ?いったいどんな物が生まれるやら……」
「罰当たりですかね?」
「何を言っている。お前の前に居るのは魔改造の申し子だぞ?罰など恐れて改造等出来る訳が無かろう!」
「じゃあ、新しい生命体作りの為の素材を集めに行ってきます!」
「あぁ、そっちの生体系のアイテムが集まったらまた来てくれ。それまでにNマターは生産しておく」
「あ、一応聞いておきたいんですが、コアを作るのに魔力は必要ですかね?」
「ん?あぁ、そうだな。魔力はかなり必要になるだろう。回復手段はあった方が良いぞ」
となると、やっぱりアトラさんの所に行ってアミュレットは返してもらった方が良いかな。王笏の修理もあるし、輪転玉の力をしっかり使う為にもアミュレットは必要かな
「あぁ、あと精霊王様の所にも行っておかないと」
薬を作る為のアイテムも出来れば回収しておきたいし、寄るべき所は沢山ある。生物がベースであれば、多分回復薬で回復する事が出来ると思うんだよなぁ……だから、戦闘をした後に回復が必要となっても、僕が回復する事が出来るだろうし、【レスト】が利くのであれば、戦闘可能状態への復帰時間の短縮も出来るだろう
「となると、先に精霊王様に薬研を素材にどうしたのか確認をしてからアトラさんの所に行って、それから女王様の所で王笏の修理かな?」
回収出来る装備品を回収してから素材を集めに行った方が良いだろう。計画通りに進まなくても、ある程度の方向性だけ分かっていれば何とかなるかな?
「じゃあ、5日後位に来る事が出来たら来ます」
「分かった。Nマターはこのまま生産を進めていくぞ?」
「あ、その前に、フィフスターも返してくださいよ」
危ない危ない。完全に今の計画の方に意識が行き過ぎて、フィフスターの回収を忘れる所だった
「んー、あれはもう少し貸してくれないか?」
「まだ、調べている最中ですか?」
「あぁ、もう少しで効率とかを上げられそうな感じなんだ」
効率かぁ……どうなっちゃうんだろうなぁ?
「分かりました。じゃあもう少し待ちます」
「あぁ、そうしてくれ。あ、そう言えばあのタティーノとか言う奴がミスリルをいくつかくれと言うから渡してやったが……」
「ほほぉ、タテさんがミスリルを……となると、確実に来るな」
ミスリルクラスの装甲が敵に来ると思った方が良いと……なるほどな?
「対ミスリル……これはまた越え甲斐のある壁が来たなぁ?」
「なるほどな。ミスリルを突破出来るだけの能力が必要になってくると……」
ヘックスさんと目が合う
「現状、今僕達が自由に使える資材の中で最良とも言って良い物質……」
「それを打ち破る為には新しい開発が必要だよなぁ?」
ミスリルの防御性能を兼ね備えた敵。それを倒さなければならないという事……
「「ふっふっふ、燃えて来た!」」
挑戦すべき壁が現れた事で2人のやる気は更に上昇した




