着ぐるみカフェ
「着ぐるみカフェ……どんな所かな?」
聞いた限りだと着ぐるみを着た人が接客とかするんだろうけど……大丈夫かな?
「お邪魔しまーす……」
「いらっしゃいませー!」
「うおっ!?」
扉を開けたら目の前にうさぎの着ぐるみが待ち構えていた。いや、いきなり着ぐるみドアップは怖いわ……
「えっと、入れますか?」
「どうぞどうぞ!お席に案内しますねー」
わぁ、結構オーバーアクションだ。まぁ、着ぐるみでオーバーアクションは大事だとは思うけど、この着ぐるみは喋るタイプの着ぐるみなんだな
「何にしましょう!」
「あー、それじゃあ……このカフェオレとクッキーを1つずつお願いします」
食べ過ぎたり、飲み過ぎたりしない様に、頼むのは少量にしておかないとね。でも、着ぐるみで飲み物を運ぶとか中々怖いぞ?溢されるかもしれないという中々のスリリングなカフェだなぁ
「分かりました!少々お待ちをー!っつぅ……」
ほら足元見えてなくて足ぶつけてる……着ぐるみで見た目は可愛いかもしれないけど、このカフェは危なっかしさを楽しんだりするのがコンセプトなのか?可愛い系ホラーカフェって事なのか?ゲームで着ぐるみロボットのホラーゲームみたいなのが有った気はしたけど、そんなホラー系なのか?
「これは身構えていた方が良いのかな……」
普通に店舗は可愛い系で纏まっているし、見た目だけは可愛い系のカフェなんだけど……
「やっぱ、これ視野が狭いって……」
「危ないよな……」
「もう少し何とかなんない?」
聞こえてくる会話が怖いって……とりあえず接客まで着ぐるみでやるのは止めておいた方が良いと思うんだ
「着ぐるみと一緒に写真を撮れる位にしておいた方が良いんじゃないかな……」
掛かる人数は増えるだろうけど、安全性の為にもそこは別にした方が良いと思う
「はい、カフェオレとクッキー……うわっヤベッ!」
「おっと!大丈夫ですか?」
警戒しながら待機してたから着ぐるみの人が持ってきたタイミングで構えていたから何とか溢す前に受け取れた。うん、やっぱり危ないよ……
「すみません。大丈夫ですか?」
「こっちは大丈夫ですけど、やっぱり着ぐるみで商品を提供するのは危ないですよ……一緒に写真を取るとか、握手みたいなパフォーマンス位にしておかないと……いつかお客さんを巻き込んじゃう事になるかも……」
事故が起こっちゃうと大変だし、これは止めた方が良いだろう
「……っぱそうスよねぇ?」
「コンセプトは分かりますが、事故を起こさない様にした方が良いと思います……今は人が来てないですし、丁度良いと言うか……」
方向性を変えるなら人が来ていない今の内だろう
「これはやっぱり少し見直しましょう。普通に接客する人も居ないとマジで誰か怪我しますって!」
「そうだねぇ。流石に見直そうか。じゃあその着ぐるみを脱いで接客しても良いよ」
まぁ、人数は増やす事になるだろうけど、これが良いだろう。いやぁ、事故が起こる前で良かった。で、このくまの着ぐるみさんはなんだろう?
「いや!これは流石に脱げねぇっすね!今回の自分の役割は着ぐるみを着る事!これだけは譲れねぇっスねぇ!」
なんか着ぐるみを着る事に命でも掛けてる?凄い情熱だなぁ……
「じゃあ、追加の人員を呼ばないといけないねぇ……そうなるとちょっと大変になるけど……」
「あとで面倒な事になるよりそっちの方が良いっしょ」
「そうだねぇ……じゃあ少し時間を増やすけど良いかな?」
すっごい他人事みたいな感じでサラッと時間増やしてる……凄いやり手感だ
「いやぁ、やっぱりダメだったかぁ。出来ればファンシーな世界観を保ちたかったけど、安全性を考慮したらファンシーさも多少下げないとダメだねぇ……」
うん、何だろう。最初から出会ったうさぎの着ぐるみと別のこのくまの着ぐるみさん。絶対ここのボスだ。そんな雰囲気を漂わせている
「んじゃ、私は着ぐるみを脱ぐからお客さんを喜ばせるのは任せたよー。これあっついんだよねぇ……」
くまの着ぐるみの人。これ、絶対着ぐるみを脱ぐ口実に使ったでしょ?
「よーし、そうと決まればやってやるぞ!さあ、一緒に写真はどうだい!」
テーマパークのキャラでもないのにノリノリで写真を撮ろうとするうさぎの着ぐるみさん。まぁ、これで写真を取らなかったら可哀想だし、撮っておこう
「じゃ、じゃあ1枚だけお願いします」
「よし!じゃあ撮るよー!はい、チーズ!」
自撮り棒で撮影する着ぐるみ……あぁ、スマホからデータを送って写真にしてるのか。にしても誰かに撮ってもらうんじゃなくて自分で撮るとは……ここで人員をケチるのか
「どうも……それじゃあ頂きますね」
色々あったけど、完全に冷める前にカフェオレとクッキーを頂くとしよう
「うん、美味い」
まぁ、不味いなんて事はまず無いんだろうけどね
「ご馳走様でした」
まぁ、カフェオレとクッキーだからすぐに食べられるね
「あ、同じクラスの人にもここ美味しかったって声を掛けておきますね。なので、良かったら昼頃に男装女装喫茶に来てくれれば僕が対応出来ると思うので、良かったらこっちの方にも来てください。ついでにお隣の幽霊喫茶も……」
人が来ないって言うのが一番悲しいから、お互いに人が来る様に呼び込みをしておいても良いだろう。この位の工作は許されるよね?




