噂妖精の噂
「いやぁ、これが例の……やったぜ」
「流石にこれ以上無線機を配布するのは良くない気がするし、これ以上は出来るだけ配布しない様にした方が良いよなぁ……」
無線機を増やそうと思えば多分増やせるんだろうけど、これ以上は増やさない方が良い気がする
「とりあえずこれで新しい力を得られた訳だ。いやぁ、凄いねぇ?こんな事でも新しい力を得られるって、本当にこのゲームは何があるか分からないな……」
「ん?」
なんか引っ掛かる言い方だ。もしかして、何かハスバさんはハスバさんで新しい何かを得たのかな?
「ハスバさんも別の所で何か手に入れたんですか?」
「鋭いねぇハチ君。じゃあ見せてあげよう。とうっ!」
なんか飛び上がるハスバさん。なんだ?
「「まさかこんな事になっているとは思わなかったよ」」
「うわ、増えた……」
ハスバさんが2人に増えた。が、姿が若干違う……なんかフルフェイスヘルメットだし、スク水じゃなくてビキニになっている
「「噂好きの妖精によってこんな力を手に入れたんだよ」」
「両サイドから話さなくても分かるんで、片方消してくれません?」
分身とは違うんだろうけど、これでずっと話されると正気を削る手段にはなると思う。ある意味拷問みたいな物になるんじゃないか?
「「仕方ないなぁ……」
すぅ……とビキニヘルメットの方のハスバさんが消えた
「噂好きの妖精……そんなのも居るんだなぁ……」
「というか、ハチ君の妖精が居なくて良かったよ。もし、噂好きの妖精がハチ君の姿を真似してたらそれこそ、多分現状の魔王みたいな扱いになってたと思うよ?」
「あ、あれは無理無理。噂デカすぎ」
一瞬だけ顔を出すフルフェイスハスバさん。噂の大きさとかも関係あるのか
「そうか。私の場合は最初の街で色々やってたからこの噂だったけど、ハチ君の場合は同一人物かどうかも怪しくて、しかも出現場所が広範囲。噂の規模もデカい……噂妖精の力じゃ再現不可能って事か」
「えぇ……」
妖精の力って結構強かったと思うんだけど……
「でも、その理論ならもっと沢山の人の噂とかあってもおかしくないと思うんですけど……」
ロザリーさんとかアイリスさんだってめっちゃ強いからそういう面で噂されてて不思議じゃないんだけど?
「噂妖精は気まぐれらしくてね。ただ強いだけだとダメらしい。面白い噂に引き寄せられた結果私の姿を真似してあんな感じになったと聞いているよ」
面白い……あの恰好になるのが面白いって凄い感性してるな。噂妖精
「まぁ、噂妖精自体数が少ないから出来ればあまり存在を広めないでくれると助かるかな」
「良いですよ。僕もここの存在は広めて欲しくは無いですから」
「うん、比較対象がデカすぎるね」
今隠している事全部をもし、言ったとしたら……まぁ、大混乱だろうなぁ
「って、もう港が出来そうですよ?」
「うっそ、速過ぎじゃない?」
「いや、あれ……」
「ンはははははは!」
視線の先で走り回りながらセメントを固めるタテさん。とてもじゃないがあれが建設作業とは思えない位楽しそうに走り回っている……
「ン港完成ですゥ!」
あっという間に完成したオートマトン島の港。しっかり、ドックとしての機能を持ってそうな部分も出来ている。あの鉄扉とかはオートマトン達が用意したのかな?
「ン某はこのままこの地の開発を進めますゆえ。後はお任せください」
「良いの?」
「某はンフォートレスビルダー。建築する事でン経験値も貯まりますゥ。それに、大規模なン建築が出来ればその分経験値も沢山頂けるので、ン非常にありがたいのです」
お互いに益があるからこれはラッキーだな
「じゃあ、お願いします。一旦食料とかも持ってくるので。ハスバさんはどうします?」
「そうだね。自分も戻ろうかな」
タテさんを残して空島に戻る事にする。なんかMP回復する系の料理とか食料があったかな?
「何が良いかな?とりあえずスープと食べやすい物……いっそのことロールキャベツとか小籠包みたいなもう中にスープが入ってるみたいな物の方が良いかな?」
いや、流石に小籠包とかは食べにくいか。作業しながらも食べられるだとやっぱりハンバーガーとかの方が良いかな
「ま、サクッと空腹度を回復出来る方が良いか」
下手に色々盛るよりもすぐに用意出来る物の方が良い気がするからハンバーガーを用意しよう
「わーわー、おいしそー!」
「あ、今急いでるんで。マイ君対応よろしく!」
「わかったー」
いやぁ、こういう時に任せられる人が居るのは助かるなぁ。モルガ師匠という足止めもマイ君で回避出来る
「うむむ……まぁ急いでるなら仕方ないかぁ」
「今やってる作業を済ませれば、魚とかの食べ物がもっと入ってくるよ?」
「魚!魚!」
「マグロ!」
マイ君に関してはマグロの美味しさを既に知っているから、僕の邪魔にならない様に立ち回ってくれるだろう
「頑張って作る!だから注文はこっち」
「分かった分かった。じゃあマイっちに頼むねー」
「それじゃあ、そこに座って待ってて」
「はいはーい」
いやぁ、マイ君が良い感じに馴染んでる。良かったぁ……




