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バタバタ運営

「主任!またあの子変な事してますぅ!」

「んー?今度は何をしたんだ?」

「いや、何と言いますか、バグとも言えそうで、そうでもない様な……とにかく見てください」

 ウィンドウに出されたのはとあるプレイヤーがイクサバンの女王との戦闘をしているシーン


「何コレェ……こんなの搭載した覚え無ぇぞ……」

「内部AIによるオートメイクスキルの1つ……でしょうか……?」

 明らかにとてつもない破壊力の攻撃を受けたハズなのに、その運動量を0にするかの様な防御。タンク系の職業であれば、その手の物を習得しやすいだろうけど、これは明らかに想定していた物では無い。我々とは別の発想で色々な物を作らせる為のAIが作った物か?


「おい、誰かアレに心当たりある奴居るか?」

「ん、何すか何すか?」

「まーた、あの子関連ですかい?」

「あれ?あれは……」

 最後に来た1人が何か言いたげで、申し訳なさそうな感じでやって来た


「もしかして何か知ってるのか」

「あれは……最近ちょっとグラップラーな漫画を見てしまって……それで、一旦スキルの形にしたんですが、やっぱ無いよなと思って削除したはずなんですが……あっ!すみません!AIに送る参考データの方に間違って送ってしまってました!」

 ヒューマンエラーによって送られたデータがゲーム内AIに処理されて、彼の元に行ってしまった……という事だったか


「いや、にしても……あの子のポテンシャル高過ぎませんか?」

「お前なぁ……自分のミスを棚に上げてないで……いや、まずはちょっと試してみろ。データとして、アレは既に発動しているのだから我々でも使えるはずだ。ならどれだけ簡単に使えるかどうかをまずはやって、そこから調整データを送って何とかすれば良い」

 可能な限り極端な調整は入れたくはない。勿論、テンプレとなる様な物は多少手を入れて、出来るだけそういった物が出来ない様に散らす感じで調整はするけど、こういうデータがかなり少ない物は入手法やら発動難易度とかで調整する方向で済ませたい


「分かりました。それじゃあ……こうやって……あれ?」

 ステータスに【闘気】を付与して腕を回すが、先程の技は発動しない


「何故発動しない……」

「攻撃を喰らってますが、発動しないっすね?」

 攻撃を消す為に攻撃を喰らいながら動作をするが、全く発動する雰囲気が無い


「ちょっと待て……お前、ステータス付与無しで【闘気】を維持出来るか?」

「【闘気】の維持は難しいっすねぇ。今のテンションだと10秒位ですかね?」

「なら、自力で【闘気】を維持して……お前のHPが全損する位のダメージ量の攻撃でやるぞ」

「えっ!?ちょっと!?」

 あの子の場合はこの位の精神負荷状態で行動していたはずだ。だから、ほぼ同じ状況でやって出せるかどうか。ここが大事だろう


「ちょ!ヤバいヤバい!」

 検証の為にロケットパンチが飛んでいく。アレを止められたら成功だ


「うぉ!あぶねぇ……で、出ました!」

 検証としては成功だ。だが……


「おい。お前【闘気】が切れてるぞ?」

「え?あぁ、いきなりHP全損する攻撃なんて来たら焦って集中が切れちゃいますよ……止めなきゃいけない方に意識が……え、嘘だろ?ハチ君マジすげぇ!」

 どうやら気が付いた様だ。そう、あの子は自分のHPが全損するかもしれない様な一撃を止める事と、【闘気】を維持するとんでもない集中力を相手に軽口を言いながら維持していた。しかもその後に両手で受けるだけでも大変なコレを足でもやって見せたのだ


「いやぁ、ますます彼の頭の中見たくなってきました!」

「とにかく、お前は今回のミスの報告書をさっさと上げろ。今後こんな事が起こらない様にしろよ?」

「す、すいませんでした……」

 とりあえず調整の必要は無いだろう。普通はそうだ。【闘気】を維持するのも難しいのに、それに加えてあの精神的負荷の中で相手に対応して色々試せてる事の方が異常なのだ


「にしても、彼……本当にどうなってるんでしょうね?普通のプレイヤーは遠隔操作系の攻撃をヒットさせるのも苦戦するレベルで、何とか自力で操れる人が何人か居るって感じですけど……彼の場合は」

「分身に多数の触手の操作。それに体を変形させても普通に適応しているからな……確実に操作中は脳のリミッターを外してるとしか思えない……」

 検証する為に何人かに触手16本操作や、多数の分身の同時操作等をやらせてみても彼の様に縦横無尽と言える様な動きをする事は出来なかった


「普通に開発者でも負けますよアレは……」

「開発者としては負けられないのは分かりますが、我々が直接作っていないAIによって生み出された能力等を駆使してるあの子を見てると、あの子もある意味我々と同じ位の立場と言っても良いのでは……」

「それはやはり良くないのではないか?彼をもう少しナーフした方が……」

「はい出たーナーフ脳!こんなのこのままの方が面白いって分かんない?そんなに言うなら、まず自分がハチ君の構成でやってみなさいよ!1回構成を試して分かったけど、あんなのもっとアッパー調整貰わないとやってられないわよ?そういう事をしないから運営はゲームしてないとか言われる事になるのよ?」

「なんだと!?」

「なによ!?」

「またいつもの奴かぁ……」

「とりあえず他にバグが無いか探しておきまーす」

「よし、この件は一旦このままだ。仕事に戻るぞ」

 実際、やっている事だけを見るなら、バランスブレイカーと言えるかもしれないが、そのやってる事の難しさが尋常ではないので、それでバランスを取っていると言わざるを得ない。これが誰でも出来る事なら即修正していたかもしれないが……現状でもこれ以外にも色々と話題に上がる物を全てこなせるのはハチ君だけだろう


「次のイベント。彼がどうなるのか気になりますね……」

「そうだな。一応生産系向けの奴だからそんなに暴れる様な事は無いとは思うが……」

「「「「ハチ君だしなぁ……」」」」

まだ始まっても居ないイベントの事で頭を抱える運営の人達なのであった



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― 新着の感想 ―
>AIに送る参考データの方に間違って送ってしまってました! 個人で送信すな〜w 送信前に上長のレビューをしましょう
[一言] 過去ログ遡ってくれ彼普通に呪具作っとるぞ
[良い点] 玉突き事故による荒波を乗り越えた末の、グリッチに見せかけた正式実装なんで…。再現性もあるので諦めてどうぞw ただハチくんの脳波に関しては再検査しても許されると思うのw
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