連れ帰る
「貰ってしまって良いのか?」
「ええ、また今度……何時作れるかは分からないですけど、機会が有ったら作ってみようかなって。これは確かに凄い物ですけど、これを僕が使って、他の人に広まってしまうなんて事が起きない様にここで皆に全部食べてもらった方が良いかなって」
確かに効力は凄い。想像していた以上の効力だ。僕は別に他の人の行動を完全に制限とか出来る訳でも無いし、これを作りたいからと、他の人達が精霊さんとかマンドラゴラさんとかに迷惑を掛かるかもしれないから、これを公表するのは良くない気がする。だから今は一旦出来た物は全て使ってしまった方が良いだろう
「うむ、分かった。うん!んまい!この何とも言えぬ甘み!良い!良いぞ!」
精霊王様が完成したブレッシングドロップを食べる。キングマンドラゴラとクイーンマンドラゴラの甘露が良い感じの甘さを生み出しているのか、美味しさもちゃんと確保出来ているみたいだ
「えっと、じゃあ精霊さん達も、ここにある分は差し上げちゃいます!」
作った飴に光の玉集まって、ドンドン小さくなっていく。食べられてるみたいだ
「ハチの分はどうした?お前が作ったのだから自分の分が無いとダメだろう」
「多分、食べたら更なる改良とかしたくなっちゃうだろうし、良いかなって……」
確かに、自分で作った物を自分で食べないのはどうかと思うけど、ここで食べてしまったら、多分、性能強化をする為の【違法改造】とかしてしまう可能性を否定出来ない。それをこんな所でやっちゃうのは……ねぇ?
「そうか……ふぅむ……」
「失礼ながら精霊王様。ハチは、ここに来るまでにキングマンドラゴラとクイーンマンドラゴラと接触し、討伐ではなく、甘露を譲り受けています。空島に来ないか?とも言っていましたが……」
なんか、聖獣さんがここに来るまでの説明みたいな事をし始めた。なんだ?改まって……
「となると、ハチの空島にて、ハチの庇護下に入ればこれは量産する事も可能……という事だな?」
「はい。そうなるかと……」
「ふむ、であれば、ハチよ。これは大変気に入ったぞ!むしろ余の為に作ってくれ。報酬はこれの素材や、そうだな……さっきの道具を素材に調薬する為の新しい道具を作らせてはくれないか?」
ちのりんから貰った薬研を素材にか。うむむむむ……これは中々に難しい相談だ。精霊に新しく調薬道具を作ってくれるのであれば嬉しいけど、それで薬研が無くなるとするなら一旦相談したい
「そうですね。その申し出は凄くありがたいんですが、これは大事な友達から貰った物なので、一旦その友達に確認したいんですよね。それからでも良いですか?」
ちのりんの許可が出ればこの薬研を素材に新しい道具を作ってもらうのはアリかも
「うむ、それは大事な事だな。良いだろう。という事で!」
ポンッと軽い音と共に、精霊王様が小型化した
「よし、ではマンドラゴラ達の元へ行くぞ!交渉は任せろ!」
あ、これ本当にさっきのブレッシングドロップが欲しいだけなのか
「分かりました。じゃあ行きましょうか」
「よし、では出発するぞ」
聖獣さんに乗った僕の肩に乗る精霊王様という、神々しさの間になんか挟まってる様な状態で精霊の国を出る
「あ、マンドラゴラさん達。また会いましたね」
「おぉ、戻って来られたか」
「良かった」
キングとクイーンが手を振ってくれた。良かった忘れては無かったみたいだ
「やぁ、キングマンドラゴラとクイーンマンドラゴラよ。私は……」
「「我々を空島へ連れて行ってくれないか?」」
どうやら精霊王様が直々に交渉してくれる必要は無くなったみたいだ
「むぅ~……」
いや、そんな頬を膨らませられても困る……
「それは構いませんが、やっぱり土は無いとダメですよね?鉢植えみたいな物とかちょっと手持ちに無い……」
「そうかそうか!どうやら困っているみたいだなぁ?であれば、余が……」
「ちょっと見てくれは良くないかもしれませんが、コレに入ってくれればそのまま移動出来るんですが、どうですか?」
深淵を使って鉢植えの形を作る。サイズは割と大き目にしてるから何とかキングとクイーンは個別だけど、入れると思う
「態々ありがとう」
「不思議な技ですねぇ」
「むぅ~!」
この反応……今のは精霊王様に譲るべきだったかなぁ?
「お手を煩わせるのは良くないかと思って……」
「別にそんな事は無いぞ。この程度造作もないのだからな!」
うーん、何とも言えない表情だなぁ……
「次、何か起きた場合は対処お願いしますね?」
「ふふん!任せろ!」
よし、これで何か起きたら精霊王様の機嫌も少しは良くなるかな
「むぅ~!!」
「なんか、ごめんなさい。無事に着きましたね……」
特に何も起こらず空島の村側の泉に戻ってくる事が出来た。いやぁ、平和そのものだったなぁ……
「ほほぉ……」
「ここが、空島なんですね……」
「はい。それでどうでしょう?もう少し温かい方が良いですかね?それとも今の感じが良いですか?」
温かい方が良いなら温室みたいな物を作った方が良いかな?




