必要な物集め
「ふぅ……ハチ殿。助かったぞ。コトブキチャノキを入手出来たのはありがたい!」
「とりあえず移植する為に取って来たって事で良いんですよね?」
「あぁ、それで……少し相談があるのだが……」
「空島に植えても良いかって事ですかね?」
「お、おぉ話が早い!」
それはこちらとしても望む所だし、是非とも植えて欲しい物だから拒否する必要も無い
「それだったらそうですね……お店の近く……いや、お店の前の植え込みみたいな感じでやりますか」
僕の森羅の巫覡装であれば、コトブキチャノキを挿し木で成長させて増やしたり出来るかな?
「えぇ?」
「メチャドクガに食べられて増える……それを見た事は無いんですが、全て食べるんじゃなくて、メチャドクガ自身が自分達で食べる為に一部を残して別の場所に移してる可能性もあるかなって」
コトブキチャノキに花を咲かせてその種から育つのを待つって絶対食べられない時が出てきてしまう気がする。それなら、色んな所に枝を挿して挿し木みたいな感じで分散して育った物を食べたりしてるんじゃないかな?と考えた。パイナップルとかもヘタがあれば育てられるし、そもそも共生してる生き物だって結構居る
「というか、元々がメチャドクガとコトブキチャノキの共生関係の間に人が割って入ってるだけで、害虫みたいな判断が間違ってるんじゃないかなって」
「なるほど……その考えはありませんでした」
「まぁ、それは置いておくとして、リッキューさんのお店の前で挿し木で行けるかやってみましょう」
とりあえず特に戦闘にはならずに空島まで帰還出来たので、早速コトブキチャノキの挿し木を試してみよう
「こんな感じでどうかな?」
「わぁ……生えたぁ」
その凄い気の抜ける返事は何なんですかねぇ?でも、コトブキチャノキの挿し木が無事に成長したので、お茶の葉を取る事が可能になったな
「これで、如何でしょう?」
「まさか本当に出来るなんて、これは点てねば無作法と言う物……」
乾燥とか焙煎とかの手順抜きで行けちゃうのか……いや、違う。これ普通に既に用意してる物使ってるだけだ!
「コトブキチャノキを見て飲む一杯は格別の一杯……」
「それならちょっとコトブキチャノキの葉を貰って行っても良いですかね?」
「あぁ、構わない。ハチ殿。感謝する」
「いえいえ、今度コトブキチャノキで作ったお茶でもご馳走してください」
「あぁ、格別の一杯を約束しよう!」
結構珍しいお茶の木から作ったお茶なら結構回復効果的なのは期待出来るし、味も期待出来るから僕の方でも色々弄ったお茶とかが作れる気がする
「では!」
「あぁ、また寄ってくれ」
いやぁ、中々良いお店だったなぁ……
「よし、決めた!どこまで形になるかは分からないし、失敗しても良い。自分が好きな物、気に入った物を全部混ぜちゃえば良いんだ!」
上手く行くか行かないかなんて気にしない。まずはやるだけやってみる。だからこそ、必要な物を集めに行こう!
「よーし、まずはあそこから行ってみるか」
思いついた事をする為にもまずはあそこだ
「どもども~。お久しぶりでーす」
「うわっ!ハチだ!」
「おいクロウ団長?苦労させて欲しいのなら受けて立ちますよ?」
折角ナーセイブに来たんだし、独立部隊の皆に挨拶兼ネストに行けるかどうかの確認だけしておきたい
「おっ、ネムさんも居る。あの、ネストって今行けます?」
「んー、行けない。事も無い」
「それならちょっとネストに行きたいんですけど、どうにかなりませんかね?」
ネストに行ければ欲しい素材が確保出来ると思うんだよなぁ
「まぁ、ハチなら行けるか。功労者の1人だしな。こっちで手続き関連は処理しておくから行ってこい」
わお、団長。そんなやってくれるんですかぁ?ありがてぇ
「あざまーす。それじゃあ前と同じ場所に行けば行けるんですかね?」
「おう。それで行けるハズだ」
「じゃあ手続きお願いしまーす!」
まぁ、管理するとは言ってたし、誰が出た入ったとかその辺の記録かな
「さて、となると、出来れば会いたい人はあの人一択なんだけど……どうかな?」
実質外交官となったあのゴツいパワードスーツの人と会えれば良いんだが……
「まぁ、行ってみるしかないよね」
「あれ?あなたは……」
「おぉ、お店取り返せたんですね!良かった」
「お陰様で……」
あの今にも消え入りそうだった店主さんもしっかり復活してしっかりやってるみたいだ。良かった良かった
「えっと、独立部隊の団長に許可を貰ったので、魔法陣を使いたいんですけど……」
「あぁ、なるほどね。そう言う事ならどうぞどうぞ」
独立部隊の肩書も凄い汎用性……いや、多分ナーセイブ限定なんだろうけど、良い人達と仲間になれたなぁ
「じゃあ、行かせてもらいますね」
「あぁ。気を付けてね」
さて、ネストに辿り着いたらまずは人探しだなぁ
「おぉ、来た来た」
このフワッと浮く感じ。久しぶりのネストだ!
「む?お前は……」
「あれ?いきなり?」
まさかの魔法陣で移動したらその先にゴツいパワードスーツのあの人が居た




